登山靴は何になさいますか?
どうしろというのか?こっちが聞きてぇという話
今、オレは登山を始めた頃の初々しい自分の姿を思い出している。
富士山に登ることにしたオレは登山靴とセパレートのカッパとザックを揃えよう!みたいなお買いものクエストの旅にでた。
高い!全てのモノが高すぎる!
エセアウトドアフリークだったオレは、ノースフェイスのゴアテックスのジャケットとカリマーのザックは持っていたので、そこは有り物で済ませて登山靴に一極集中することにした。
今のオレなら、高田馬場のカモシカに行くところだが、その頃のオレは高田馬場という鉄腕アトムメロディに包まれた街にそこはかとない恐怖を抱いていたので、家の近くのモンベルで買うことにした。
モンベルに対して、さほどネガティブなイメージを持っていなかったとゆうのもある。
早速、売り場のお兄さんに富士山に行く旨をつたえると、しっかりした靴が良いという。スニーカーではダメということだ。この辺は想定内である。
しかし、お兄さんはさらにいう。ハイカットが良いと。え?それって、街で履きづらくないか?と内心では思いながら、ワオナブーツみたいな変な名前のゴツい靴を試みに履いた。
思えばこの辺から、それまで靴に対して持っていた自分のワールドについての自負が揺らいできたのだと思う。だって、ワオナだよ!
モンベルとゆう老若男女、清濁を分かたず、山屋のついでにカヌーイストも吞み込もうとするモンスターブランドの恐ろしさをオレはまだ知らなかった。
足幅が合わない旨を伝えると、今日のその時がやってまいりましたっ!みたいな感じになった。アゾロとゆう靴がございます!と、お兄さんがゆう。
ドリフターGV!これは!?全員集合ファンであるオレへのモンベル神からの贈り物であると思いこんでしまっても仕方ない。
買っちゃいました。
そして、満を持して臨んだ富士登山は超絶暴風雨に見舞われて、わちゃくちゃになったわけだが、足は至極快適だった。
この靴を相棒としてオレの登山ライフが始まったのだ。
しかし、蜜月は長くは続かなかった。その後の登山では、足の親指が激しく擦れるという現象が起きてしまった。足の幅はちょうど良かったが、足が薄過ぎて靴の中で足が微妙に動いてしまうのだ。急峻な山道のくだりやロングルートでは摩擦で足指の皮がやられてしまう。
絶望である。足に合う靴探しがはじまった。まさにドリフターじゃねえか?呪われている。
すっかり、足の親指がやられた頃に季節は冬へとさしかかっていた。オレは冬靴を探す旅に出た。それはリアルな旅だったが、それはまた別の話だ。