「Promise」が心を動かす理由を考える
5人組ダンス&ボーカルグループ Da‐iCEの
23枚目のシングル「liveDevil」とEP「REVERSi」に収録されている楽曲
「Promise」
劇場版 仮面ライダー ビヨンドジェネレーションズの主題歌で
作詞作曲をメンバーの花村想太が手掛けている。
現在テレビ朝日で放送されている「仮面ライダーリバイス」の主題歌をDa-iCEが担当していて、
その楽曲を決める時はコンペが開かれた。
子供の頃から仮面ライダーが好きだったという花村は自分の曲で主題歌を勝ち取るため
コンペに3曲提出したが残念ながら選ばれず、
しかし、その仮面ライダーに対する愛を買われて制作スタッフ側から映画の主題歌はコンペではなく書き下ろしでお願いしたいと言われ、作る事になったという。
同作は過去50年と未来50年の100年を繋ぐ物語となっており
曲名のPromiseは
仮面ライダーリバイスの"契約"
仮面ライダーセイバーの"約束"
50年後の未来への"有望"
というトリプルミーニング。
映画の内容に即した歌詞となっていて
仮面ライダーファンからも高評価な印象を受ける。
まさに、花村想太の仮面ライダー愛が生んだ渾身の一曲だと言える。
今回はその「Promise」が幅広い層に響く理由を考えていきたい。
かつての花村想太、本人がそうだったように
仮面ライダーは子供が憧れる存在だ。
今年で50周年を迎えた仮面ライダー
この50年で数多くの子供たちが仮面ライダーになることを夢見てきた
その気持ちがサビの頭の1文
"I wanna be your hero"
に詰まっていると思う。
シンプルでストレートだからこそ
子供に真っ直ぐ響く。
"仮面ライダーは子供にとってのヒーロー"
と今さっき強調したばかりだが
当然、
仮面ライダーの視聴者層は子供だけではない。
仮面ライダーは子供向け番組という括りではあるが
物語は子供が簡単に理解できないほどディープで難しく、大人が見ても普通に楽しめる内容となっている。
(もちろんツッコミどころ満載な場面もあるが、そこも含めて面白い。)
そのため、全シリーズを見ている根強い仮面ライダーファンは年齢問わず幅広く存在する。
どれだけ歳をとろうが、
仮面ライダーが自分のヒーローだった事は変わらない。
たとえ、現在進行形で放送を見ていなくても
「この曲を聴くとヒーローになりたかった子供の頃の気持ちを思い出す」
なんて人も少なくないだろう。
子供と一緒に見ているうちに母親の方がハマっているという例もよく聞く。
Promiseは家族愛もテーマに作詞された曲なので
そういう方にもドンピシャで響くと思う。
さらに
これはライブのMCで話していた事だが
この楽曲を作る時
仮面ライダーの事だけでなく、今のこの世界の状況も考えたという。
全てが止まってしまった
それでも信じて待ち続けたあの期間
"どんなに離れていても"
"距離も時さえも超えてゆく力"
にはその時の気持ちを含めたと言う。
音楽や演劇など、生で観るという文化を愛してきていた人たちは(Da‐iCEを応援していなくても)
響くものがある部分だと思う。
純粋な気持ちを持つ子供にも
かつてのその気持ちを持っていた大人にも
子供を思う気持ちを持つ親にも
何かを推している人にも
刺さるPromise
ここまで読みながら、ふと思った方もいるだろう
そう、
Promiseは
どこの層にも刺さる可能性を持っている
完全包囲網の楽曲なのだ。
無敵だし、ちょっとズルいとも言える。
さらに、
制作側からの壮大な楽曲にしてほしいという要望への満点解答とも言える
頭のシンプルなギターから少しずつ楽器が増えていき、サビ前に一度全てが止まる
そしてサビからストリングス入ってくる構成
このトラックだけでも充分なのに
そこにプラスで転調もしてくる
盛り上がらざるを得ない
聴いているだけでこちら側に力が入るよう、
上手いこと誘導されている。
「そりゃ心動かされるわ」
という要素が詰まりに詰まった楽曲なのだ。
この曲を花村と共に作った音楽プロデューサーのMEG.MEさんは以前、自身のTwitterで
「Promiseは全人類が聴いた方がいい」と発言している。
制作陣からこんな事を言われたら
我々受け取り手はこの曲を
"知る人ぞ知る名曲"
ではなく、
"世間に知れ渡った名曲"
にしなければと、余計に思うはずだ。
現在、Da‐iCEは
この曲をファンとともに大切に育てるため
Promiseを多くの人に広めるためのキャンペーンを行っている。
先日開催されたINSIDE THE FIRST TAKEで公開収録されたPromiseの映像が近日公開予定なので
それに向けてのキャンペーンだろう。
Promiseがファン以外の方にも触れる機会を増やそうと頑張っている。
もちろん、聴いた人全員が必ず気に入るとは言えない。
万人に受けるものなど、この世には存在しない。
ただ、それでも、
この楽曲には人々のどこかに刺さる力を持つと思っている。
きっかけは何でもいい。
一度でいいからこの曲を聴いてみてほしい。
一人でも多くの人に届いてほしい。
心からそう願う。
<余談>
この楽曲にはもう一つ
花村の強い想いが込められている。
それはもう一人のボーカル大野雄大への想い。
上の文書は
映画公開に合わせ、2021年12月17日に楽曲が先行配信された時の花村想太本人のツイートだ。
この曲の制作時期は分からないが
仮面ライダーリバイスの放送開始時期だと仮定して9月頃の制作だとする
9月というとDa‐iCEでは
CITRUSがサブスク1億回を突破した頃
徐々に徐々にCITRUSを披露する機会が増えてきた頃だ。
CITRUSはサビの高音が特徴的であり、
さらに、テレビサイズだとサビの交代がないため
必然的に花村の印象が強くなる。
ただ、それが彼にとっては悔しいのだろう。
これはReal Soundにて
花村想太の歌声をフォーカスするコラムが公開された時の
本人のリアクションツイートだ。
申し訳ないから、という気持ちではなく
純粋な「雄大くんの歌は本当に凄い」と思っていることを伝えたい一心なのだろう。
花村は事あるごとに大野の歌の凄さを話している。
TBSラジオ「TALK ABOUT」にて
2020年9月19日に放送された
"新旧すごいボーカリスト特集"
YouTubeの歌い方解説動画でも有名な
ボイストレーナーのしらスタさんと花村をゲストとして迎えられ、
2人が忖度なしに本気で自分のオススメ歌手の歌い方を解説しているこの回
花村はレジェンドアーティストとして、
花村自身が昔から必ず尊敬するアーティストとしても掲げている久保田利伸の名前をあげている。
ここだけでも花村のこの特集への本気度が窺える。
そして満を持して、
花村想太が嫉妬するニューカマーとしてあげたのは
大野雄大だった。
ちなみにこの番組のDJをDa‐iCEのリーダー工藤大輝が務めているのだが、
「広い意味で言えば自画自賛だよ」と工藤からツッコミを入れられながらも
花村は一切ちょけたりせず、恥ずかしがらず、物凄い熱量で歌の解説をしたのだ。
この時、解説した曲はDa‐iCEの「恋ごころ」
頭サビの
"好きで好きで君が好きで張り裂けそうな恋ごころ"
この部分はファルセットとミックスボイスと実声すべてを織り交ぜて形成されていて
コロコロ行き来する繊細なことをライブでも全く同じように歌える凄さを語った。
この時だけでなく
Da‐iCE初の地上波冠番組「Da‐iCE music Lab」のCHEMISTRYゲスト回では
CHEMISTRYのおふたりからしてDa‐iCEのツインボーカルはどう見えるのかという質問をされた時に
花村の女性のような歌声と大野の男らしい歌声という印象が
CITRUSではいい意味で変えられたと話していた。
それを言われた花村はすかさず同調し
さらに「僕が歌ってもそうはならないけど雄大くんはそれができる」という発言をしていた。
毎回毎回、必ず、
自分にはできないが大野にはできる
という主張をする。
もちろん謙遜や大野を煽てての発言ではない。
プロのアーティストとして、
花村は自分の歌に自信を持っていて
得意分野も充分把握している
10年以上
ツインボーカルとして
いつも隣で歌を聞いてきたからこそ
大野雄大の凄さを分かっている彼の
リスペクトから出る言葉だ。
それに、誰よりも彼の歌が好きなのだろう。
だからこそ、
評価されづらい立ち位置に回されてしまうのが嫌だから、
大野の歌の凄さを分かっている自分の手で
彼の良さを存分に発揮される楽曲を、と思い、
作られた曲がPromiseなのだ。
それもまた一つの愛だと思う。
我々が最近日常的に使ってしまっている
「愛だね。」
なんて簡単なものではなく、
プロの歌手として
作曲者として
メンバーとして
彼の1ファンとして
唯一の相方として
誰にも真似できないもの。
今年のDa‐iCEはこの曲で勝負するつもりなのが分かる。
年末にかけ、様々な番組で披露する機会が増えるはずだ。
花村想太が去年、一年を通してずっと
CITRUSのサビに悩まされ続けたように
Promiseのサビ終わりにある魂の叫びのようなロングトーンは
喉の調子次第では、無理して歌ってて苦しそうと捉えられてしまうこともあるだろう。
あの部分は
"掠れながら、でも遠くまで響く、
ちょっと苦しそうに歌っている"感じが歌詞に合っていて
少しでもそれと違うと曲の締まり具合が大きく変わってしまう
凄く難しい部分だと思う。
だからこそ、
テレビの向こうで
この部分を完璧に歌い上げる彼を見たい。
花村から楽曲で受けた愛を
今度は大野が歌で返す番だ。