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The Bookmarcs / BOOKMARC SEASON (2021)

アナログレコード、カセット、CD、音楽ストリーミング・サービス。日頃から、そのときの気分と聴きたい音楽によって、その都度聴く手段を使い分けている。

近年は、やはり気軽さもあってストリーミング・サービスで聴く機会が一番多いのは確か。特に昨年末にアレクサをリビングに導入してからは、「アレクサ、〇〇〇〇の曲をかけて」とそのときに頭に浮かんだアーティスト名を挙げて、BGM代わりに聴いている時間が圧倒的に増えた。アルバム単位でアレクサに指定をすると、なかなかうまく伝わらなくてイライラすることが多いので、その場合はいくつかの再生手段をそのときどきで選択している。

シングルだったり一曲単位で聴くとなると、ターンテーブルにレコードを乗せるか、Youtubeでチェックしていることが多い。

昨年この形でよく聴いた作品のひとつが、近藤健太郎さんの3トラック7inchシングル「begin」。

昨年の春に手にしたこの作品は、英国調の楽曲と落ち着きと甘さが程よい近藤さんのボーカルが心地よくて、いまだによく聴いている。モノクロ調の映像のMVの雰囲気もとても良くて、ついつい何度も繰り返しリピートしてしまう。彼の作品を耳にしていると、もう少し長い尺で味わっていたいと思ってしまうので、本シングルリリース時のインタビューで話していた氏のフルアルバムが形になるのを心待ちにしている次第。

その近藤さんが参加しているユニットのひとつが、The Bookmarcs。昨年秋にドロップされた3rdアルバム『BOOKMARC SEASON』も、自分の生活の一部といっていいくらいにはスピーカーから音が流れている。

アルバムのテーマが“季節”という大枠なことも、よくこの作品を耳にしている要因のひとつ、だと思う。“春”や“夏”などの枠で作られた作品というのは、どうしてもその他の季節には聴きにくくなったりするものだから。

例えば、自分が一年通してよく聴いているアルバムのひとつに、Livingstone Daisy『33 Minutes Before The Light』という作品がある。このアルバムはb-flowerの八野英史さんや細海魚さんの別ユニットによる作品なのであるが、アコースティック〜フォーク・エレクトロニカの楽曲が一定のトーンで淡々と連なっている。ただ四季折々の情景がとても美しく切れのある詩で歌われていることもあり、その音や歌詞に意識を傾けながら聴いていると、本当に飽きることがない(すでに1000回以上は軽く聴いているはずなのに)。

The Bookmarcsの3rdアルバムは、歌詞はもちろんではあるのだけれど、曲ごとに季節をカラフルに感じられるアレンジの表情が豊かなのが良い。そして、一曲一曲かなり練り込まれているはずなのに、軽やかさの一点において通徹されているその様が、聴いていてただただ気持ちよい。そこには、彼らの音楽を何度もリピートしたくなってしまう音楽の魔法が、確かに宿っている、と思ってしまうのだ。

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