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44「詩」真夜中の出来事

今日から明日に変わる隙間に
ひっそりと膝を抱えて俯いている少女がいる
今日やり残したことを指を折りながら
数えている
ひとつ
ふたつ
みっつめを数えた時に
柱時計が零時の時を刻み始める
最後の音の響きが小さくなって消える前に
少女は姿を消してしまう
「また同じ隙間で待っています」
少女の声を聞いたような気がした

そうして明日が今日になった

毎日はうんざりするくらい
同じことの繰り返しだ
繰り返す時間の中で
気づかないくらい小さなところから
年老いていく

残された隙間が
あとどのくらいあるのだろう
今日やり残したことはいくつあっただろう
考えていると
気怠い焦りに埋もれて息が苦しくなる


なるようになるさ
猫がフワフワした尻尾を大きく振って
頬のあたりを撫でていく

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