カメラ=万年筆が40年の時を超えてよみがえる。
昔聴きなじんだ音楽(いわゆる懐メロ)は鎮痛や精神安定効果もあるらしい。アメリカでは医薬品のひとつとして音楽の活用が研究されているらしい。ということで入院中は音楽配信も大活用だった。
60年代~80年代のアルバムをいろいろと聴いた。懐メロ効果は絶大で、気分がすごくよくなり、希望が湧いてくる感じを何度も味わった。
その中で久しぶりにムーンライダーズを聴いた。80年代に発表された傑作「カメラ=万年筆」だ。Noteにスマホ動画のことを書こうと思っているときにふとカメラ万年筆論という映画理論が頭に浮かんできて、そのままムーンライダーズにつながったというわけだ。LPしか持ってなかったのでずっと聴いていなかった。
このアルバムはリーダーの鈴木慶一さんの映画趣味が色濃く反映されていて、全曲ヨーロッパ映画の名作タイトルになっていておしゃれだ。ニューウエイブ色が強く、時代をかなり先取りしていたと思うが、当時すごくカッコよかった。今聴いてもその感じは変わらない。
因みにアルバムタイトルの「カメラ万年筆論」とは、ウィキペディアによれば以下のようになる。
映画は目に見えるもの、映像のための映像、物語の直接的で具体的な要求から次第に解放され、ちょうど書き言葉と同じくらい柔軟で繊細な書くための手段となるだろう。
分かりにくい。要はこれからの時代は、ペンで文章を書くようにカメラで個人的な思想や表現が可能になるということらしい。スマホの時代になって確かにそうなったと言える。
莫大な費用をかけてつくられる映画がある一方で、個人が個人的な思いを自由自在に動画配信できる今は表現の可能性を拡大したと思う。
80年代にロックは巨大産業化したが、その反動としてパンク、ニューウエイブが現れた。再び誰もが音楽をつくれる環境が整い、多様な民族的ルーツを持つ音楽を身近に聴くことが可能になった。
シンプルながらパーソナルなセンスと手作り感にあふれた「カメラ=万年筆」のサウンドはそんな時代を反映している。ムーンライダーズの実験のひとつとして聴くことができる。
ビンビンに尖ったニューウエイブと思っていた「カメラ=万年筆」も発売40周年を迎えていた。昨年記念のライブがあった。来月(6月)CDが発売される。退院後のリハビリの一環(?)として予約いたしました。