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【臨床各論】オープニングスナップって?心臓弁膜疾患まとめ

【2019/08/17 更新】このノートは鍼灸師の国家試験対策用にまとめています。

はじめに

こんにちは、鍼灸国試対策ノート作成中の「もむけ」です。

このノートは
【臨床医学各論】心臓弁膜疾患について
をまとめていきます。

心臓の弁膜になんらかの異常が出てくる疾患をまとめていきます。

疾患の問題でよく出てくるのは、原因と好発年齢・特殊な分類や検査法などです。原因というのは別に発生までのメカニズムではなく、〇〇菌が原因というはっきりとわかるものだけで大丈夫です。

なんとなく、「心臓の弁膜がやられてしまったらこうなりそうだな…」というような症状は聞かれませんので一言一句覚えるなんてことはしなくてOK。

▶僧帽弁開放音をopening snap(オープニングスナップ)といい僧帽弁の弁膜症で発生します。

心臓弁膜疾患【僧帽弁狭窄症】

僧帽弁口がなんらかの原因で狭窄し、拡張期に左房から左室への血液流入が障害される状態を言う。

僧帽弁がまず心臓のどっちに付いているか、どの部屋とどの部屋を結んでいるか思い出せない場合はこちらの記事もご確認ください。


僧帽弁は心臓の左側、左心房と左心室を分けている弁です。
この弁が狭くなるということをイメージしてください。

心房から心室へ下に流れるはずだった血液が流れないので、「心房圧が上昇」します。その結果その血液の圧力によって「心房は肥大」します。

▶︎原因
リウマチ熱(A群溶血性連鎖球菌)を原因としたものが多い

リウマチ熱による感染から、僧帽弁狭窄症による症状が出現するまでに20年程度の間隔がある

原因から以下のような選択肢は"誤り"であると言えます。

1、 僧帽弁狭窄症はリウマチ熱発症とともに発症する
2、 僧帽弁狭窄症はリケッチアを原因として発症する


▶︎特徴的症状
・I音が強くなる
・Ⅱ音の後 僧帽弁開放音(opening snap)と拡張期ランブル音を心尖部で聴取する
・起座呼吸
・血栓


心音 I音とⅡ音が出てきました。心周期の心音について記憶が曖昧な方はこちらもご確認ください。

▶︎第1心音
「房室弁」の閉鎖音 心尖部で聴取する

▶︎第2心音
「動脈弁」の閉鎖音 心底部で聴取する

本来、肺動脈弁・大動脈弁が閉鎖する音が聞こえるタイミングで、僧帽弁部で音が聞こえます。

これを「僧帽弁開放音」といい「opening snap」といいます。


▶︎起座呼吸について
人間が立った状態をイメージしてください。
人間が立っている状態では重力は体の上から下に向かいます。ですが、寝た状態(横臥位)では重力方向は胸から背中方向になります。

僧帽弁が狭窄することによって左心房から左心室へ流れる血液は重力の力を借りてなんとか下に降っていたものが寝てしまうと重力の力を借りれる流れが悪くなります。

その結果、灌流うっ滞が強まり、起座呼吸(座って呼吸がしたくなる)が発生します。

それと同じ発生機序で「夜間発作性呼吸困難」も発生します。


▶︎血栓について
僧帽弁が狭窄すると本来一度で循環できていたはずの血液が心臓内をぐるぐると回るようになります。

自然の川と同じように流れがあるところは綺麗ですが、流れが止まってしまうようなところは汚れてきますよね。

その結果、古い血液が固まりになって血栓となります。

本当に小さな血の塊でも心臓の駆出によって腎臓や脳に到着するとそこで末梢血管をつまらせます。

これを塞栓症といいます。


▶︎僧帽弁狭窄症まとめ【覚えておくキーワード】
「リウマチ熱(A群溶血性連鎖球菌)」「20年後に発症」「僧帽弁開放音(opening snap)」「拡張期ランブル音」「起座呼吸」「夜間突発性呼吸困難」「血栓(塞栓症)」


心臓弁膜疾患【僧帽弁閉鎖不全症】

心臓の収縮期に僧帽弁が完全に閉鎖しないため、左心室から左心房へ血液の逆流が生じる状態を言う

先程の「僧帽弁狭窄症」は僧帽弁の血液が通る穴が狭くなる状態ですが、この「僧帽弁閉鎖不全症」は本来逆流しないように蓋をする弁が閉まらないために色々な症状を呈する。

肺で交換したばかりの新鮮な血液を全身に送ることができなくなるため、疲れやすくなります。そのため「疲労感」「労作時呼吸苦」「起座呼吸」が現れる

▶︎原因
急性の僧帽弁閉鎖不全症には「感染性心内膜炎」「腱索・乳頭筋の断裂」「人工弁機能不全」がある。

慢性の僧帽弁閉鎖不全症は「リウマチ性」「腱索断裂」などがある。

「男性に多く」重症僧帽弁閉鎖不全症の3分の1はリウマチ性である。
リウマチ性のものは「僧帽弁狭窄症」も合併していることが多い。

▶︎特徴的症状
・血圧は正常。
・心尖部にthrillを触れる。
・僧帽弁に石灰沈着
・Ⅰ音が欠損・または雑音にまぎれる


▶︎血圧は正常。
僧帽弁閉鎖不全症は血圧は正常であることが多い。というのは意外かと思います。なので下記のような選択肢は誤りです。

1、僧帽弁閉鎖不全症は低血圧を呈する


▶︎心尖部に「thrill」を触れる
「thrill」とは血管の振戦のことで、大量の血液が弁を通過する時に生じる。
僧帽弁閉鎖不全症は逆流することで血液量が増えるため弁を通る血液量が増える。


▶︎僧帽弁に「石灰沈着」が現れる
現れます。これが剥がれて脳に飛んでいくと脳塞栓とかに発展します。


▶︎Ⅰ音は欠損・雑音に紛れる
僧帽弁がうまく閉じないのでⅠ音が聞こえなくなる。または雑音に紛れてしまう。

僧帽弁閉鎖不全症では「収縮期雑音」が特徴的である。

ということなので覚えておきましょう。


▶︎診断・分類について
僧帽弁閉鎖不全症では特徴的な診断があったり・名前のつけられた分類があったりします。

中身までは覚えなくても大丈夫ですが、名前ぐらいは覚えておきましょう。

・カーリーのB線
・NYHA機能分類
・Sellersの分類


▶︎カーリーのB線
カーリーのB線は心不全の時に見られるX線写真の所見です。

▶︎NYHA機能分類
New York Heart Associationの略 (本当にニューヨークです。)

▶︎Sellersの分類
中身については割愛しますが、「NYHA機能分類」「Sellersの分類」共にⅢ度以上のものが手術適用となります。


▶︎僧帽弁閉鎖不全症まとめ【覚えておくキーワード】
「収縮期雑音」「石灰沈着」「塞栓」「カーリーのB線」「NYHA」「Sellers」


心臓弁膜疾患【僧帽弁逸脱症候群】

僧帽弁の前尖あるいは後尖が、収縮期に左房側へ突出する状態を僧帽弁逸脱と呼び、それにともなうさまざまな症候群を僧帽弁逸脱症候群という。

そんなに国試には出てこないかも・・・
なぜかというと大部分が原因不明だからです。

▶︎女性に多い。マルファン症候群が疑われる患者に見られることが多い


心臓弁膜疾患【大動脈弁狭窄症】

何らかの原因により大動脈弁口が狭窄し、左心室から大動脈への駆出が障害される状態を言う。

慢性心臓弁膜疾患の約4分の1が大動脈弁狭窄症である。
8割が男性である。


▶︎特徴症状について
・「労作性呼吸苦」「狭心症状」「失神」が3つの大きな特徴。

・逆流性雑音
・収縮期のthrill


▶︎「狭心症状」を呈する。
ということなので狭心症時は「ニトログリセリン」が有効です。


▶︎「駆出性収縮期雑音」について
教科書上には「駆出性収縮期雑音」を認めると記載があります。
頸動脈まで音が伝搬する。

動脈弁の狭窄があるためそこのところで雑音が生じる。


▶︎大動脈弁狭窄症まとめ【覚えておくキーワード】
「8割男性」「労作時呼吸苦」「狭心症状」「失神」「
駆出性収縮期雑音」「遅脈」


心臓弁膜疾患【大動脈弁閉鎖不全症】

何らかの原因により、拡張期に大動脈弁が完全に閉鎖しないため、大動脈から左心室へ血液が逆流する状態をいう。

先ほどのが大動脈弁が狭窄している状態で大動脈閉鎖不全症は大動脈弁が閉じない状態です。

現在は、動脈硬化性大動脈弁閉鎖不全症が増加しています。

僧帽弁閉鎖不全症に比べて動脈弁の方が出力が強いため、収縮期に頭部が揺れるほどの駆出が見られることがある。

▶︎特徴的な症状
・起座呼吸
・夜間発作性呼吸困難
・肺うっ血
・逆流性雑音

僧帽弁閉鎖不全症の時と同様に、横向きになることで重力方向が変わり血液分布が変わるため「起座呼吸」や「夜間発作性呼吸困難」などが現れる。


▶︎肺うっ血について
動脈弁が閉じないため、本来体全体をめぐるはずの血液がどんどん心臓に溜まっていきます。心臓にたまりきれない血液が肺にまで溜まってきたら肺うっ血が完成します。

少しだけちゃんと説明をすると、拡張末期の左室圧上昇することで僧帽弁が早く閉じます。

その結果、左房圧上昇し、肺うっ血が発生します。


▶︎大動脈弁閉鎖不全症まとめ【覚えておくキーワード】
「起座呼吸」「夜間発作性呼吸困難」「肺うっ血」「逆流性雑音」


心臓弁膜疾患まとめ

弁膜疾患として三尖弁・肺動脈弁でも同様に狭窄症と閉鎖不全症とがある。リウマチ性・感染性。心内膜炎・肺高血圧などが原因であり、右心房の負荷や右室負荷の所見を呈し、右心不全の症状をきたす。このとき僧帽弁や大動脈弁にも異常を認める場合が多い

ということなので、全ての弁膜疾患にリウマチ熱が関係してきます。
そしてそのリウマチ性のものも現在では減少傾向にあると記載があります。

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