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85. バスは桜のトンネルをくぐる。

街に咲く桜が、大きなスーパーマーケットが、小さな塾が、道端の小さい花が、バスの窓から見えるいろんなものが全部愛おしく見えてたまらない夕方。

桜が好きだけど、それを見上げる人を見てるのも、なんか好きだ。桜を見に来たわけじゃなくても、この淡くてきれいな花びらを見られるのは今だけだって知ってるから、やっぱり見ておきたくなって顔をあげちゃう。その気持ちに抗えずにふと立ち止まって桜を見上げる姿が、結構可愛らしくて好き。
そしてその人たちが歩く街にある小さな塾や大きなスーパーにも、そんな素朴で素直な気持ちがころがってるのかもと想像すると、なんとなく愛おしく思える。

生まれ育ったわけじゃないこの街をただバスの窓から眺めるだけで、そういう人の温度を感じられるようになったのは、私が安心して大人になってる証拠だな。きっと。

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そんなことを先週末メモっていたら、気がつくと桜は一気に葉桜に変わっていた。
街が淡いピンクから爽やかな緑へ変わる。ちょっと寂しい感じもするけど、この、木のやる気と生命力を感じる色もかなり好きだ。そうだよね、桜の木にとってはきっとこれからが本番で、葉っぱを広げてぐんぐん太陽を浴びていくぜ!という勢いを感じる。いいぞ。やってやれ。

儚げな淡いピンクや、やる気満々の緑を写真に残したいけど、結局目で見て匂いをかいで全身で感じることには勝てない、といつも思う。だから、一瞬で過ぎてしまうこの素敵な季節の空気を、今のうちにいっぱい吸い込んでおきたい。

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