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はたらく現場

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喪に関わるひとたち編(霊柩車の工場の職人さん、墓じまいを任される石屋さん、ホテルマンのように自宅のお葬式を取り仕切るひと、若い女性納棺師さん、きびきび祭壇の花を飾るひと、、、)
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#コラム

特殊なクルマを作っている工場を訪ねました(3)

転職して始めた、霊柩車販売業 社長の前職は…… 写真©山本倫子  中古車を改造して霊柩車を製作販売している工場の見学ルポの3回目。引きつづき、ライフサポート・エイワの寺山和夫さんに話をうかがいます。  寺山さんは40代になってから霊柩車の販売に関わりはじめたそうです。 「もともとは歯科技工士で、入れ歯だとかインプラントの白い歯を作っていました」  寺山さんは昭和33年生まれ。22歳で歯科技工士となり、歯科医院勤務を経て自宅に仕事部屋をつくり、歯科医さんから注文を受

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特殊なクルマを作っている工場を訪ねました⑵

霊柩車は どうやって作られているの?  霊柩車は、トヨタとかイスズといった自動車会社が特注で作っているわけではなく、町工場が買い入れた新車や中古車を霊柩車仕様に改造して販売しているというところまでが前回のルポでかわったことです。  前回につづき、ライフサポート・エイワの寺山さんに話をうかがいました。  仕入れた中古車を補修し、普通に乗車できる段階にまで仕上げてから霊柩車へと改造していくのが工場での流れなのだと教えてもらいましたが、「霊柩車にしなくていいから、そのまま売って

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特殊なクルマを作っている工場を訪ねました(1)

「自分が手がけたものは、 見たらわかります」 写真©山本倫子 「基本は一台一台、イチからの作業なんですよね。だから、クルマを前にして、さぁ、どうしようかというところから入ります」  細身でがっちり体格の岩堀さんは、工場で「設計」担当をしている。作業中の車両の前で話してもらったが、すこし話を聞いただけでもクルマ好きが伝わってくる。ところでココではちょっと変わった自動車がつくられている。 「たとえば、作業の前にたまたまキャンピングカーの雑誌なんか見ていたとしたらイメージが

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「営業部長」のネコがいる鈑金工場

「コウジョウには朝礼とかラジオ体操があるけど、ないのがコウバなんです」  先日取材したライターのひとに教えてもらった。橋本愛喜さん。『トラックドライバーに言わせて』(新潮新書)というノンフィクションの本をだしたばかりの彼女自身が元トラックドライバーで、金型工作機械を研磨する工場を経営していた父親が倒れ、大学卒業直前に会社を継ぐことになった。  二十歳そこそこのお嬢だった彼女が突然社長の代役だといっても、父親を慕って集まった工員さん(ちょっとヤンチャ)たちがついてきてくれる

「お墓じまい」を見学

「墓じまい」をすれば、要らなくなった墓石はどうなるのだろうか?石屋さんに訊いてみました。 「センセイ、あそこに見えるのがジョン万次郎のお墓です」  運転席の松本さんが、左手をちらりと見る。  ジョン万次郎?  助手席の編集者Fさんが、アメリカに渡ったひとですよ、という。すごいですねぇとカメラマンの山本さんが応じる。 「ああ、まんじろう……」  こたえはしたものの、車中の会話にひとりだけ入っていけずにいた。アメリカに渡ったのに、お墓がなんで東京都内の雑司ヶ谷にあるのか……。言