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ひと握りほどの辛苦をポツケに あとは時間がさらさらと流れて まういいかいと取り出してみる …
風に逆らふやうにして 煙草のけぶりを吹き返す 月も隠せなけあ星もさへぎれない けれども心は…
柔い風吹くなかに時をり 君の香気が見え隠れする 秋のお空に浮かぶ小雲は お外の国まで遠くと…
冬の風が袂にまで這入りこんできて 心にまで冷たくじわりとしても ほんとにおまへは春風のやう…
おまへはまう、悲しむことなどしなくていい 夏蝉が夕空にひつそりと消え入るやうに ゆるりと秋…
夢から醒めた眼には なぜかひとつの涙があつて 喜怒哀楽のどれに因るのか 判らず拭ふこともで…
あんなに紅く色映ゆる 紅葉も今は落ちゆくか 君だけ色を残したい 私の慾はページの間
夜空に白鳥の聲がする つばさ空切る音もする それなのに姿は何処にもなく 彼らの命の育みだけ…
静々と雨が窓うつ朝に ひんやりとした陽が差しこむ 黒々とした道の上を 歩く影はうすく伸びて…
ふつと窓から秋の冷たさ たつたひとつの心の中に 君との思ひ出は温もりがあり これなら冬も平…
朝陽に夜露が白々と 空に還つて青くなる 我が心なきため息も いつか入道雲になれ