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Kさん
上司のKさんがわたしを呼んでいる。
先日「今ひま?」とぶっこいた方だ。
「つきこさん、ちょっときて。ちょっとこれみてくれない?」
「なんですか?」
作業中の手を思いっきり中途半端なところで止めてKさんのパソコンのモニターをのぞき込みに行く。
Kさんはわたしの直接の作業指示者だ。
つまりわたしはKさんの家来みたいなものである。
なんかヘマしたかな…?
そんな気持ちでKさんが見て欲しいと訴える備考欄に書かれたコメントに目をやる。
「これってどういう意味かな。オレ自分で書いたんだけど記憶ないんだよね…なんか知ってる?」
顧客に対してどんな対応をしたかの記録として個々の個人マスタの備考欄にコメントを残すことは日常だ。
Kさんのコメントの後に、わたしも関わった作業の記録を残していた。
「んーなんでしょうね…わたしもこの登録してるみたいですけど…このコメント書いてるってことは作業は完了してるはずなんですけど…この書類無いんですか?」
もう半月以上も前のことはすぐには思い出せない。
日々の作業に忙殺されて記憶は常に上書きされているのだ。
「ていうか、Kさんのこのコメント、この書類がもう届いてるのかこれから届くのか無いから催促しないといけないのか、これだけじゃ意味わかんないですよ」
思ったことを素直に口にした…だけ
「またそんな冷たいこと言う〜〜〜」
は?はぁ?
「でも確かにそうだな。オレなんでこれ書いたんだろ…ちょっとメール調べるわ」
どうぞ存分にお調べください
やれやれ…
自分の作業に戻らなくては…
「つきこさん、メールきてたわ!メールに添付されてたよ、ハハハー」
「PDFで来てたんですか?よかったですねー」
わたしは何をやってたんだっけな…
自分の時間を5分ほど巻き戻す。
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