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敷地面積は東京ドームグラウンドの約7倍!広大な物流拠点の立上げプロジェクトに向き合う仕事とは!?

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。

小瀬さん
2016年5月モノタロウへ中途入社。アパレルメーカーの物流子会社で10年以上勤務した後、茨城県の笠間ディストリビューションセンター(以下DC)の立上げ時から参加。現在は笠間DCの出荷グループピッキングチームのチームリーダーを担当。

ー 本日はよろしくお願いいたします。小瀬さんは中途入社とのことですが、モノタロウとの出会いはどこだったのでしょうか。

私は茨城県在住なんですが、前職の勤務地が栃木ということもあり、通勤時間のネックと、当時のファストファッションの台頭もあり、転職を考えておりました。そうしたときに「茨城県でモノタロウの笠間DCの工事が始まるぞ」という話を聞きまして。毎日求人募集がスタートしないかとインターネットを見ていました。後に伺った話だと、2人目の応募者だったとのことです(笑) 入社したタイミングでは、笠間DCはまだ更地だったように記憶しています。


 ▼笠間DC起工前の様子

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笠間DCの立上げプロジェクトにどのように関わったのか

ー 笠間DCの立上背景とは、どういったものだったのですか
2010年以降、当社は年20%の売上成長を継続しています。それは3~4年で売上が倍になるペースです。商品点数やお客さまの数が増え、それに伴い出荷量も増加していきます。ですから、より効率的により多くの物量を出荷できる機能が必要だったことや一拠点体制ではなく災害などに対するリスク分散の意味もあり、また関東のお客さまにスピーディーかつ低コストでお届けするためにも、新たな拠点が必要だった、と伺っています。

ー その立上げにあたって、どのような業務を担当されていたのでしょうか。
業務としては主に出荷のオペレーション構築です。入社してからの流れとしては、当時は茨城県に拠点がありませんでしたので、まずはモノタロウの物流を学ぶために尼崎DCで業務を覚え、笠間DCに着任をしました。
入社前は更地だった笠間DCが、着任タイミングでは建屋や内装やマテハン(マテリアルハンドリング。ここではコンベア等の搬送装置の意味)などが一通り形になっていました。私が担当したことは、実際に稼働させ、運用が軌道に乗るまでを形作る仕事でした。

ー 具体的にはどういったことをされたのでしょうか。
物流に携わる私たちがやらなければならないことは「お客さまとの約束を守る」ということなんです。納期通りに、お客さまが求める商品が的確に届いてこそ、お客さまにご満足いただけます。
ですから、建物が出来上がった、マテハンが導入された、それだけで運用できるものではなくて、実際にお客さまから注文が入った後に、DCに出荷指示が来たオーダーをミスなく滞りなく出荷できる体制の構築を行い、日々安定したオペレーションを行うことが非常に重要なんです。

そのために例えば、茨城に着任してからの2か月~3か月で能力試算や物量試算、オペレーション計画から、現場の備品・資材の準備、倉庫内の表示、作業教育、設備トラブル発生時の対応など多岐にわたり検討していきました。稼働後も毎日良かった点、悪かった点の振り返りを行い、翌日のためにできることを、日々しっかりと考えて取り組んでいました。

 ▼完成後の笠間DCの様子

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  ※笠間DCの様子は、下記の動画もご参照ください
  https://www.youtube.com/watch?v=LbVQL6WCDkc


ー そういえば当時はRacrew(ラックル:自動搬送ロボット)を使った倉庫は当社にはなかったかと思います。ゼロから形にされていかれたということだったんですね。

そうですね。いわゆるロボットによる搬送や、プロジェクションマッピング技術を応用したピッキングなどは、本当に初めてでした。
やはり歩行によるカートピッキングと比べて作業者の方の疲労も少なく、指示された棚の間口を探すことも無いので生産性も上がりました。ただ初めてだったので当初は異常発生時の対応や搬送ロジックなどは戸惑いもありましたが、徐々に理解を深め対応出来るようになりました。


 ▼Recrew

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チーム一丸で取り組んだ稼働初日

ー そうして綿密に準備されて迎えた稼働当日はいかがだったのでしょうか。
いやー、本当に大変でした!
出荷初日まで準備はしていましたが実際に当日になってみると緊張もしますし、緊張しすぎてあまりよく覚えていないくらいです(笑)

通常は、ピッキング、検品、梱包といったそれぞれの業務を分担して運営するのですが、立ち上げ当初は、まだメンバーが少人数でしたので、その日はほぼ全員でピッキング、検品、梱包と順を追って作業していきました。

ー 全員で一緒にどんなふうに作業を行うのか確認されたのですか。
そういうことです。事前に研修してシミュレーションもしていますが、いざ稼働となると作業者の皆さんもやっぱり緊張もされますし、「この場合はどうすれば良いのか?」という疑問も当然生じてきますので。その都度確認して、共有して、本当にドタバタでした。

今となっては数百人が働く拠点ですが、稼働のタイミングでは出荷のチームはまだ10人くらいの人数でした。その皆で稼働当日はやり遂げていきましたね。


ー とても濃い一日になりそうですよね。ちなみに実際に何件ぐらい出荷されたのですか。

そうですね、何件だと思いますか(笑)?

ー 現在は確か1日に3万件以上を処理されているんですよね。それでしたら200件くらいでしょうか。

なるほど。それが実は...25件です(笑) 

ーたったの25件!
たったの25件なんですが、忘れられない25件です。笠間DCがまだ形になっていないときから知っていて、そしてこの出荷の時のために何ヶ月も準備してきましたから。トラックに積み込まれ、笠間DCから出ていく荷物を見送った時は、何というか、本当に感動しました。

成長していく笠間DC

ー その後はどのように笠間DCは成長していかれたんですか。
初日25件だったものが、1ヶ月目には1000件、2ヶ月で5000件、そして4ヶ月で10000件を出荷していました。先ほどお伝えしたような検討事項のオペレーションがそれぞれ固まればさらに増やして、笠間DCに出荷物量を任せてもらって、という流れでしたね。

ー すごい急成長ですね。さすがにそうなるとスタッフの方も10名では足りませんよね。
そうですそうです。翌週には10名増えて20名になり、最初からいたスタッフの方に新しい方へのレクチャーをしていただきながら、どんどん人数も物量も増えていきました。
働く人も出荷する商品も瞬く間に増えていって、庫内の景色がどんどん変わっていくのを目の当たりにする日々でした。「本日の出荷数は最高記録を更新しました!」などと言って、皆で拍手して喜んだり、大変でしたがやりがいの大きい日々でした。


ー 更にその後は、どのように推移していくんですか?
物量が増え、一時はオペレーションも安定してくるんですが物量の増加にも段階があり、設備能力に近くなればなるほど進捗管理もシビアになり、異常対応も迅速に行わないと当日出荷に間に合わなくなることもあります。また、エリア別の流量の変化にも対応しないと想定通りのオペレーションが出来ないことも分かりました。全ての商品をRacrewに運んでもらうのではなく他のエリアで作業する方が良い場合もあります。

ー え、笠間はRacrewによるピッキングだけではないのですか?
そうなんです。Racrewは商品が保管された棚を運んでくれますが、Racrewエリアでの作業に向かない商品もあります。頻繁に注文される商品の場合ですと、決まったエリアに集めておいて人がピッキングしたほうがいい場合もありますし、商品の重量や大きさも関係します。

ー なるほど。勉強になります。
ですので、どの商品をRacrew用の棚に保管するか、人が歩いてピッキングする棚に保管するか、等も大きなポイントなんです。こうしたものは販売データを活用しながら在庫管理グループが対応してくれています。

また笠間DCだけの話ではありませんが、まもなく大規模なオーダーマネジメントシステムが当社全体で導入されていきます。これによって笠間DCなのか、尼崎DCなのか、はたまたサプライヤーさんからの直送なのか、コストやリードタイム、在庫状況やお客さまの住所等の条件によって最適な配送ルートを導き出して、お客さまにとっての利便性の向上を目指していきます。


新拠点 茨城中央サテライトセンターの立上げに向けて


ー 2021年4月に、茨城中央サテライトセンター(以下、茨城中央SC)が稼働予定かと思います。ここに向けては、どのように関わっていらっしゃるのですか。
まだ茨城中央SCの建物は形になっていませんが、設備に関しての検討は既に進めています。モックアップ(実物大の模型)を笠間DCの敷地内に作り、環境を再現して、作業手順の検討や設備の仕様を検討したり、他には作業をする時に使用する画面などのシステム面の詳細を検討したりしていますね。

 ▼茨城中央SCの完成イメージ

茨城中央SC

ー 精緻に再現の上、検討されるのですね。
実際に形にならないと分からないことが多いんです。例えば実際の出荷作業を行っていただくスタッフには女性の方が多いんですね。そうすると私が使っても快適に使えるものが、スタッフの方々にとっては、棚の高さが高くて使いにくかったりするんです。実際にお使いになる方に意見を頂いて、いかに判断やアクションが速くできるかを考え、それを作業手順や実際の設備に反映していきますね。

ー 笠間DC立上げのときの経験はどのように活かされるのでしょうか?
例えばRacrew導入が初めてだったこともあって想定しきれていなかったことを改善しています。何度もRacrewが行き来することで、床が徐々に削れていくということがありますので、床材をより丈夫なものにするなど、ノウハウは随所に生きていますね。
新しい倉庫管理システムも導入しますので、その仕様を決めるところにも関わらせてもらっています。初めての経験なので本当にこれでいいのかと自問自答もしますし、責任重大でプレッシャーも感じますが、大きな意義があると実感しています。

 ▼2020年夏時点 茨城中央SC工事の様子

200727 - 茨城中央SC


これからの仲間に向けて

ー 転職によって所属する業界を変えられましたが、どういった印象を持ちましたか?
出荷対応が、多品種で、小ロット。対応能力の細かさが求められました。また前職までは大規模なマテハン設備はなく人手に頼る部分が多いオペレーションでしたが、当社の場合はシステムや自動化設備が導入されているということも大きな違いです。そうした分、より出荷というオペレーションを全体的、構造的にとらえられるようになったと感じています。

ー 未来の仲間に向けて、何かメッセージを。
常に改善していく風土がありますから、主体的に様々な物事に取り組んでいただける方が向いていると思います。何かが起きても臨機応変に対応できる、そうした状況もある意味楽しんでいただけると嬉しく思います。
やはり当社でのやりがいは「ここまでしかやっちゃダメだ」ということが無く、やれるんだったらどこまででもやっていいようなチャレンジができる環境があるということだと思います。ですから、主体性や判断力もどんどん身に付けて成長いただけることと思います。

ー 小瀬さん、本日はありがとうございました!


※当社は茨城中央SCに加え、2022年に猪名川DCの稼働を予定しております。猪名川DCは笠間DCの3倍近い延床面積を誇る物流センターとなる予定です。
https://www.prologis.co.jp/press-release/190729

▼猪名川DC

猪名川モデル図