夏のはじまりにおわりを告げて。

8月1日。初カレに振られた。たったの2か月で。
わたし21歳。彼24歳。

「いきなりだけど別れよう」
私たちはLINEの文面一通で終わった。あっけなく。
そのあとだらだら理由が書いてあったけど、「一回会って話さない?」
この返信は1日既読になることなくすべてを打ち切られた。

インスタもフォローを外されていた。
その日の夜は案外よく眠れた。実感が湧かなかったのだろう。
よく言う「絶望の朝」を迎えるのか・・・と心の準備はしていたものの、
朝もすっきり目を覚ました。

絶望はその後からだった。AM10時ころだろうか。
LINEのブッロクの確認方法を突然思い出し、急いで彼のLINEを開いた。
ブロックされていた。それに気が付いてからはもう絶望の朝だった。

もし私がLINEで終わりを告げたら、相手の返信が気になるだろうからきっと彼も返信はみてくれるだろうとばかり思っていたのが間違いだった。
彼は、自分の感情を一方的に送り付け後、私とすべてを断ち切った。

もう全部が嫌になって生理的に無理になったのだろうか・・・
会うことも、電話することもなくおわり?2か月といえど付き合っていたんだよね?人間をなめるな、と本当に悲しみと怒りと疑問ででぐるぐる頭が回ってた。

あと1時間で始まるバイト。
それも案外平気で行けた。いつも通りできた。
けれど、やっぱりどうしても納得がいかなかった。
最後に会った2週間前はまだ、愛を感じていた。気がするから。まだ・・・
ただ、少し違和感は感じていた。
彼からしたくせにキスをしたあと、さりげなく手で口を拭っていたり、いつも通り彼の髪を耳に掛けたりしたら、頭を振って基に戻された。
あの時わたしは見て見ぬふりをしていたんだ。。

アルバイト中必死で最後に会う方法はないかと考えた。
そこで気が付いた。
彼のインスタは公開垢だったことに。お、DM送れる。
それが不幸中の幸いだった。

「話したい」だけだと絶対会ってくれないと思った。
「今日19時喫茶店前で待ってる」それだけ送った。
時間と場所さえ決めればもしかしたら来てくれるだろうと思って一か八かに掛けた。自分ながらいいアイディアだったと思う。

けれど、待ち合わせ1時間前になっても既読がつくことはなかった。
それども私は準備を始める。
いつもは履くことのないヒール。
赤いリップ。
跳ね上げた黒のアイライン。
高めのお団子。
普段は着ない露出高めのトップス。
アンティーク調なバッグ。

強い女。ギャル女を目指した。
「ふつうの当たり障りのないおんな」を着飾っていた私を捨てて。

そして待ち合わせ時間の19時。やっぱり来ないよな、そう思っていた矢先
とぼとぼと歩いてきた彼。
なんだか随分会ってないようなそんな久しぶりの感覚だった。

2週間会わないことは付き合っていた時もある事だったのに。
彼の雰囲気はすっかり冷めきっていて、まるで他人のようだった。
申し訳なさそうな、でも吹きっているようなそんな清々しさも感じた。
一言目は確か、「LINEで終わらせたのは悪かった」と。

いつから好きじゃなくなったの?何かきっかけはあったの?
とりあえずベンチに向かうまでの間、歩きながら聞いた。
「きっかけはない、ただもう好きじゃなくなった」
はっきり言われたのは覚えている。

あーもう今日を終わらせてしまいたい。
ようやくここまで生なましく思い出せた。
一度寝る、
続きはまた。

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