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緋い季節へ

蕾が花開く暖かさ、花の粉が舞う。
誰かに届けと宛もない花の粉はまた誰かの鼻を刺激する。

「クシュンッ!!誰かが噂話をしてる、、」
ほとんど迷信のような話だがあながち嘘でもない気がする、誰でも人は好奇の的で噂話をされない人なんているのかどうか怪しい話。

くしゃみをする度、もしかしてあの人だったらと過る、嬉しいなの意味、でもあの人だったら、少しの戸惑い。どっちに転んでもいい意味と悪い意味の解釈があると思う、思い出してくれただけで嬉しいのだが、やはり悪い意味を少し考えてしまう。

最後に交わした言葉は「元気でね」。
別れにこれ以上に適した言葉は存在するのだろうか、きっとあるのだろう、この言葉は、思いやりの中に少しの悪意があるのだから、言われた側の気持ちになれますか?
もしも好意を寄せてる相手からこの言葉を言われたら、「次」は無いのかと思ってしまう、さよならの言葉なのに気遣いなんて僕を忘れないでと言われてるきがしてしまう、そんなのは100%の善意等ではないと思う。どうせ最後なら憎まれ口でも吐いて嫌われてほしい、どちらに優しさはあるのだろう、それは人が持ってる主観の中で沢山の変化をする、ないものねだりという言葉があって持っていないものほど欲しくなる、日常的なありがとうが当たり前になる怖さがある、貴方の言う「元気でね」には何を返せば良い?貴方が持っていない物を私はあげたい。

恋をした、身体は熱を帯びる、きっと比喩ではないのだろう、心臓が脈を打つ速さが変わる、貴女の前では。
赤んぼうの頃に沢山の愛情を注がれて、貰った愛情を還元するみたいに大きくなった、それを一つ一つ返していくように優しさを学んだ、だから繋がれたそのバトンはまた次の世界に新しく繋いでいく。

優しさとは人を百回愛することだと。

99回、沢山の愛情を返した、親に、物に、動物に、花に、そのどれもが少しの熱を帯びる、優しさを与えられて少し嬉しそうな熱を。

100回目、どうか貰ってくれませんか?
この熱をどうか貴女に移したいのです、燃ゆる蝋燭の火をその導火線に繋いでもいいですか、貰えなくてもどうか貴女がこの火を消してください、僕ではもう一人で消せはしないのです。

心臓は熱を帯びる、人に恋をした日から、貰った優しさに心臓は喜びを表すように高く鳴る。誰にも聞こえない僕の中だけで「貴女が好きだと」綺麗な音を鳴らしている。



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