シェア
今日も昨日と同じ今日の始まりだ。明日もきっと同じだろう。白い仮面の向こう側に見える景色は、いつも同じ・・・はずだった。 ーーーーー 君が描いた未来と僕が思う未来は、違っていた。当たり前だった未来が、それぞれの未来へと変わった。5月にしては暑いあの日から。 ーーーーー 隠れろ!早くっ! サングラスに黒い帽子という、いかにもなやつらに、追いかけられている。なぜ、こうなってしまったのか。どこで間違えたのか、考えてる余裕はなかった。 ーーーーー この景色、最高だろ?覚
「金色の頂点」 「見違えるもの」 「去る猿」 「君が笑ったときに僕は泣いた」 「ばっかじゃないの」 「感情が消えた夕暮れ」 「簡単正解」 「記憶の印」 「チャンネルはそのままで」 「宇宙冒険記 第5章」 「風が泣いた」 「山吹色の恋模様」 「がたりもの」 「反復横跳び」 「最弱の魔法使い」 「夏が君とケンカした」 タイトルから、想像してみようか。 どんな話が見える? あなただけの物語。 文:モノコト68 Twitter:https://t
お母さんのおべんとうは、いつも決まって同じもの。 のりを俵に巻いたおにぎり。 甘い玉子焼き。 タコウインナー。 ちくわの中にきゅうりの入ったもの。 ハム。 さくらんぼ。 いつも決まって、さくらんぼのピンク色が、玉子焼きにうつって、照れたようになっている。 それを見て、わたしも照れた。 そんな私も大人になり、娘に同じおべんとうを作った。 いつか、娘も同じお弁当を作るのかな。 文:モノコト68 Twitter:https://twitter.com/mono
てくてく歩く。 青い貝殻を見つけにいこう。 みどり橋を渡って、てくてく歩く。 立派な茶色い一本杉の下で、一休みした。 薄いピンク色したこんぺいとうの甘さが好き。 てくてく歩く。 あの白い雲においていかれないように、てくてく歩く。 てくてく歩く。 黄色い星が見え隠れする。 くたくたになって、黒い夜に包まれて、ぐっすり眠った。 文:モノコト68 Twitter:https://twitter.com/monokoto68 Blog:https://monoko
ドーーン! 「こちら地球防衛軍、こちら地球防衛軍。」 「山の向こう側に攻撃あり。注意せよ。」 「激しい雨で前が見えない。」 「気をつけろ!次の攻撃が来るぞ!」 「こちら地球防衛軍。この状況はまずい。」 「すぐに避難せよ。」 ドド、ドーン! 「すぐ近くだ。」 「地球の最後だ。守りきれない。」 「とにかく、避難だ。」 夏の終わりの夕立の中、子どもたちの遊ぶ声がする。 文:モノコト68 Twitter:https://twitter.com/monokoto
朝起きて、彼女は私にキスをした。 「行ってきます」と言って、彼女は出かけた。 帰ってくると、いつも決まって、 「暑かったぁ」と言いながら、 私にキスをする。 ある日。 いつものように彼女が帰って来た。 見知らぬ誰かと一緒だ。 彼女は、「素敵」と言いながら、その彼にキスをした。 私は、食器棚の奥から、その様子をただ見ていた。 文:モノコト68 Twitter:https://twitter.com/monokoto68 Blog:https://monoko
「車のレースとかでさ、アウト・イン・アウトってあるだろ?」 唐突に話しだした彼を、ちらっと横目でみただけで、それ以上、何も言わなかった。 「知らない?コーナーを早く回るためにさ、アウトコースからインコースに切り込んで、アウトコースに流れていくやつ。アウト・イン・アウトだ。」 全く知らないし、全く興味のない話だった。 「でさ、やってみたわけよ。」 なにをやるのさ?と軽くココロの中でつぶやいた。 「地下街を歩いててさ、右に左に曲がらなきゃならないだろ?だからさ、アウト
去り際に言った。 「あなたはひとりでも生きていける」 そんなのは分かってる。 人はひとりでは生きていけないという。 だが、違う。 ココロはいつでもひとりなのだ。 去り際に言った。 「あなたは人に興味がないのよ」 そんなのは分かってる。 他人のことは分かるわけがない。 知る必要もないことだ。 去り際に言った。 「心から笑ったことある?」 そんなのも分かってる。 感情はどこかに置いてきた。 去り際に言った。 「さようなら」 ああ、さようなら。
裏山を登った先が、ぼくらの秘密基地だ。 家から持ってきたダンボールや、木の枝を使って、 ぼくらだけの秘密基地の完成だ。 今にも崩れそうな屋根を気にしながら、 他愛も無い話をする。 裏山のさらに奥に進んでいけば、 勇敢な冒険家。 ぼくらは、そうして毎日を思い出に変えた。 秘密基地。 そして、ぼくらも思い出に変わった。
いつも、出かけると、曇りだ。 雨男よりは、ましだろうと自分を納得させていた。 今日も、もちろん曇りだ。 天気予報も、ほどなく曇り。 雨は降るなと願っている。 今日は、3回目のデート。 まだ彼女ではない。 「付き合ってください。」 「はい。」 そんな彼女は、晴れ女。 今から僕は、曇時々晴れ男だ。 ※「ごめんなさい」パターンもご用意しました。 「付き合ってください。」 「ごめんなさい。」 そんな彼女は、晴れ女。 僕の目から、雨が降ってきた。 今から
「数秒間、時間を止める能力を得たんだ。」 「ほんとか?」 「あぁ、そうらしい。」 「そうらしいって、その能力、使ってないのか?」 「使ったよ。」 「じゃ、なんで、”そうらしい”なんだ?」 「数秒間、オレも時間が止まってるからな、気づかないんだ。」 文:モノコト68 Twitter:https://twitter.com/monokoto68 Blog:https://monokoto68.com/about/ Instagram:https://www.inst
あの日見た絵本の一頁のような景色が目の前に広がって、 涙した理由は他にあったんじゃないかって思う。 僕たちはいつの間にか、ここまでやってきた。 未来の扉を叩いては、崩れていって、 手に入れそうな時間を奪いにやってくる。 四番線のホームに立って、電車を待って、覗き込んだのは君だった。 さぁ、未来を掴みにいこう。 探し物はここにはないから。 さぁ、未来を奪いにいこう。 無くした物はここにはないから。 文:モノコト68 Twitter:https://twitt
夏の風が乾いた心に語りかける。 夕立の後、雨の匂いが感覚を包み込む。 誇らしげに青く生い茂っていた草木が微かに色づき始め、ほどなく秋の訪れを予感させる。役目を終えた向日葵が頭(こうべ)を垂れ、蝉の声は物憂げに反響する。 終わったんだ。 夏の終わりを知らせる情景が見え隠れするこの時、終わりを確信した。 毎朝、決まった時間に家を出て、突き当たりの大きな家を右に曲がる。猛犬注意!の張り紙が威圧感を与えるが、一度も犬の姿を見たことがない。まっすぐ進んでいくと、壁に昔から変わ
前へ進め。 だだ前へ進め。 動け。 大丈夫。 信じ抜け。 前へ。 振り向くな。 前へ。 前へ。 大丈夫だ。 不安は置いていけ。 前へ進むのは、誰のためでもない。 自分のため。 前へ。 誰にも言われないなら、言ってやる。 あなたなら大丈夫だ。 前へ。 誰かが優しく背中を押してくれる。 前へ。 進んだ先には、何が見える? 文:モノコト68 Twitter:https://twitter.com/monokoto68 Blog:https:/