「あの頃」の特急電車のはなし

 日本の特急電車の源流はもちろん戦前の私鉄電車(心情的にはそれに対抗する省電のモハ52も入れたいが)に始まると思うのだが、自分には1960年代の特急電車がまず浮かぶ。

 近鉄の初代及び2代目ビスタカー、南海の2代目「こうや」号、小田急NSE、そして国鉄の「こだま」形、東武DRCといった所。
 小田急SEは0.5世代ぐらい前になるのかなとも思う。こちらのデザインは新幹線0系につながると思うが、今回は置いておく。

 特急電車に必要な「速さ」と「特別な急行」のデザインの両立を目指した、ライトケースやマーカーライト、エンブレム、愛称表示、屋上のクーラーまでもが目立つ姿である。東武DRCはちょっと無骨かもしれないが。
 この仲間の最後に現れたのが西武初代レッドアローだったのかもしれない。
 遡ればそれはヨーロッパのTEEで活躍したスイスやイタリアの車両のデザインだろう。

 機関車ではEF66がそのデザインを取り入れていて、貨物用とはいえ紛れもない「特急用車両」だったと思う。

 八栗のケーブルカーなどもライトケースを独立させているから、その影響の及んだ範囲は広いのではないだろうか。

 近鉄ビスタカーの流線形と貫通形の使い分けは興味深い。これは現在の特急電車に引き継がれているのかもしれない。

 現在の特急電車は先に挙げた「別の流れ」の小田急SEから新幹線0系を経由したような、ライトを埋め込んだフラットなデザインが主流のようだ。ドアまでフラットだ。側面の窓の無い部分にイメージ画が描かれていたりもする。

 これはこれで嫌いではないのだが、ちょっと寂しい感じもする。

 南海のラピートみたいにうまくレトロとモダンを折衷できないかなあとも思う。

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