韓国ニュース:次なるN番部屋を防ぐには…?


潜入ルポ③です。
現状で、テレグラムの「博士部屋」については、「博士」とおぼしき人とその共犯者14人、あと潜入ルポ②で書かれているような個々人が検挙されています。

ですが、その大元となったN番部屋の創設者ガッガッについてはまだ捜査の手が及んでいません。(訂正:ガッガッを引き継いだウォッチマンという人物は昨年末逮捕されていました)
(N番部屋と博士部屋の違いはこの記事の〈まとめ〉をご覧ください)
「博士のように捕まらなければいい」と類似のN番部屋も生じたと報道されています。

ではどうすればいいのか?国を動かして、海外の会社との協力関係をつくり、法改正をすべきという主張があります。今回の請願もひとつの後押しになると思います。


〈ここから本文です〉

[n番部屋追跡ルポ③] 「弱い」男性ほど性搾取に執着する
n番部屋に潜入する③ 「女であっても勝つ」チャットルームに隠れた負け組26万人

未成年者、奴隷、加虐的なコンテンツ。昨夏、携帯電話のテレグラムn番部屋のお知らせは絶えず鳴りつづけた。トークルームを開くたびに深呼吸をしなければならなかった。一日中違法に流布される写真のみでも数百枚で、性的搾取・女性嫌悪発言は秒単位で交わされた。それをリアルタイムで見ながら悟ったことがある。n番部屋は、扇情的なポルノを共有する逸脱空間ではない。加害者たちは、ほとんどが未成年者の被害者を、最も無力な奴隷の状態にしたあと、加虐的で猟奇的なコンテンツを自ら生産するように仕向けた。自らの手で撮ってネット上に載せたので、責任も被害者に転嫁した。ねじれた加害心理を赤裸々に表した反社会的な集団がそこに集まっていた。

女性には勝つ?26万人の負け組たち

n番部屋で女性を呼ぶ一般的な名称は「XXゲ(おそらく「ソンノリゲ」;性的なおもちゃ)」だ。言い直せば、「月経をするモノ」などと解釈できた。彼らにとって女性は人格を持つ者ではなく、欲望を吐き出す対象でしかない。このような見下しには心理的な背景がある。

ユン・キム・ジヨン建国大学校身体文化研究所教授は、「男性の一団で弱いからと排除される男性ほど、女性から搾取するところに執着する」とし、「現実では無視される男性たちは、オンラインでも男性性を認めてもらおうとする。自分より弱いと信じる女性を対象に、征服欲を噴出させる」と述べた。オンライン性搾取をリアルタイムで届け出る女性団体「テレグラム性搾取届出プロジェクトReSET」も「今までに確認した加害者の大多数は、現実ではしっかりしたことを成し遂げたことのない男性たち」といい、「現実から逃げ出した彼らが、気軽にアイデンティティを表せるオンラインに隠れたもの」と分析した。

実際にテレグラムの部屋を運営していたAさんは、チャットルームで自分は公務員だと折々に言った。特定の事案について議論がおこなわれると、「私は公務員だから分かるんだけど…」という言葉を習慣のように付け加えた。先日、彼が検挙されたというニュースを聞き、身元を確認した。公務員ではなかった。注目すべきは、彼が公務員ではないという事実ではなく、あえてウソを言ったという点である。失敗した自我を「公務員」という職名できれいに繕おうとしたものである。このような理由で、加害者たちは主に未成年者を狙う。自ら強いと感じられる、女性の中でも最も弱い者を探すのだ。

彼らは内部で権力争いを繰り広げもした。「私たちは女子高生がより好きなのに、なぜしきりに幼児ばかり載せるんだ」と争うようなふうだ。

ユン・キム教授は、「テレグラムでの男性性は、女性をどのくらい多く搾取できるかを通して認められる」と述べた。それによって序列が決まる。テレグラム性搾取共同対策委員会の推算によると、n番部屋の事件に関与した「負け組」は26万人を超える。

「家出学生は連絡して」という文章だけでも処罰しなければ

方法は、処罰しかない。捕まるということがわかった瞬間、彼らは止まる。

イ・スジョン京畿大犯罪心理学教授は、「処罰のレベルを高め、警戒心を持たせることが必要だ」といい、法定強姦年齢を上げることから指摘した。法の再整備は順次おこなわれるべきだが、法定強姦対象年齢を上げることで未成年(に対する)性犯罪処罰強化の第一歩を踏み出すことができると述べた。

法定強姦とは、同意するかどうかにかかわらず、13歳未満の児童との性行為をした場合処罰するという条項である。

イ教授は、(これを)16歳以上に上げることを提案した。被害者がその範囲に入れば、合意があったに自ら進んでしたにせよ、加害者を厳罰に処さなければならない。ユン・キム教授も「デジタル性暴力の量刑を強化するときは、特に被害者が未成年の場合、加重処罰する方案が必要だ」と強調した。

イ教授は、未成年者を誘うすべての行為を処罰しなければならないという点も指摘した。インターネットに「家出した女子中学生、連絡ください」という文章を載せたら、その後の行為が伴わなくても処罰しなければならないということである。この時、警察に対しては、おとり捜査の手法も認めならなければならない。警察が誘い文句を載せ、アプローチする男性を逮捕できるようになれば、加害者は犯行に消極的にならざるを得ない。

イ教授は、「このプロセスが順次実現すれば、チャイルド・トラフィッキング(児童人身売買)犯罪が集中するオンラインサイトが選別される」とし、「各個人がおこなう犯罪として見るのではなく、サイト自体にすべての民事・刑事上の責任を問わなければならない。冷水を浴びせようというもの」と説明した。犯罪が発生する前に、サイトが自主的に浄化する(書き込みを削除して健全な状態を保つ?)ように導かなければならないということである。イ教授は、「一方では、産業が死ぬ、革新を妨げる、と拒否反応を示す人がいる」とし「それなら被害者をいったいどのように救済するというのか」と反問した。

ユン・キム教授は、テレグラムの役割と国際協力捜査について述べた。教授は「捜査当局が立ち上がりテレグラム本社に協力を要請し、会社側でまず緊急措置をとるよう強く要求しなければならない」といい、「捜査当局の強い意志が求められる」と主張した。テレグラム性搾取共同対策委員会も「(その)特性上、オンラインをベースにした性的搾取は加害者を特定するのは難しいだけに、テレグラム側の協力が重要である」と述べた。

国が応答した

捜査機関はすでに動き始めた。ミン・ガプリョン警察庁長は(2020年3月)2日、「テレグラムなどのオンラインを利用した性的搾取物(ポルノ)の拡散が金儲けに悪用されることがないようにしたい」といい、「根本的な解決まで捜査に力を集中させたい」と述べた。1月2日から1ヶ月の間に、実に21万9705人が同意した「性搾取事件であるn番部屋事件の根本的な解決のための国際協力捜査を請願します」という題目の国民請願に対する答えだ。ミン庁長はまた、「多方面の国際協調を推進している」とし、「犯罪収益を没収するなどの方法で犯罪の意志を元から遮断する」と約束した。

まずは捕まえなければならない。しかし、その後がさらに重要である。処罰のレベルを画期的に高めなければならない。ユン・キム教授は「n番部屋の事件は、ポルノ流布罪で処罰してはならない」とし、「性暴力として処罰してこそ、加害行為に合致する処罰と被害者保護が体系的におこなうことができる」と強調した。イ教授も「問題の解決の核心は処罰である。犯罪が露見して厳しく処罰されるということを加害者が知った瞬間変わる」と述べた。

国民日報
http://news.kmib.co.kr/article/view.asp?arcid=0924127559

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