極私的LRT・LRV論

 本来「LRT」は「次世代路面電車」の意味ではない。大がかりな鉄道とバスの中間の輸送量を持ち、レールを使用した交通機関全てを指す。

 路面を走る必要も、床が低い必要もない。いわゆる「新交通システム」とかモノレールに対して海外の人が「LRT」と呼んでいても全く問題は無いのである。(実際マレーシア等ではそうである)

 それどころか、日本にあるような、短い編成の為に施設を絞り混んだ鉄道(運転頻度は高い)は「LRT」と呼んでいたと聞いた人までいて、定義があいまいな言葉かもしれない。

 自分にとって「LRT」(路線・交通機関としての呼ばれ方)、「LRV」(車輛としての呼ばれ方)と言われてまず浮かぶのは、1976年からアメリカの都市に導入された「ボーイングカー」と呼ばれた車輛である。それは(成功したかはともかく)「次世代路面電車」であった。

 サンフランシスコのMUNIメトロとかボストンのグリーンラインに導入されたのが知られている。路面も走るが地下も走る。車体は日本の東急車輛で作られたようだった。その後バッファローには完全な日本製が導入された。

 日本製、というのが重要だったかもしれないが、鉄道雑誌にも取り上げられた。海外向けが作れるならば国内向けもと言う事か、「軽快電車」が作られた。新しい路面電車を指す言葉とはならず、その叩き台についての愛称に留まったように思う。

 1977年から現れた東京都電7000更新車あたりは、ひょっとしたらアメリカ向けの影響を最初に受けているのかもしれない。

 路面電車の先進地と言えばヨーロッパなのは言うまでもない。LRTという言葉が聞かれる前の「カッコいい路面電車」札幌市交通局A820、A830辺りは欧州のデザインを影響があるのではないだろうか。

 ヨーロッパからの低床LRVはまず熊本と広島に現れたが、この2ヶ所だけだった頃、鉄道模型雑誌ではちょっとしたブームの感じもあった。同時期に東急世田谷線に現れた車輛はそこまで注目されなかった感じがあり、ちょっと気の毒だった。

 また、全国に「絵に描いた餅」のごとくLRT計画が立ち上がったが、いよいよ具体化された例も出てきている。どうなるか見守りたいと思う。

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