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キャベツを買い忘れて

我が家では夕飯に必ずサラダを食べる。

キャベツの千切り、ブロッコリー、かいわれ、トマト

だいたいこのラインナップである。

キャベツの千切りは自分ではやらない。めんどくさいし自分で千切ってもフワフワにならないので買ったもののほうが美味しいのだ。

そんな、週末の買い物リストにマストな千切りのキャベツを買うのを忘れてしまった。

平日息子を連れてスーパーへ行くのも

コロナ騒動のこのご時世、避けたい。

主人は首を痛めていて使い物にならないが

とりあえず息子を見ているだけの事ならできるだろう。


季節は梅雨入り、毎日ジメジメと蒸し暑い。

午前中買い物に行っただけで汗だくになったので、着ていた洋服は全て洗濯カゴ行きだ。

さて、また外に出るのに服が必要である。

家では常にノーブラジャー、

またブラジャーをつけるのか

千切りキャベツだけのために

ものの数分のために

すぐに洗濯カゴ行きなのに


私は少し考えた。

目の前には養生テープ、

これでいこう。

乳首に迷いなく小さく切った養生テープを貼った。

いける、これならいけるぞ。


家を出る前はよし、と決めて着用した服のコーディネートが、外に出ると急に不安になるあの感覚に襲われる。

私は本当に乳首を隠せているのだろうか。

もしかしたら今すれ違った人に

乳首の存在がバレてしまったのではないか。

そう思うと気が気でなかった。


これならいける、と思ったあの自信は一体なんだったのか。


無事にキャベツは買えた。


養生テープで乳首を隠して外に出た後悔と疲労とキャベツの千切りが今テーブルの上にある。


私はこの先、キャベツの千切りを見るたび

この出来事を思い出すのであろう。


もう絶対に買い忘れはしない

でもまた間違いなく過ちは犯すのだろう。

そして再び乳首に養生テープが貼られるのだろうと千切りキャベツを見つめながら思うのだった。




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