えくのむ

東京にひそむ美大生、ふとしたきっかけで美術のみちに迷い込みました。

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東京にひそむ美大生、ふとしたきっかけで美術のみちに迷い込みました。

最近の記事

宇宙創成はじめの3分間

 美術を学びながらにして、天文学であるとか物理学に興味を持つことはやや特異なことのように思えるけれども、こういう興味自体わたしの寄り道の多い人生のよう。  前の大学で学んだことは現在まで何ら活用できていないし、活用したくもないけれども、寄り道寄り道。いつか使う時がきっとくる。 宇宙創成はじめの3分間  全くの初学者には難しい内容かもしれないが、大学化学、大学物理を嗜むくらいであれば容易に読破できる内容。なお細かな理解を省けばもう少しレベルは下がる。  他の天文学の書籍を数多

    • 偶然の装丁家

      2年ほど前にブックデザインについて検索したときに見つけた一冊。 読もう読もうと思ってそのHPをスマホの別タブにずっとしまっていた。 近所の図書館で借りれるということで。 読みやすい内容なのだけれども、面白さとしては前半の日本に戻る前のくだりのほうが断然面白い。 一方で後半の装丁家としての部分はページ数の足りなさを覚え、後半の内容だけで一冊の読み物として独立させてほしいくらいの興味がある。 もちろん本書にもいくつかの実例を挙げて、その変遷が追われているし、ブックデザインのい

      • お姫様とジェンダー を読み終えて

         そもそもわたしはジェンダーやフェミニズムに特別の関心があるわけではない。  むしろフェミニズムという言葉には難しい印象を持っている。  それでもこの本は読み手の性別関係なしに、最初から最後までとても興味深く読めた本だった。  ジェンダーに関する本は初めて読むけれども、この本はとてもいい入り口だと思った。  この本はシンデレラや白雪姫といったお姫様が出てくるディズニー映画を授業の題材に、学生と感想を述べあいながら進む本。  授業も大学1年次の学生を対象にしているためか、全

        • 一昨日行ってきた多摩美の版画 50年展 観たい画家の絵もたくさん見れて満足だったけど、行ってみたいアーティストトークが明日と11日にあるので、行くかどうか悩む。 妙に遠いところにあるし、交通費もややかかってしまうので。

        宇宙創成はじめの3分間

        • 偶然の装丁家

        • お姫様とジェンダー を読み終えて

        • 一昨日行ってきた多摩美の版画 50年展 観たい画家の絵もたくさん見れて満足だったけど、行ってみたいアーティストトークが明日と11日にあるので、行くかどうか悩む。 妙に遠いところにあるし、交通費もややかかってしまうので。

          グリーンバーグ批評選集 備忘#4 終わり

           全部読み終えたグリーンバーグ批評選集。  もちろんある程度の絵画知識が必要な本ではあるけれども、あまり絵画史の勉強をしていない私でも追いつけたので極端に難しい本ではないのだろう。  第1章らへんは批評家グリーンバーグの小難しい授業を聞いているようで文体に慣れずに最も苦戦したところであったけれども、そこを読み込んでおくといつのまにかグリーンバーグおじちゃんとお話ししている感じ。  ただし知識を持っているからいい絵が描けるようになる、とは思っていない。だけれどもニューマンや

          グリーンバーグ批評選集 備忘#4 終わり

          グリーンバーグ批評選集 備忘#3

           もしかすると本文は書籍を持っていればいつでも参照できるので、感想のほうがのちのち見直すときに重要? さらに新たなるラオコオンに向かって1940  アヴァンギャルドとキッチュを読み終えてから読むと意外と読みやすい。支配的な芸術に対する他の芸術がどのようにして相互に影響を及ぼし合ってきたかが序盤説明されていて、特定の芸術の優位性は他の芸術が効果を模倣するため芸術の混乱が起きるのだとか。ただそれは自身のミディアムを隠すだけの技量がある場合に限る(イリュージョンが得意ということ、

          グリーンバーグ批評選集 備忘#3

          グリーンバーグ批評選集 備忘#2

          太字は本文を要約である。 アヴァンギャルドとキッチュ(1939) Ⅱ~Ⅳ  産業革命による生産率の向上により識字率が上昇。それまでの正式な文化は読み書きができ、教養を伴う余暇と慰安を自由に行える層が享受するものだったが、「読み書きはできる」新たな層に代用文化が必要となった=キッチュ。キッチュは成熟した文化の結果を模倣するため、無教養の農民でも絵の中に描かれた価値を発見することができる。一方でアヴァンギャルドにおける価値は造形的価値によって委ねられた直接的印象を反省すること

          グリーンバーグ批評選集 備忘#2

          グリーンバーグ批評選集 備忘

          前書き 現代美術史の勉強のために読んだ本の個人的な備忘録をつけておく。 本文を要約し太字として掲載しながら、それをもとに個人的な解釈を述べるものであり、正確さは保証できない。 また美術史の勉強においても概略の勉強は行っているものの、抽象表現主義系の専門書はこれが初めてであるため知識不足は否めない。 アヴァンギャルドとキッチュ(1939) Ⅰ  社会発達の最終段階において形式の歪みが顕在化されると芸術による既成概念の変化が現れる。これがアヴァンギャルドであり、発祥は西欧のブ

          グリーンバーグ批評選集 備忘

          #1

           初対面の人に美大のきっかけについて問われると答えに詰まる。それは漠然としたもので、焦りのようなものだったかもしれない。  5年前大学院を修了した。そこで携わっていたことは今から考えると私の本意ではなかったけれど、当時はそんなことにも気が付けなくなっていた私は必死に日々を過ごすことしかできないでいて、今から見つめるとあまり幸せな時間ではなかったように思う。  修了したとき大学から社会に放り出された感があって、とてもほっとしたことを今でも覚えている。就職先もなかったから久しぶ

          燃えさし

          そうかnoteか、と思った未明には書きたいことがいろいろあったのに、朝起きてみたらその熱量はなくなっていて、その燃えさしみたいなものがもしかしたらまだあるかもしれないと思ってnoteを登録しておく。