見出し画像

袁金鎧 Yuan Jin-kai(1870~1947年)

 清末・民国・満洲国の政治家。遼陽州の漢軍正黄旗出身。字は潔珊、号は傭廬。
 秀才資格を獲得後、日清戦争時に郷団を組織し、遼陽の警察行政を経て奉天政界に進出。辛亥革命時には奉天省諮議局副議長として張作霖の部隊を省城に駐屯させて革命派を威圧し、指導者で親族の張袴を謀殺。民国成立後は政界から一時引退して『清史稿』編纂作業に従事(1927年完成)。

画像1

 1916年に袁世凱の帝政失敗に乗じ、張作霖と共謀して奉天都督段芝貴を追放し、張作霖地方政権の発足とその後の人事・行財政などに貢献。張学良地方政権では東北保安委員、易幟後は同政務委員。満洲事変勃発直後には奉天地方維持委員会委員長として混乱の収拾にあたったが、中国人の自治を装って満洲独立を画策する関東軍と対立し、満洲国では参議府参議、尚書府大臣などの閑職に就けられた。1944年に辞職し、1947年に死去。著作に『傭 経過自述』『傭廬日記語存』などがある。

画像2

[参考文献]
哀慶清「袁金鎧的一生」(孫邦主編『偽満人物』(偽満史料叢書)所収、吉林人民出版社、1993年)
王秀華・朱虹「善謀政客袁金鎧」(胡玉海・張偉主編『奉系人物』(奉系軍閥叢書二)所収、遼海出版社、2000年)
澁谷由里『「漢奸」と英雄の満洲』(講談社選書メチェ、2008年)

—— 二〇世紀満洲歴史事典(澁谷由里)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?