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10年売れ続けるロングセラー商品を生み出す、モノタロウのプライベートブランドの秘訣

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。

モノタロウの商品展開の中でも重要な位置づけのオリジナル商品、いわゆるプライベートブランド(Private Brand)について、お話しいただきました。

1800万点の中からデータをもとに売れ筋の商品を中心にプライベートブランド化しており、重要品質は落とさず、価格はリーズナブルにご提供しているので、お客様の支持を集めています。今回は、プライベートブランド商品の採用と調達に“ペア”で取り組む二人にインタビューしました。

西原さん(33歳 取材時)
2019年10月にモノタロウに中途入社
商品開発部門 商品開発グループ PB商品採用担当
趣味は3年前から始めたゴルフで、スコア100切りが目標です。小学生の頃からサッカーをやっているのでフットサルをプレイすることも好きです。

馮さん(35歳 取材時)
2020年9月にモノタロウに中途入社
商品開発部門 商品開発グループ PB商品調達担当
旅行が好きでコロナ禍前はニューヨーク/タイ/スイスなどいろいろな所に出かけました。旅することで視野が広がり勉強になります。最近の週末はピアノを弾いてリフレッシュしています。

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Q. モノタロウに中途入社した経緯を教えてください。

西原(PB商品採用担当):
生活用品メーカーで、営業職を3年間経験した後に、家具/寝具/日用雑貨品/ペット用品/BtoB資材などの様々なカテゴリの商品開発を担当してきました。宮城県に住んでいましたが、子供ができ、両親にもっと会わせたいと思うようになり、実家の愛知県で転職先を探しました。
前職では、多種多様な素材を使い、幅広い分野の商品を開発してきましたが、愛知県は自動車産業が強く、一つの分野の製品を深掘りするタイプのメーカーが多いため、それは私の経験やスタイルに合わないと考えました。「商品開発は取り組んだ商品数と場数が一番のスキルアップにつながり、やればやるほど、新しいものに触れるほど、成長の場になる」と実感しており、それができる環境を転職後も持続していきたいと考えました。
そこで、関西にも転職先企業を探すエリアを広げてみたところ、間接資材で様々なカテゴリーの商品を扱っており、しかもプライベートブランドの開発強化を進めているというモノタロウの存在を知りました。自分のスタイルにとても合っていると感じ興味を持ちましたが、当初は、モノタロウに対してIT企業のイメージを抱いていたので、IT関連の仕事をしている友人に相談したところ、「すごい勢いで成長している会社であり、業界からも注目されているので、話を聞いておくべき」と助言をもらえたことが転職の後押しになりました。

馮(PB商品調達担当):
私は上海の出身で、中国の大学で建築設計を学び、日本に来て1年間日本語を勉強した後に、大学に入学して法律の勉強を4年間しました。卒業後は総合商社で貿易業務に携わり、アクセサリーや雑貨の輸出入を担当していました。仕入れや支払い、倉庫とのやりとりなど全般的に取り組んできました。
海外貿易の経験と中国語/日本語/英語の語学を活かして、より大きな舞台で活躍したいという動機で転職活動を始め、インターネット広告でモノタロウのことを知りました。私もモノタロウのことを友人に尋ねたところ多くの人が社名を知っていて、「世の中に浸透している企業だな」と感じました。モノタロウに特に共感した一番のポイントは間接資材という業界で独自のビジネスモデルを作って日本や世界の産業に貢献したいという「世の中への使命感」です。私もそれに携わりたいと感じて転職を決意しました。


Q. それぞれの担当業務について教えてください。


「1800万点の中からプライベートブランド化する商品を特定して取り組んでいく」
西原(PB商品採用担当):
モノタロウには「安全保護具・作業服・安全靴」「切削工具・研磨剤」「オフィスサプライ」など26種類のカテゴリーで1800万点の商品を販売しており、大きく分けるとナショナルブランド(商品部門が担当)とオリジナル商品のプライベートブランド(私たち商品開発部門が担当)の2種類があります。プライベートブランド商品の中には、市場で売れ筋の商品を自社の実績などから特定し、重要品質・仕様を実現できる商品を海外から探して輸入することや、国内メーカーにOEM提供してもらうパターン等があります。

馮(PB商品調達担当):
担当カテゴリーの商品の売上傾向やユーザーの購買履歴などのデータ分析を起点として、そこから新たにプライベートブランド化したい商品を決定します。そして、仕入先のサプライヤーの開拓や条件の交渉を進めていきます。実際にサンプル品を確認しながら品質基準をクリアしていくのはもちろんのこと輸入や販売にあたっての法令遵守も大切なポイントです。サプライヤーからモノタロウの物流センターへの納品業務も経て、最適な販売価格を分析決定して商品登録を済ませ、カタログ制作や販促チームとも連携して発売に至ります。


Q. なぜ、ペアで業務を進めるのですか?


「経験やスキルを活かして、それぞれの視点からダブルチェックするため」

馮(PB商品調達担当):
西原さんと私のように、モノタロウではPB商品採用担当とPB商品調達担当が二人一組のペアになって、プライベートブランド開発の業務を進めています。「商品の仕様はどうするか、守るべき法令は何があるか、サプライヤーにどんな依頼を行って交渉するか」など細部に至るまで、常に二人で共有してダブルチェックしながら進めています。
ペアで働く良い点は、各自が重視するポイントはそれぞれ異なるので、それが重なることで確認漏れが防げて、視野も広がって発想が深まることです。お互いの経験を混ぜ合わせることで刺激にもなり、一人で進めることよりも良い仕事をすることができます。

西原(PB商品採用担当):
一人の主観で商品開発を進めていると視野が狭くなってしまうことや、検討漏れ、見落としをしてしまうこともありますが、ペアになって進行することで、そういった状況に陥りにくくなります。社内の報告とは異なり、よりフレンドリーに考えの共有や相談ができるペアがいることで、業務進行の安心感や安定にもつながっています。また、私の場合は海外とのサプライヤーと取引するには言葉の壁があるので、馮さんのような中国語や英語のコミュニケーションができて貿易業務に長けている方がいると円滑に仕事ができます。

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西原(PB商品採用担当):
私の場合は、入社後の2ヶ月はペアでOJT(※)をしてもらい、3ヶ月目から自分のカテゴリを持たせていただきました。初めにペアを組んでいただいた先輩は、5年以上のプライベートブランド開発経験がありましたので、安心して業務に取り組め、わからないことがあれば細かに相談でき、大きなトラブルなく解決することができました。特別なトレーニングがあったわけではありませんが、実務ベースでペアとコミュニケーションを取りながら仕事ができたことにはとても助けられました。
※OJT:On the Job Trainingの略。職場の上司や先輩が、部下や新人に対して、実際の仕事を通じて指導、育成する教育方法のこと

馮(PB商品調達担当):
私も入社直後はベテランの方と一緒に業務を進めてもらいました。中途入社した時期がコロナ禍で大変な状況ではありましたが、先輩が毎日出社してくれて対面で資料を見せてもらいながら教えていただけたので、理解のスピードが早かったです。現在は西原さんとお互いの経験やスキルを活かしながら仕事ができています。

Q. モノタロウのプライベートブランド商品開発に求められることは?

「多くのお客様が求める商品を、PBとしてリーズナブルに提供しロングセラーを生み出すこと」

馮(PB商品調達担当):
私がお勧めするプライベートブランド商品は「精密作業用手袋」です。

てぶくろ

作業用途に応じて、指先や手の平がウレタン樹脂でコーティングされているのでスベリ止め効果に優れています。プライベートブランド化する以前の商品は金型の問題でフィット感が足りませんでしたが、メーカーに何度もサンプルを作ってもらい改善を重ねて、日本人の手にフィットしやすい工夫が実現できました。私たちも納得のできるプライベートブランド商品となり、リーズナブルな価格でご提供できております。

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西原(PB商品採用担当):
モノタロウが扱う商品は間接資材で、主なお客様は企業です。つまり私たちの商品を購入し使用してくださるのは、プロフェッショナルな方々です。一般消費者向けの例えば炊飯器や掃除機などの家電は短いと1年程でリニューアルされ旧製品は販売されなくなる一方、モノタロウの商品の特徴は「息の長いロングセラー商品」がとても多いです。数年どころか、10年以上前に発売したプライベートブランド商品が現在も同じように売れ続けているものも多くあります。

その理由はいくつかあるのですが、一つには手慣れた商品の方が良いとする現場の職人さんの想いがあります。やたらと高機能で新しい商品よりも、いつも使っている慣れたもの、信頼性のあるものを大切にされます。そういったことが職人芸にも反映されるのではと思います。他の理由としては、例えばネジのような規格が統一されているものの存在もあるかと思います。数年で変化してしまうと大混乱が起きますよね。

もちろん、新しいトレンドを掴むプライベートブランド商品も大事ですが、こうした背景から現場のベースを作っているのは定番商品であり、それが「リーズナブルな価格で、納期が早く、現場に届く」ことがモノタロウのプライベートブランド商品の強みとニーズだと考えております。
モノタロウのプライベートブランド開発において重要なことは、現場でニーズの高い商品、できれば購入先が限られているものを特定し、「機能と品質を損なうことなくリーズナブルな価格を実現し、安定的に供給できる商品を採用すること」であり、それがお客様に最も喜ばれると考えています。購入先が限られているものを特定するのがベターである理由ですが、小さな差異の商品が間接資材の市場には多く存在することが影響しています。購入先を特定することによって明確に必要とされる機能が把握でき、求められる品質・機能を精度高く選択することに繋がるからです。

一般的な小売りでは、プライベートブランド商品は販売目標に対して3割ほどの実績にとどまってしまうと聞いたことがあります。モノタロウではカテゴリー内の全体の販売実績等のデータから多岐にわたる分析結果があり、自身が調べた市場データと合わせて検討することで、どんな商品を採用・値付けしたらよいか、精度の高い仮説を立てることができます。結果、プライベートブランドとして採用した商品は、販売目標の計画通りに達成できることが多いです。

Q. お客様が企業である面白味や、一般消費者向けの商品採用との大きな違いとは?


西原(PB商品採用担当):
素人目には一見同じような商品でも、現場での用途や、使う方によって少しのサイズ違いでもニーズが異なります。使用シーンや使い方を理解し需要の本質を捉えることが必要で、それが売り上げに繋がることが面白いと感じています。使っている方がプロなので実績やレビューを確認し、自身が推測したニーズの理解が正しかったと実感できた時は大変嬉しいです。

BtoCの商品開発との大きな違いは、ロングセラーという点でもそうですが、お客様の細かなニーズとマッチした時に、その商品の購入量やリピート率がグンと上がるのを実感します。いかにお客様のお気に入りの一つとなる商品を開発できるかが重要と考えています。

Q. お客様のお気に入りとなるロングセラーを生み続ける秘訣は何でしょうか?


「論理的に、データ分析に基づいて判断することがとても重要」

馮(PB商品調達担当):
どの商品をプライベートブランド化するか検討する段階においては、売上傾向や「どんなお客様がどんな商品をどれくらいの頻度で買っているか」といった購買履歴のデータをしっかり分析してそれに基づいて採用を決めています。分析についてはそれぞれの担当者が、社内にある様々な分析ツールを活用しています。ツールの種類はとても多く、それらの使い方は社内の勉強会で学ぶことができます。


Q. モノタロウの働きやすさと今後のチャレンジは?

「自分から発信できる環境がモノタロウには根付いている」

西原(PB商品採用担当):
どの商品に着手したいかや、この商品を売るには何をしないといけないかなどについて、自分から発信したことをほとんど受けとめてもらえます。仕事をする中で窮屈と感じる制限を感じたことはないと思います。必要だと考え、相談し、納得いただければ、幅広いことを自身のプロジェクトにできるのではと感じます。


「この商品を作れ」と指示される「やらされ仕事」ではなく、「自分がこの商品が売れると考えるので採用したい」から始まるので、モチベーションも高い位置から入れますし、細かい部分では裁量権もあるので、前向きに取り組むことができる環境と感じています。担当カテゴリーの中で市場や実績を分析し、商品を選び、どういう道筋で採用に取り組み売上目標を達成していくか採用過程の上流から下流まで深く関わることができるので商品に責任と愛着がもてます。


商品によっては、販売目標を下回ってしまうこともありますが、商品採用に至る経緯全てに絡んでいるからこそ、どこを読み違えたか振り返りやすいですし、すぐに次の採用に活かすことができますので、短期間で多くの経験とチャレンジができると感じます。

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馮(PB商品調達担当):
当社では目標を半期毎に設定していきます。目標に決め方は、会社や部門からの一方的な指示で決まるという形ではなく毎期上司と相談したうえで、個人目標を設定していますので、自分自身が発信した意向が反映されたものとなります。


目標を持ち仕事をしている中で、うまくいく場合もうまくいかない場合もありますが、商品が過剰在庫になった場合、それを売り切る為に、上司に相談できるだけでなく各部門の協力体制もあります。DMを送ったり特集ページを作ったりなど、自社ECなので販売促進の手段はたくさんあります。


チームやメンバーの間で競争するというようなことはなく、お互いの情報を共有して協力する文化がモノタロウにはあります。担当しているカテゴリーによって難易度や伸び率もそれぞれなので、そもそも横と比べることも難しく、各自にはそれぞれの個人目標がしっかりと定められています。社内には常に穏やかな雰囲気が流れていて、みんな心の余裕を持って仕事をしているように感じます。仕事に詰まった時、部署は関係なくお互いに優しい気持ちを持って意見交換ができるとてもコミュニケーションがとりやすい職場環境です。

今後の個人のチャレンジとしては、リスク分散のためにも輸入元の国を、アジアを中心に範囲を広げていきたいと考えています。

西原(PB商品採用担当):
プライベートブランド商品が増えているモノタロウにおいても、工具などと比較して新しく参入した科学研究や医療などの定番商品のプライベートブランド化はこれからです。会社の業績をさらに伸ばし、新しい層のお客様の評価を得るためには、プライベートブランド化できていないカテゴリーや難易度の高い商品にも挑戦していかなければなりません。今モノタロウのベースとなっているプライベートブランド商品のように、「ここから先、10年売れ続ける商品を生み続ける」ことができる人材になっていきたいです。

また入社後100点以上のプライベートブランド商品開発に関わらせて頂きましたが、カテゴリ全体を見ての判断を行うことが大変勉強になっています。良い意味で1つの商品に固執せず、大局観とスピード感を持った判断やチャレンジを今後も学んでいきたいですね。

Q. 新たに仲間になられる方に向けて

西原(PB商品採用担当):
商品開発グループではプライベートブランド関連の経験者を中心に、新たな仲間を求人しています。チームの平均年齢は30代半ばくらい〜40才くらいで、女性が3割ほどです。中途入社の方は非常に多く、各自の前職は、工具の営業マン、バイヤー、商品開発など様々です。
色々な経験をされてる方が同じ部署や社内にいることは当社ならではの良いところだと思いますし、それぞれの知識や豊富な経験を持ち寄って新しいことにチャレンジするので、考え方やアプローチの仕方が新鮮で勉強になることが多いです。また、そのような環境ですので、周りの方も私の話を聞いてくださり、入社後スムーズに業務に集中できる環境をつくっていただけましたので、安心して飛び込んで良いのではないかと考えます。

馮(PB商品調達担当):
非常にオープンマインドな会社で、お互いに異なった意見を自由に発言ができ、いろいろな考え方を受け入れる風土があります。いいアイデアが生まれる土台がある環境ですから、ぜひこれまでの知識や経験を活かして共にチャレンジいただけると嬉しいですね。


モノタロウでは新たな仲間を募集しています!