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晴れたよ、ばあちゃん。

「家族の中で、雨男と雨女が多いね」
そんな言葉を聞いた、僕はその中でも生粋の晴れ男だという自負がある。そしてそれとは反対に、この子が用事があるときは絶対に大雨や台風がきたりすると言われてる子がいる、少ないながらも晴れの属性を持つのは僕とおばあちゃんらしい。

おばあちゃんが亡くなったのは、先日のこと、病院にいっては胸が詰まる思いを重ねていた、電話があればいくし、家族で集まっていた、その時を覚悟しながら、その時はやってきた、僕は寝ていた、体を揺すられ目を醒まして、その報告を受けた。

僕はじいちゃんが病院に通い詰めながら弱っていく姿を見ていることしかできない、家族の中はいい、毎年のように旅行にいくし、一緒にご飯をよく食べに行く。奔放で我が儘な僕は、周りに気を遣う家族思いなじいちゃんといつも家族を見守って大きな声で笑ってるばあちゃんの孫です。何よりも大切にされてる、それには絶対の自信がある、受けた愛は沢山の思いでの中に色づいて僕はそんな中で育った。気使いいなじいちゃんは僕を頼らないことを知ってる、行く!!って言うのにいいよ~とはぐらかす、そんな性格を知っている、じゃあどうやってこの愛を返せばいいのさ!!意味わかんない!!って思うんです。
だから無理やり手伝うし俺が耳になるし足になるし手になる、知ってるよじいちゃん、俺は孫だから。

お通夜の日の夜、親戚が雨を連れてきた、降る雨に不安を寄せるような悲しさ、出て欲しくもない涙が止まらない。

告別式、色づいた思い出は咲き誇る、棺桶の中は沢山の色で飾られた、僕は霊柩車に乗って火葬場に行っていいことになった、僕はばあちゃんの遺影を持って、走り出した車から空を見上げた。

「ねぇ、ばあちゃん。晴れたよ、さすがだね。」

雲が気持ち良さそうに空を泳ぐ、太陽は照らす、大切な思い出を。

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