ハウザー
ときに、東の隗史の都より彼の人のもとに来た文化人の言う。「野棘の中に頭骨があります。あの頭骨は賢人のものでしょうか。それとも愚者のものでしょうか」
先生は答えた。「それは今から賢人になる人のものである」
「ではなぜあのような寂しい場所にうち棄てられておりますのでしょうか」文化人は問いかけた。「大いなる墓(注1:大君墓。大きな墓、きらびやかな墓)を築き、その人が賢人となれるようにお祭りするべき人はいなかったのでしょうか」
先生は答えた。「あなたのような人が周りにいなかったから、彼は賢人と為れるのです。(注2:為賢人 為は受動の用法。)」
注3:先生…伯泰士。字は了苞。天山郡折海の人。弟子に洪伯、陸蓮、董遜山人等がいる。
引用 伯山通鑑「隗史文人問」
楊孟延釈「隗史文人問」
ハウザー・エラスト著『東方文人解「隗史文人問・漂白山人問」』
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