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北向きの窓から見ると
病室の寸法を測ってみた。メジャーがないので、手帳に付いていた10センチの定規でスリッパの長さを測り、それで計測した。
幅が約2.8メートルで奥行きが約4.2メートル。畳を敷いたら大体7畳分くらい。その中にトイレ・洗面、ロッカーが付いている。これが今の私に許された自由の広さだ。
正面に窓がある。iPhoneのコンパスを使って窓の方位を測った。
北340°。お、北北西ではないか?
日本で北向きというと裏側の印象だが、画家のアトリエは北向きがいいと聞く。直射日光が差さず、一日中光が柔らかくていろいろな物がきれいに見える。
iPhoneは部屋の高さも教えてくれる。40メートルに位置している。窓の下を私鉄が走っている。大きなビルがないので、遠くの山まで見渡せる。旅客機がふわりと降りていくのが望める。乗り物好きにはとてもいい環境だ。
窓は天井から腰のあたりまである縦長の大きな窓。縦に長いので北向きなのに部屋は明るい。病人が北向きの部屋に寝かされていると言ったら、寂しさや辛さが募る印象だが、この部屋にはそれがない。うんとイメージを膨らませると、ニューヨークにある写真家のアトリエ。たぶん、テレビでソール・ライターという写真家の番組を見たせいだろう。
私の仕事、経営は南に向かって走り続けている感じだ。顧客にも社員にも明るい未来を見せなければと思ってしまう。
入院をしてみて、大きな窓が付いた北向きの部屋の快適さに気が付いた。
もっと北側の良さを知るべきだな。南に向かって走り続けても、地球上では結局、北に戻ってくるし。
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saulleiter/saulleiter.html
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