(メモ)松ヶ崎電鉄ボギー車的な路面電車の起源

 かつて「軽快電車」というものがあった。今までの路面電車(とはいえ、日本ではPCCカーもあまり成功したとは言えないのだが)の次の世代の電車という事で、今、盛んに言われているLRVのような感じだと思えば良いのではないかと思う。
 東京都交通局(都電)7000形更新車(1977年)、岡山電気軌道7000形(1980年)が改造により生まれた後、長崎電気軌道2000形(1980年)、広島電鉄3500形(1980年)が登場する。超低床とかバリアフリーとかではまだ無くて、直線的デザインで高性能な電車という感じだった。また冷房装備という事にもなってくる。

 自由型鉄道模型の世界でも「松ヶ崎電鉄」のボギー車が登場する(鉄道模型趣味412号 1982年)。これはさらに一歩進んで屋根まで平らになっているのだが、これは海外には例があるようだ。

 超低床LRVの相次ぐ登場で、埋もれてしまったかに見えるこれらの電車だが、更新車という形では今も函館市交通局7000形(2020年)が登場していたりする(同交通局8000形も松ヶ崎電鉄的である)。

 直線的デザインというと、鉄道線では上信電鉄1000形(1976年)も登場しているので、時代の流行だったのかもしれない。

 また、「日本製路面電車」という事で言えば、1976年、東急車輛が車体と台車を製造した電車(ボーイングカー等と呼ばれた)がボストンのグリーンラインとサンフランシスコの通称Muniメトロ向けに納入されている。これらは元請けのボーイング側の機器の問題があり、既に引退している。
 ほぼ同じスタイルながら東急車輛が全て担当した電車が1983年、バッファロー・メトロレールに納入されたが、こちらは現在も活躍しているという。
 この「輸出向け先行」の傾向は以後も続き、低床LRVも国内向けより近畿車輛のニュージャージー・トランジット向け(1998年)の方が先だった。
(熊本市交通局9700形は国内設計ではない)

 バスの世界でも直線的なスケルトンボディのバスが増えてくる。1984年に登場のいすゞのキュービック等が有名である。

 それまでの電車より直線的デザインを取り入れると言えば1956年、東京都交通局8000形が登場している。神風タクシーをぶっちぎり、「我に追い付くクラウン無し」と言われたとか、言われなかったとか。寿命が短かったが。
 影響を与えたとされる電車に、富山地方鉄道7000形(1957年)、仙台市交通局400形(1959年)、函館市交通局710形(1959年)があり、前面は長崎電気軌道500形(1966年)も類似する。
 この時も直線的デザインを取り入れるというのは時代によるものではないかと思われる所があり、熊本市交通局1090形(1955年)の側面もやはり直線的である。

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