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クワガタのためにインスタントコーヒーをガブ飲みする

 昨夏、ノコギリクワガタを捕まえた。小学生の娘にせがまれて昆虫採集に出かけたのである。

 娘にお願いされると父は弱い。
「よし任せとけ!」

 そう言い放ったものの実はこれが人生初の昆虫採集。懐中電灯の光が、あの立派なアゴを持ったノコギリクワガタの姿をとらえた時は、娘よりも僕の方が興奮していた。運よくメスも捕まえることができ、ペアとして飼育をはじめた。

 よくない癖なのだが、子供と接しているとどうしても「教育」や「学び」が頭の片隅に浮かんできてしまう。このノコギリクワガタの飼育にしてもそう。純粋に楽しめばいいのに、もし産卵して成虫まで育てることができたら素晴らしい「学び」になるのでは?と思ってしまったのである。

 そして、僕のインスタントコーヒー生活もはじまった。

↑インスタントコーヒーを美味しくする方法は最後に

 越冬しないノコギリクワガタはまずオスが晩秋にその天寿をまっとうした。メスは11月の半ばの時点ではまだ生きていた。産卵していないか土を掘り返して触れたところ反応があった。しかし、動きはかなり弱々しくなったと感じた。

 残念ながら卵や孵化した幼虫の姿を見つけることはできなかった。寒い冬はもうすぐそこ。この時期からの産卵は見込めず、メスの寿命も近いだろうとそっとしておくことにした。以降は掘り返すこともなく啓蟄を迎えた。

 とある週末の朝、飼育箱を掃除しようと土を割り出してみた。予想していた通りメスは寿命を迎えていたのだが・・・その傍らで小さく蠢いている何かが目に入った。

 よく見ると何と幼虫のようだった。しかも8匹!飼育箱にはコバエ除けシートを取り付けており、外部からの侵入は考えられない。画像検索したところどう見てもノコギリクワガタの幼虫のようだった。

 前回掘り起こした際に見落としていなかったとすれば11月半ば以降に産卵したことになる。これはかなり遅い方のよう。こちらがあきらめていたにも関わらず、最後の最後に大仕事をしてくれていたことに思わず感動し、動かなくなったメスを丁重に葬った。

 ここでついにインスタントコーヒーの出番だ。夏以来飲み続けて結局9瓶も空にした。一時は捨ててしまおうかと考えたが、思いとどまってよかった。実はこの瓶こそ幼虫の飼育ケースになるのだ。

 空き瓶に幼虫マットを詰め、1瓶に1匹やさしく入れていく。娘にも幼虫から育てる体験、そしてメタモルフォーゼの不思議さを実感してもらおうと誘ったところ、娘の口から発せられたのは衝撃の一言だった・・・

↑8匹とも無事成虫になってくれるといいなぁ

 「気持ち悪いから絶対に見せないで!」

 ・・・どうやらカブトムシやクワガタの成虫は好きだけど、幼虫はこの世で三本指に入るほど苦手なのだという。こういう時の娘はあの手この手で伝えても首を縦に振ることはない。まぁわからなくもないか、ということで、目論見は見事に外れ結局1人で育てることに。蛹になったらまた誘ってみよう。きっと嫌がられるだろうけれど。

 ところでインスタントコーヒーを飲み続けていた時、もっと美味しく飲む方法がないかいろいろ試してみたことがある。

 一番のお気に入りは電子レンジでチンすること。カップに粉と水を入れ600Wで2分間。表面に細かい泡が立つくらいがちょうどいい。普通に飲む時と比べると独特のクセが抜け、嘘みたいに味が変わるのでぜひお試しを。ただし温めすぎると突沸の可能性があるので火傷には十分ご注意くださいまし。

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