第四話 「令和三十年七月二十日(月)大阪 現代のお座敷(ZAXI)」
ナイスシニア・荒川の家は今どき、タワーマンションの40階にしては珍しく、奥が和室になっている。和室には一段高く高座が設えられており、赤い毛氈が綺麗に敷かれている。毛氈の上に大きな紫色の座布団がちょこんと置いてある。そして高座の後ろには、金色の屏風まで用意されている。この和室は、落語を聴くためだけに存在し、この設えが変わることはない。
高座に正対して、一段低い畳の上に座布団を敷き、荒川が一人座っている。
高座の座布団に向かって、曽呂利新左衛門が歩き出す。一段高い高座へ悠々と座り