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私というゼリー

インターネッツの大海を漂いあらゆるブログの管理を放置しネットどざえもんの名を縦(←ほしいままと読むらしい。ちょっと賢くなった)にしていたこの数年、遂にnoteという島に辿り着いた。どざえもんなので脳は既に腐っており使い方はわからない。とりあえずなんか書いてみようと思う。

私は怪我と病気にたいへん弱い。精神的にという意味で。

体つきは頑健というかむしろ岩石の如き見てくれであり頭痛腹痛きりきず打撲その他の痛覚への耐性は高く、トラックに跳ね飛ばされてもアスファルトの上で仰向けになりながら「空きれい」で済ませられるくらいは頑丈だ。結構荒くれな行いをしてきたが、骨折の経験はおかげさまで一度もない。

しかし実は病気や怪我や罵詈雑言がめっぽう苦手だ。見聞きしたただけで目眩がしてしゃがみ込みたくなり胃が酸っぱくなる。私の精神はゼラチンの分量を間違えたゼリーくらいにぐずぐずで、それなのに、やめればいいのに、他の道もあったのに、わざと荒い道を選択してしまった。世の理不尽が許せなかったから。不幸にして身体機能の一部や家族を失い声も立てずに泣く人を見過ごせなかった。私は傾斜のきつい山道を進んだ。

岩のような体にぐずぐずの精神。世間体という立位を保持し、誰かを守ろうと動くには人一倍気をつけなくてはならなかった。辛いからしんどいからと言ってお姫様のように倒れても揺らいだゴーレムを支えてくれる人間はいない。下手をしたらその誰かを下敷きにしてしまうから。そして一度ハデにこけた。岩石の身体は割れ、中から生温かいゼリーが溢れ出た。割れたゴーレムの周りで人々はたいへんおろおろしていた。ゴーレムは泣いた。崩れたゼリーが恥ずかしくて自分の割れた指先で必死でかき集めた。ゼリーの分量は元には戻らなかった。

私はこれ以上倒れないために山を下りて新たな道を選択することになる。誰かを助ける前に己の身体を知り、自分自身の内側に巣食う理不尽の塊を鎮め、固めるために。ふたたび立ち上がり今度こそ誰かに一握りの温かい食べものを渡すために。

これが私が看護師になった(おおまかにはしょった)理由である。



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