日本のODA

バングラデシュの水道事業「パニPJ」。
先日CWASAのオフィスに訪問し、そのバニPJの中核を担っている日本人の方のお話を伺わせていただきました(「パニ」はベンガル語で「水」という意味です)。
▼このPJはjicaのホームページにも取り上げられています。
http://www.jica.go.jp/bangladesh/english/office/about/story_05.html

通されたのはバングラには珍しい(たぶん)、コンピュータなどIT機器がひしめき合うオフィス。
現地の水道管や顧客情報、地図など事業に関連するあらゆる情報をデータベース化して管理している、いわば「パニPJの脳みそ」です。

チッタゴンの市民たちにキレイで安全な水を提供するために、トータルで想定12年半を見込む壮大なプロジェクトが動いていました。
このPJには入れ替わり立ち替わりで多くの日本人の方々が関わってきており、現在は16,7人の日本人が現地の人々の教育をしながらこのPJを進めています。
これほど長い年月と莫大なお金、多くの人々を要する大きなPJはそうはありません。

日本では家には水道があって、蛇口をひねればそこから水が出てくるというのは一般家庭ではごく当たり前のことです。
しかし、ここバングラデシュでは、たとえお金を払って水道を通しても、24時間365日いつでも蛇口をひねれば水が出てくるというわけにはいきません。
そのため市民は近くの井戸から水を汲んだり、水をバケツ等に溜めておいたり、各家庭では水は止まるという前提で準備をしているというのが現状です。

彼は言います。
「ここまで信用を落としてしまった今、すべきことは市民からの信用を取り戻すこと。そのためにはまず、安全な水をしっかり継続的に家庭に届けること。お金を請求するのはそのあとだ。」

そうして始まったこのPJがまず着手したのは現状把握。
市内を4区画に分け、総勢30人くらいが3年半かけて一軒一軒回り、契約しているかどうか、毎月しっかり料金を払っているかどうかを調べ上げました。

さらに驚いたのはチッタゴンの地図がない!という事実。
ちなみにバングラデシュには首都ダッカ以外に地図はなく、チッタゴンの地図は2017年完成予定なんだそう。
そこまで待ってられないということで地図の代わりに衛星画像を使い、集めた顧客情報を併せて、データベースに管理しています。

現在は少しずつ管理区域を市内中心部から郊外に拡大したり、
敷かれているパイプすべてを新しく入れ替えたり、
配管工を育成したりとさまざまな動きが同時平行で進められています。

意識が遠くなるほどの長いスパンと解決すべき多くの問題を抱えるこの壮大なPJは、多くの日本人たちが主導となって、日々着実にその目指す先に向かって前進しています。

そう思うと自分は何もしていないのですが、同じ日本人としてなんだか誇らしい気持ちになりました。

日本のODAは現地で活躍する日本人たちによって、確かに有意義な事業に活かされています!


(本記事の執筆は2014年秋です)

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