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ホタルを見に行った。2匹しかいなかった。その儚さ(はかなさ)がいいのかも。

昨日、野坂昭如の絵を描いたからという訳ではないが、近くの川でホタルが見られると聞いた。夜、早速行ってみた。
その川は両岸が遊歩道になっていて、毎日早朝に私も散歩しているコースだ。その川の上流の、ちょうど遊歩道が終わるところにカスケード(階段状の人工的な滝)がある。その手前の草むらにいるらしい。

ここにいるホタルは天然ではなく、幼虫を放流して人為的に生息させているそうだ。放流?そうか、ホタルの幼虫は水棲だった。というか、ホタルのことあまりよく知らない。例によって調べてみる。
ホタル科は60種くらいいて、この川にいるのは一番有名なゲンジボタルだ。ホタルの幼虫は卵にいる時から発光を始めると書いてある。エイリアンみたいだな。オスは飛びながら光り、メスは草むらで光るそうだ。ホタルの成虫の寿命は2,3週間で、その間餌はとらない。求愛行動と産卵だけを行う。All need is love. 「愛こそすべて」ということか。

さて、夜の8時頃、ホタルの生息場所にはすでに10人くらいの人たちがいた。
川の上は道路なので、街灯や車のライトで明るいのだが、生息場所のあたりだけはかなり暗い。映画とかで見るような、ホタルが光りながら飛び回る場面を期待していたが、何も見えない。人だかりしている草むらにポツンと光るものが見えた。他にはいない。小さな流れの向こう側にもう一つ光の点を見つけた。
結局、その日に見られたのはこの2匹だけだった。家族連れがスマホで写真を撮ろうして、ストロボを発光させてしまい顰蹙(ひんしゅく)を買っていた。

住宅街のすぐそばで、ターミナル駅から徒歩15分くらいのところにホタルがいるなんて素敵だと思うが、ホタルにとってはあまり棲み心地がよさそうではない。
このあたりは街が明るすぎて、星を見るのも難しい。よく見えるのは夜景のイルミネーションばかり。ホタルを放つのと同時に灯りも消せないものかと思う。

昆虫が棲みやすい環境は水や餌の問題だけではなく、人の存在を如何に消すかにかかっている。となると気楽に見に行くことは望めなくなる。
自然は遠くにありて思うのが、一番なのだろう。

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