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ゲームマーケット2023:9歳娘の自作ゲームで初出展【ピスタワード】

こんにちは、モノビーズと申します。
先日大盛況で幕を閉じたアナログゲームの祭典、ゲームマーケット2023春。
東京ビッグサイトで開催され、2万人以上が来場するボードゲームの大イベントです。
そんな大舞台に、娘が8歳のときに作ったワードゲーム
「ピスタワード」「マーブルワード」の2つで初出展しました。

両親ともにボドゲの制作経験は全くありません。それどころかボドゲ会にも、ボドゲカフェにすら行ったことがありません。
家族で遊んでいるだけのライトファンです。

そんな素人の小学生がなぜゲムマに出展したのか?

超・長文ですが、お読み頂けたら嬉しいです。(母が書いています)

プロローグ

9歳娘について

名前:さら (サークル名:モノビーズ)
趣味:ボドゲ、ピアノ、マラソン
特技:漢字検定
好きな食べ物:サイゼリヤのマヨコーンピザ🍕

9歳のごく普通の小学生です。
学校では「ゲーム係」という学級内の遊びを司る係を担当しています。
主に軽量級を家族で楽しんでいる、ゲーマーとも言えないライト層です。
コロナ禍で、ボドゲ収集欲が高まっているときにゲームマーケットというイベントを知り、母娘で足を運ぶようになりました。

ゲムマに一般参加

ゲムマはチケットを買えば誰でも入ることができます(しかも子どもは無料)。
企業、同人含め数百のブースが立ち並び、1日いても回りきれない賑わいです。
気になるブースで試遊したり、作者様とお話ししたり、同じ趣味の皆さんと年齢関係なく盛り上がれるのが楽しく、
気づくとあっという間に時間が過ぎていました。
終わるとすぐ次回が楽しみになるイベント。
「次も行こうね~」と言い合ううちに、
娘が「次は自分のゲーム作りたいな…」と言い出しました。

ゲームマーケットが行われるビッグサイト

ピスタワード

ゲームの産声

いろいろアイデアを考えていたときに、母のおつまみの残骸(ピスタチオの殻)を見た娘、これを利用できるのではとひらめきました。
試しに裏にひらがなを書いてみたら、なかなか文字が見づらく探しにくく、一生懸命探してしまう。何となくゲームになりそうな気配。
試行錯誤するうちに、殻で山を作り書かれた文字を探して言葉を作るゲームを思いつきます。
これが「ピスタワード」の原型でした。

絶妙に文字が見づらい形状

どうやったら面白くなるか?と考えた娘は、毎日殻に文字を書いては学校に持って行き、
「ゲーム係」の立場を最大限に悪用活用して、
クラスメイトに遊んでもらい、感想や意見を収集しました(これは後から知った「プロトタイプによるテストプレイ」という工程でした)。

テストプレイヤーの意見がびっしり

こんな材料で面白いのかな?と思っていたのですが、毎日毎日友達の率直かつ厳しい意見で改良を重ねていくと、なんだか少しずつ面白そうなゲームに育ってきました。

友達の意見もレベルアップしてきました

ゲムマで売り込み

内容がだんだん固まってきた頃。
ちょうど2022秋のゲムマが開催されました。
もちろん母娘で一般参加しました。
9歳娘は、お菓子の空き箱に詰め込んだピスタチオの殻を持って相談ブースに押しかけ、

「わたしゲムマに出展したいんです。これはゲムマで売れますか?」

と自ら売り込みをかけました。
強気です。

すると、「面白いし、きっと売れるからやってみた方がいい」と温かい言葉をいただき、出展の手順やお金のことなど、具体的なことも教えて頂きました。

会った人みんなに見せまくった試作品

テストプレイ会

ゲムマの後に参加した、ベテランサークル様のテストプレイ会でも温かく迎えて頂き、子ども扱いもされず貴重なアドバイスをたくさん頂きました。
場違いの素人に、先輩の皆さまの優しさには頭が下がるばかりです。
その支えがなければ、実際の出展までに至ることはできませんでした。感謝します。

娘は頂いた課題にひとつずつ取り組みながら、

「2023春のゲムマに出る。それまでに完成させる!」

と高らかに宣言しました。

コンポーネントの調達

しかしSDGsと言えば聞こえはいいですが、こんなコンポーネントが売り物になるのかと疑問しか湧きません。
しかも製品化するとなると、1セットに80個ずつ必要です。
果たして毎晩何個食べないといけないのでしょうか。
妙齢の母は顔中吹き出物だらけになってしまうかもしれないと恐れおののきました。

天然素材なので、保存方法も含めどのように取り扱ったらいいかも悩み、
専門機関にコンタクトを取って事情を説明するとともに質問を送りました。

すると、とても丁寧なご回答と激励のメッセージを頂き、
なんとピスタチオ関連会社様から、段ボールいっぱいの殻まで寄贈して頂きました!
本当にありがとうございます。
(おかげで母の肌荒れも回避できました)

大量の殻、たぶん万単位

ひたすら手書き

さあ、これで資材には困りません(後に退けなくなったとも言います)。
1つずつ文字を書いていく製作工程です。

気が遠くなるような作業

1セット80個入りなので、30セット作るとすると、2400個の文字…!
さすがに手書きは無理かと思いスタンプや文字シールも検討しましたが、
殻が湾曲していて難しく視認もしづらいので、やはり手書きが一番という結論に達しました。
どのペンが消えづらいかを実験し、殻の尖ったところを1つ1つヤスリで削って、洗浄、天日乾燥してから書きました。
その数、実に数千個。
娘はゲムマ前日までたった1人で文字を書き続けました。
1文字たりとも他の人に書かせませんでした。

いろんなペンで耐久テスト実施

出展までのタスク

書くのも大変な作業なのですが、その間両親も別のハードワークを強いられました。
長文を読み解いての出展手続、サークルカットの作成、
ほとんど使ったことのないTwitter開設、
ほとんど使ったことのないイラレのデータ作成、
ほとんど使ったことのない電動やすりの操作、
材料探し、説明書作成、印刷物の手配など、社長(娘)が寝た後も業務に追われました。
かなりコンプラ無視のブラック企業です。自分の会社はいい会社だなと実感しました。会社よありがとう。

そしてゲムマ当日

ブース設営

「来てくれた人とたくさん試遊したい」というのが娘の目標だったので、試遊スペースは2人座ってもらえるようにしました。

ブース設営については、ゲーム自体が小学生発なので、小学校の教室の飾り付けをイメージしました。
タペストリーではなく、切り抜いた画用紙をぺたぺた貼る、まさにアナログ祭。
折り紙の輪っかや紙花も作ればよかった。
チラシは500枚用意しました。
戻ってきてくれた方も多かったのでよかったです。

グリーンバックを飾りに使う荒技

業界レジェンドの来訪

超ハンドメイドなので実際に手に取って試遊して判断してもらおうと思い、予約も取りませんでした。
どれくらい来てもらえるかは未知数でしたが、開始直後から錚々たる面々に次々とお越し頂き、試遊して購入して頂き、驚きの連続でした。
不覚にも、事前のライブで注目作品として取り上げて頂いていたのを知らなかったので、ただただ興奮するばかりでした。
娘はお昼も食べずに、ひっきりなしに来て下さる試遊のインストを担当しました。
並んで待って下さる方に先に説明しておくのには、当日セブンで印刷したペラ1枚の説明書がとても役立ちました。
急いで作ってよかったです。
お子さん連れも多く立ち寄ってくれ、娘の願いどおり、たくさんの人と試遊できた夢のような1日でした。

お子さんにはマーブルワードが人気でした

価格設定

価格の2000円についてはいまだに正解が分かりません。
「高い」「安い」と様々なご意見を頂きました。
抑えて500円以下で作ることも考えましたが、ただでさえ貧相なコンポーネント。
チャック袋で出しても、華やかな作品揃いのゲムマでは見向きもされないだろうと思いました。

それと、

「【子どもが作ったゲーム】だからじゃなくて【面白いゲーム】だと思って買ってほしい」

という娘の意志を尊重する思いもありました。
どのみち量産はできないので、まず試遊に寄ってもらうことを目標に、売れなかったらまた考え直すつもりでした。
自分たちがボドゲを買うときは見た目も重視するので、殻以外のコンポーネントや箱は、娘といろんなお店を回って選びました。

結果的には予想以上の数をご購入頂けて、
娘の目標だった
「子どもが作ったのを差し引いても面白い」という感想も頂きました。
辛めのご意見もありましたが、直接お話しできたこと全てが得難い経験になり、娘の今後の糧になると思います。
名刺交換もたくさんさせてもらい、1日でかなりの成長を遂げました。
(余談ですが体重はまだ19キロで、小学1年サイズです。そちらも早めの成長を願いたいです)

キャラ「ピスタくん」も自分で描きました

反省していること

初出展で余裕がなく、子どもたちが夢中になりすぎて他サークル様にご迷惑をかけてしまったことと、
不慣れでブースを離れられず、いろんな方のところに伺えなくて大変不義理をしてしまいました。
お会いしたい方、行きたいところがたくさんあったのに申し訳ありませんでした。
今思い返しても悔やまれます。

あと、相互PR会や試遊会にもっと参加したかったです。
娘が母のみの参加を許してくれずあまり行けなかったのですが、他サークル様の製作秘話が聞ける貴重な機会でした。
もちろん、一早く新作に触れられるのも特権です!

先生は「ゲムマ」ではわからない

エピローグ

こうして初めての出展が終わり、まだ夢の中にいるような心地です。
たくさんの方に応援して頂き、娘の挑戦が叶いました。
おかげで娘の好きと頑張りを形にすることができました。ありがとうございました。
在庫がまだ少しあるので、またどこかで頒布できる機会があればと思います。

娘はすでに次作を考えていますので、またテストプレイ会などでご一緒できたらいろいろご指導ください。
今後とも宜しくお願いします!

ただ、テストプレイを派手にやりすぎたのか、学校での「ピスタワード」は禁止になってしまいました。
なので次作は紙ペンになるかもしれません。

「ピスタワード」だけで長くなってしまったので、
またいつか、派生ゲームの「マーブルワード」についても書きたいと思います。

大変長い文章をお読み頂きありがとうございました。

またゲムマでお会いできますように!

モノビーズ


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