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Footprints あしあと その3

それはジェットコースター

8月末、検体を提出して。
結果は9月の定期の内科受診時に、ということになっていて。

9月下旬、定期の内科受診をする。
「結果出たよー」と見せてくれた用紙には、「+」の文字。
「生理だったりした?」
「ううん。外見的に『ないな』って思いつつ
検体採取してた。」
「前からあったの?」
「総診受診後、あやしいな…ってのはあったの。
でも続かないんだけど」
「どーする?胃カメラもしとく?」
(消化管からの出血あり、の状態なので
出血源の検索のため)
「だね…。」
「今って、女の先生も大腸カメラしてるの。
その日にする?」
「あ…その日、ワクチン4回目」
「そっか…じゃ、4日後ね。
(病理診断の)結果出るまで2週間だから…
10月に胃カメラして、結果ね」
と、あっさり検査日程が決まる。

幸いなひと

こころの準備もなにも…な状態で、検査日程が出て。
淡々と検査に向かうしかなかったのだけど。

午後からの検査になっていて。
内科外来で受付をした時に
病棟から外来に異動していて、病棟当時から関わりを持ってくれている
看護師の綾さんに会う。

「今日、しーちゃん来るんだ…ってカルテ見てびっくりしたー」
「そーなのよ…。気持ちが追い付かねぇ…」
「だよねぇ…。検査、初めて?」
「うん。」
「がんばれー」
「がんばるー」

検査前の最終確認を待っていた時に
病棟から外来に異動になって
外来でも見かけると関わりを持ってくれている
彩子さんに会う。
「今日、○○先生(内科主治医の診察)?」
「ううんー。検査ー。」
「え?どーした?」
「血便?って受診して、便潜血プラスで」
「そうなのね…がんばれー」
「がんばるー」

大腸カメラは放射線科で実施しているので
待っていた時に
整形外来で関わりを持ってくれているはるみさんが
患者さんのレントゲンを撮るのに来て
「しまさん、どーした?元気?ごはん食べてる?」
「元気ー。点滴使ってないー。検査ー。」
「えーっ。どーした?」
「血便か?で便潜血したらプラスで。それ聞いた4日後に検査ー。」
「えーっ。気持ちついてってる?」
「ついてけねぇ…」
「だよねぇ…。」

そして、患者さんをレントゲン室に搬送して。
終わって帰る時に
「じゃ、しまさんがんばれー」
「がんばるー」と言っていた時に
整形外来で13年、わたしを看てくれている美和さんが
患者さんをレントゲン室に搬送して来て。
はるみさんと入れ違いになったのだけど。

「え?しまさん??どーした?何があった?」
「検査ー。」
「えーっ。」

…と、外来でわたしに関わり続けてくれている看護師さん達全員と
検査前に会うことができて。
検査前の緊張や、気持ちが追いつかないでいることを
伝えることになって。

少し気持ちが楽な状態で検査を受けることができた。

またしても、ジェットコースター

そして、内科受診日。
「結果出たよー。がんだって。
でも、取りきれてるから大丈夫。」
「やっぱり?そんな気がしてたのよ。
取れるかビミョーって言われたり
取ったの見せてくれたんだけど
組織広く取ってたからさ…。」
「でね、胃カメラなんだけど。
ポリープあるんだよね。」
「うん、知ってる。前からだし。」
「前回(2年前)と比べると、すごい増えてるから
消化器内科受診を、って書いてあるの。
(内視鏡実施の先生からのコメント)
次、整形に来る日に消化器内科受診してもらっていい?」
「はーい。
てか、今度は胃なの~。マジか…」

いろいろと揺らぐお年頃。
あちこちいろいろ出てくるお年頃ではあるけれど。

大腸カメラから受診までのあいだに
アレルギー発症して搬送されたり。

取りきれているとはいえ、がんが見つかっていて。
母方の方で、大腸がんがわたしで3代続いて出ているので
わたしんとこに来たか…って言うのがあったり。

この数ヶ月、がんで治療中だった方々が次々と旅立っている、というのもあって。

ちょっとメンタルが引っ張られてしまって。
眠気はあるのに、目を閉じると寝付けないとか。
ごはんどころじゃなくなってしまい。

大学病院の精神科主治医に助けを求めて。
抗不安薬の助けを借りることにも、なったけれど。

「気持ちがついていかん」
「こんななってる(手で波を表す)」と
告知後、整形外来に寄って看護師さんに話をした時に
「なるよ。そりゃなるよ。なるってば。
聞いたわたしだって、気持ちがついていかんだもん。
(気持ちがついていかないんだもん)」
「でも、話してくれて嬉しい。
しまさん、1人で抱えないで『言って』くれたから」と。

Footprints あしあと

ある夜、わたしは夢を見た。
わたしは、主とともに、なぎさを歩いていた。
暗い夜空に、これまでのわたしの人生が映し出された。
どの光景にも、砂の上にふたりのあしあとが残されていた。
ひとつはわたしのあしあと、もう一つは主のあしあとであった。

これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、
わたしは、砂の上のあしあとに目を留めた。
そこには一つのあしあとしかなかった。
わたしの人生でいちばんつらく、悲しい時だった。

このことがいつもわたしの心を乱していたので、
わたしはその悩みについて主にお尋ねした。
「主よ。わたしがあなたに従うと決心したとき、
あなたは、すべての道において、わたしとともに歩み、
わたしと語り合ってくださると約束されました。
それなのに、わたしの人生のいちばんつらい時、
ひとりのあしあとしかなかったのです。
いちばんあなたを必要としたときに、
あなたが、なぜ、わたしを捨てられたのか、
わたしにはわかりません。」

主は、ささやかれた。
「わたしの大切な子よ。
わたしは、あなたを愛している。あなたを決して捨てたりはしない。
ましてや、苦しみや試みの時に。
あしあとがひとつだったとき、
わたしはあなたを背負って歩いていた。」

―――――

背負っていてもらっているんだな…
愛されているんだな…と
じんわりとこころが熱くなる。

症状に気づくことができて。
「いつもと違うことがあったら、いつでも相談して」と言ってもらえる環境があって。
対応してもらえる医療機関があって。
精神的に支えてもらえる体制がある。

本当に、本当に、ありがたい…

そして
「今」のわたしだから、対応できているのだとも思う。

このタイミングでわかって
最小限の負担で治療できたことも。

気持ちの揺れが少し大きくて
お薬の助けを借りることになったけれど。

「助けて!」が言えた自分、偉い!って思うようにして。

今はその是非を問わないことにしています。

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