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【基礎から知りたい】よくわかる投資信託について

 投資信託についての概要と購入時に参考にしておきたい要点をまとめました。

投資信託とは?

 投資信託とは投資の専門家が複数の投資家から資金を集め、株式や債券などに投資・運用する金融商品です。専門家が運用方針に基づき代わりに投資してくれるというシステムです。国内外を問わず株式や債券、不動産などに合わせて投資します。1つの株などの商品のみの場合、不景気などの影響で一気に暴落する危険もありますが、いろいろなものを組み合わせて分散投資できる点が人気と言えます。しかし、当然集めた金額を増やせる場合もありますが、元本が必ず保証されているというわけではないため損をする場合もあります。

■投資信託の仕組み

 投資信託はまず「投資家」から銀行・証券会社・郵便局などの「販売会社」が「ファインド」を販売し、資産運用の元手となる資金を申込金として集めます。販売会社は「信託銀行」に投資家から集めた資金を納めます。ファインドには「運用会社」が存在し、その指示によって信託銀行が株・債券・不動産などの金融商品を売買し利益を得てそれらを販売会社に分配金・償還金として納め、販売会社は投資家に収益を分配します。

投資信託の仕組み

 お金の動かし方を決める「運用会社」と「投資家」の間にお金を預かり管理する「信託会社」・おもに顧客を管理する「信託会社」が仲介に入ることで安心して資産運用できるような制度となっています。

■どのくらいの期間保有するものなの?

 投資信託には運用がスタートする「設定日」から、運用が終了する「償還日」とよばれる信託期間があります。信託期間が終了すると投資信託は「償還」します。ただし信託延長として信託期間が延長されるケース、償還日から繰り上げて償還されるケースがあるので注意しましょう。「無期限」と記載されている投資信託は、運用される期間は決まっておらず信託期間は決まっておりません。

投資信託のメリット

 投資信託は人気のある投資方法の1つです。ではどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

■専門家に運用をお任せできる

 投資の知識や手法を身に着けるには時間と労力がそれなりにかかります。その点で、投資の専門家に運用をお任せできるのはメリットといえるでしょう。個人投資家が購入できない銘柄や巨額の資金、手を出しづらい債券などを購入したり、個人として投資するより効率的に報酬を得ることができます。

■分散投資でリスクが軽減できる

 投資信託では複数の投資家から集めた資金を元手に資産運用することができるので国内外の株式や債券、不動産などに分散投資することができます。複数の銘柄に分散投資することによって急な暴落があって損失を出したとしても他の運用でカバーすることが可能です。

■少額からの運用が可能

 一般的な株式では100株からの購入になるためまとまった資金が必要になります。しかし投資信託は複数の投資家から資金を集めるので1人当たりの投資額は少額で済みます。具体的な金額は商品によって異なるものの、5000円程度から投資できるものが多く、始めるハードルが低いといえます。

■分配金を受け取ることができる

 投資信託には運用結果として分配金がもらえる商品と、運用結果を再び投資に回せる商品があります。通常の運用では分配金を受け取れる商品を持っておくことで定期的な収入源を得ることが可能となります。


投資信託のデメリット

 投資信託は効率的に投資できる投資方法の1つではありますが、当然デメリットもあります。見ていきましょう。

■元本を下回るリスクがある

 運用成果に応じて報酬を得ることができる一方で、元本を下回ってしまうリスクもあります。ただし、長期間毎月一定額を積み立てて投資することで購入単価を平準化し収益も安定化するため、長い目で見て運用するものである点は理解しておきましょう。

■短期的な投資をしたい人には不向き

 投資信託は短期的な投資には向きません。投資信託の基準価額の変動は原則として1日1回であり、取引も1日1回しか行えないため、デイトレードには不向きです。また自分で銘柄を決めて投資したい人には不向きであり、投資信託の中に株式が含まれていても株主優待や株主配当は受け取れません。

■手数料が多い

 後述する手数料が投資信託には通常の株取引よりも多くかかります。しっかり購入前に「投資信託説明書」を読み、頭に入れたうえで購入する必要があります。


目論見書の見方

 投資信託を購入する投資家がファインドについて知るために確認するものが目論見書です。
 一般的に投資信託の目論見書には2つあります。1つは投資信託にはどのような特色のファインドかを記した投資目論見書で、必ず投資前に投資家に渡されます。もう一つは請求目論見書と呼ばれるものです。投資家から請求があった際に交付しなければならない目論見書となっています。こちらにはファインドの沿革や経理状況といった追加的な情報が記載されています。

 では投資目論見書とは主にどういうことが書かれ、購入する際にはどこを見ていくのでしょうか。ざっくりご紹介致します。

■ファインドの目的・特色

 ファインドが何を目的として何に投資しているのか、ファインドの仕組みがどうなっているのかが記されています。

■投資のリスク

 商品ごとにどのようなリスクがあるのかが記載されています。例えば価格変動リスク・金利変動リスク・為替変動リスクなどといったものです。

■運用実績

 基準価額、純資産総額の推移、分配金・年間収益率の推移などです。投資信託の過去の実績を確認できます。

■手数料や手続き

 ファインドの購入単位・購入時の手数料、信託報酬、ファインドにかかる税金などの諸費用が記載されています。


POINT!
①基準価額とは、投資信託の値段のことで、多くは1口または1万口当たりの値段のこと。
その投資信託が保有する株式や債券などの時価評価の総額に利息や配当金などの収入を加え、そこから運用コストを差し引いた金額を総口数で割って算出します。


 これらの目論見書の記載内容は投資前にきちんと確認しておくことが大事です。


どんな手数料がかかる?

 投資信託には先述のとおり手数料がかかります。手数料とされるものは主に5つあります。見ていきましょう。

■販売手数料

 購入時にかかるものです。
 買い付けた日の基準価額に応じて銀行や証券会社の「販売会社」に支払います。だいたい2~3%です。また近年では購入手数料が無料のノーロード・ファンドも増えています。

■信託報酬

 運用時にかかるものです。
 運用に対する手数料のようなもので、純資産総額に対して1~2%程度毎日自動的にかかってくるものです。ファインド全体から差し引かれて、それを口数で割って基準価格を計算し、運用会社・信託銀行・販売会社で分配します。購入前に「投資信託説明書」を読み、しっかり確認しておくことが重要です。

■監査報酬

 運用時にかかるものです。
 投資信託の計理が公正に行われているか監査するための費用です。 投資信託は決算ごとに監査法人からの監査を受ける必要があります。ほかの手数料と比べると少額のためそれほど気にする必要はないと言えます。

■売買信託手数料

 運用時にかかるものです。
 ファインドが株や債券を売買するための費用です。信託財産から間接的に支払われる。こちらもほかの手数料と比べると少額なので、気にしすぎる必要はありません。

■信託財産留保額

 売却時にかかるものです。
 投資信託を途中で換金する際に換金する人が負担する費用です。運用会社や販売会社の収益とはならずに換金時に換金代金から差し引かれ、投資信託に残す財産のことをいいます。
 投資信託に投資したお金はそのままファインドの中にあるわけではなく、株や債券を購入する資金に充てているため、換金したいタイミング、換金したくないタイミングがあります。換金したくないタイミングで出金することで手数料や含み損によって余計な費用が発生してしまい、それを投資信託に継続して投資している人たちで負担するのは不公平であるという考え方に基づき、それを信託財産保留金として出金する人に支払ってもらいます。0.2~0.3%が一般的で、一部のファンドでかかります。
 この留保額は基準価額に反映されます。「投資信託説明書」を購入前に確認しておきましょう。


つみたてNISAと投資信託

 投資信託で得た報酬はつみたてNISAの枠を活用することで上限まで非課税にすることができます。つみたてNISAは1人1口座、定期的に継続してつみたて投資を行うことが条件となり、年間40万円まで活用することができるため賢く使っていくことが求められます。
 ただし、このつみたてNISAの対象となる投資信託は金融庁のスクリーニング基準を満たしたものでなくてはいけません。スクリーニング基準については長くなるため今回は割愛します。
 金融庁の基準を満たした投資信託とはしっかり分散投資されている手数料が安く、安定して20年以上の運用実績を持つインデックス型・アクティブ型の投資信託とETFに限定されます。この基準を満たした投資信託はどれも堅実で信頼できる投資先と言えるでしょう。


インデックス型・アクティブ型ってなに?

 つみたてNISAの対象となる投資信託の種類はインデックス型・アクティブ型の2つに分類されます。必ず購入前に確認しておくことが大切と言えるでしょう。

■インデックス型

日経平均株価・東証株価指数と同じ値動きをするように設計された投資信託です。指数を算出するルールに従って銘柄を選択すれば近い値動きが再現できます。

POINT!
指数とはその市場の価格の平均値を数値化したもの。
②日経平均株価とは、日本を代表する225銘柄から算出された株価指数のこと。

■アクティブ型 

 市場平均よりも良いリターンを得るように、銘柄選択や投資手法などを独自に組み合わせた投資信託です。ファンドマネージャーが独自の調査や分析に基づいて銘柄を選定し、勝つこともあれば負けることもあります。


EFTとは

 ETFとは「上場投資信託」といい、Exchange Traded Fund の略です。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種です。インデックス・ファインドを株式と同じように相場の売り買いができるようなものです。

 国内で組織され国内の金融商品取引所に上場しているETFを国内籍ETFと呼びます。一方で海外で組織されたETFを外国籍ETFと呼びます。外国籍ETFは国内の取引所で購入できるものもありますが、ほとんどは海外の取引所に上場しており、一部の証券会社で購入可能です。ただし、その取引所がある国の通貨で運用されますので為替などを考慮する必要があります。


運用方法・運用形態

 では投資信託はとういった方法をとって投資対象を絞り込むのでしょうか。運用方法や運用形態を知ったうえで投資することはとても大切です。またこれらの運用方法は自分の投資の参考にもなります。


■パッシブ運用

 パッシブ運用とは市場の指数やポートフォリオに追従する投資戦略のことです。インデックス型運用に類似しています。ベンチマークに対してリスクを取ってより良いパフォーマンスを目指すのではなく、ベンチマークそのもののリターンの実現を目指します。

指数の移り変わりのイメージ

POINT!
①ポートフォリオ
とはどのような運用商品を持っているかという意味。
どのような投資信託を購入するか、株はどの銘柄を何株持つかを検討することを「ポートフォリオを組む」と言いう。
②ベンチマーク
とはその投資信託が運用する際に目標とする基準のこと。
③リターン
とは購入した金融商品に対する利益のこと


■アクティブ運用

 投資のインデックスを上回ることを目標に、具体的な投資を行ってポートフォリオを管理する投資戦略のことです。日本株の代表的なインデックス(指数)である日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などのインデックスを目標基準として、それを上回る成績を目指します。より高いリターンが見込める一方で安定的な運用とは異なります。

指数の移り変わりのイメージ


〇グロース型 
グロース型は、企業の将来の成長性を見極めて、大きな成長が期待できる企業を選定して投資する運用方法です。

バリュー型
バリュー型は投資対象の企業価値を見極めた上で株価が割安と判断される銘柄を選定して投資します。適正な企業価値はいずれ株価に反映されるものと考え、修正されていく過程で利益をあげようとします。

バリュー型では一般的に以下の指標が用いられます。
・PER(株価収益率)=株価÷1株当たり利益(EPS)
株価が1株あたりの利益の何倍か
・PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たり純資産(BPS)
株価が1株当たりの営業キャッシュフローの何倍か
・PCFR(株価キャッシュフロー倍率)=株価÷1株当たり営業キャッシュフロー
株価が1株当たりの営業キャッシュフローの何倍か

これらを用い、これらの数値の低い銘柄を買い付けます。


■ファンダメンタルズ分析とは

経済、政治、国の人口などの大きな視点の見通しであったり、個々の企業の財務状況などの動向などの情報の調査分析を基に、投資先を選定する手法です。

・トップダウン・アプローチとは景気の局面から伸びる産業を見極めて、投資銘柄を選定するやり方です。景気の局面とは金利や国際情勢・為替・気候・災害などの環境要因を分析して企業に投資するやり方です。

・ボトムアップ・アプローチとは1つ1つの企業を分析・精査して適切と判断した企業に投資するやり方です。


■ファミリーファンド方式とファンド・オブ・ファンズ

おもに投資信託から投資信託へ投資する投資形態です。

・ファミリーファインド方式とは複数の投資信託から1つの投資信託に投資し、その投資信託が金融商品を売買する仕組みのことです。このとき、直接投資する投資信託のことをマザーファインドと呼びます。一方でマザーファインドに投資する複数の投資信託のことをベビーファインドと呼びます。

ファミリーファインド方式

・ファンド・オブ・ファンズとはファミリーファインド方式とは対照的に1つのファインドが複数の投資信託に投資する状態を指します。

ファインド・オブ・ファンズ




投資信託についてお分かりいただけたでしょうか。必要に応じて追記される場合がありますのでご了承ください。
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