鉄道を知ることについて

 例えば野球中継にしろ、自動車レースの番組にしろ、最初から最後まで野球や自動車レースの話である。

 前に聞いたが、野球中継で、野球に詳しいとしても、その試合に直接関係ないタレントを映す時間が長いと文句が来たりするらしい。

「当たり前」? いや、そうとは言えない。前に書いた鳥人間コンテストについても、コンテスト出場者、出場機体と直接関係ないタレントの映像を流している時間がかなり多いからだ。

 鉄道のテレビ番組も、最初から最後まで鉄道の話というのはまずない。

 鉄道の番組だというので観始めたら、始まってさほど経たないうちに、出演者が神社仏閣を参拝し、見事なカニに舌鼓を打ち、温泉に入浴し、酒蔵を訪問するのも良くある事である。

 そして一見「本当に鉄道の話だけをしている番組」に見えても、ほとんどは実はそうではない。社会情勢を話し、地形地質を語り、科学技術の水準について説明し、歴史を紐解き、建築や土木の範疇の話題を展開するのである。

 プロ野球の巨人阪神戦で関ヶ原の戦いの話題が長く出るのはまれだし(天王山の戦いの方は一言だけ出るが解説はされない)、F-1中継でゴムタイヤ製造の歴史はあまり話されない。話してもいいのに。

 これはもちろん、鉄道が「それだけを切り取る」事が困難である事の現れである。

 よく、自分も「鉄道という既に詳しい(実際には詳しくない)ものがあるのに、そんな事も調べるんですか」と言われるが、鉄道の事を調べているだけだったりするのである。

 なぜ新幹線の駅が東京や大阪にあるのか? 岐阜になくて羽島なのか? 浦佐にはなぜあるのか? 「(ものすごく狭い意味での)鉄道の知識」では、そんな事も分からないのである。

 逆に言えば、巨人阪神戦は「なぜ同じ日本企業である巨人と阪神が戦わなければならないか」を知らなくても楽しめるとも言えるが。

 鉄道について調べていたはずが、とんでもない所に行き着くのも良くある事だ。

「修学旅行用電車」という珍しい存在についても、「これって誰かがお金出してくれて、それを季節外に国鉄が目的以外の臨時列車に使う事(おいしい)が前提だったんじゃないの?」とも思っている。正しいかどうか不明だが。

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