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父の日に届いたシトロエンDSについて、語り継いでおきたいこと

今日は父の日だった。思いがけず息子からプレゼントをもらった。
それが、フランスのシトロエンDSだった。もちろんミニカーだが。
しかし、フランスのsolido社製の1/18スケールだから、かなり大きくて迫力がある。まるで子どもみたいだがとてもうれしい。
このnoteを読んで、父親が何を欲しがっているかを察知したのだ。できた息子である。

シトロエンDSは1955年の10月に発表された古い車だ。1956年1月生まれの私とは同級生になる。どうでもいいこどだが。
しかし、今から65年前にこんな前衛的な車がつくられたなんて驚きでしかない。

「DSは自動車の歴史を1世代飛び越してしまった」
「自動車の歴史始まって以来、量産車設計における最も大きな前進」
「大変な車が現れたものだ。これで今世界中にある自動車の半分が時代遅れになった」

「シトロエン:革新への挑戦」(二玄社)という本より抜粋した、発表当時の報道記事の一部だ。
その後、時代が進むにつれてその先進性はさらに評価を高め、これでも控えめな表現だったと、この本の著者は記している。

この車がいかに革新的であったかを、私が説明しても退屈なだけだろうから、そのすごさを小説から引用しておこう。
ミステリーファンにはおなじみの「深夜プラス1」(ギャビン・ライアル)にこの車の描写がある。シトロエンファンには有名な一節だ。

DSはとてつもなくすぐれた車だが、とてつもなく奇妙な車でもある…(中略)サスペンション、パワーステアリング、ブレーキ、ギアの切り替え―すべてが油圧だ。この車には人間の体内よりも多くの血管が走っている。そこから出血しはじめたら、じきに死ぬ。

この車はオイルが血液のように車内を循環することで、車の姿勢やブレーキを制御している。金属のバネではなく、車が空気とオイルの上に乗っかっているイメージだ。エンジンを切るとまるで眠りに就くかのように車高が下がる。だから、この描写はただの擬人化ではない。この車の本質を見事に突いている、と言えるのだ。

フランスには、金持ち用の高級車(1,000万円以上)がない。
実用性に徹する車ばかりだが、独創的かつ個性的な車が多い。
シトロエンDSは、個性の国フランスの象徴であり、名作小説と共に生き続け、65年経ってもその魅力を語り継ぎたくなる偉大な存在だ。

父親としてもそうありたいものだ‥。



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