中二病エピソードと大人の中二病



0.本記事について

 本記事は中二病エピソードおよび大人の中二病について解説しています。
 様々な中二病の症例を読みエピソードのパターンを抽出した結果、また大人の中二病の原因や治療について考察しています。

1.中二病エピソードのパターン

症例から見るエピソードのパターン

 様々な症例・エピソードを読んでみるとエピソードの流れに沿って以下のようなエピソードのパターンがあることが分かりました。ただし、エピソードはすべての項目を満足している必要はなく、これらの項目は今回調査した26の症例の各症例を包括する項目として挙げられます。

  1. ある行為・設定をカッコイイ・カワイイと思う

  2. 謎の組織・集団・人物・物の設定を作る

  3. 思い込みに基づいて言動する

  4. 他者からの視線・指摘を理解しない

  5. 思い込みによる言動が激しくなる

  6. 現実に直面し完治する?

  7. 思い出すと悶える

1.ある行為・設定をカッコイイ・カワイイと思う
 例えば「グロ好き」「国際情勢のニュースを見るたびに(大統領に)携帯で電話する」といった行為や「闇の世界の住人」「ワイルドな男」といった設定をカッコイイと思うことが挙げられます。

2.謎の組織・集団・人物・物の設定を作る
 「奴等」「カノッサ機関」「伝説のギタリスト」といった、現実であっても会うことはない架空もしくはほぼ架空と言っていい組織・集団・人物・物が挙げられます。
 分類する際、パターン1とパターン2は区別がつきにくい場合がありますが、どちらかというとパターン1は既存の行為や設定もしくはそれに近いもの、パターン2は患者のオリジナルもしくはそれに近いものと考えています。例えば症例「邪気眼」については後述するように「包帯を巻く」という行為をパターン1、「邪気眼」という設定はパターン2へと分類しています。(エピソード「邪気眼」のこれらの分類はまだ検討の余地があると思っています。なぜならば有名な某アニメの「邪眼」から設定をかりているのではという疑念があるためです。)

3.思い込みに基づいて言動する
 カッコイイ・カワイイという行為・設定に基づいて実際にその行為を行ったり発言したりすることを言います。パターン1とこのパターン3は中二病エピソードを形作る上で必須の項目と思います。実際、後述の調査結果の表をみるとすべてのエピソードにおいてパターン1とパターン3は必ず記述されています。

4.他者からの視線・指摘を理解しない
 邪気眼が発動してクラスメイトから「何してんの?」と言われても中二病の症状であることを自覚しなかったり、グロ好きが女子から机ごと避けられても理解しなかったりすることなどを言います。
 次のパターン5へと続く原動力とも言え、中二病の完治のための、ある意味パターン6への伏線とも言えると思います。

5.思い込みによる言動が激しくなる
 大抵の場合、他者が周りにいる状況でも思い込みに基づいた言動をすることと言えます。例えばヤンキーグループに対しても邪気眼を発動、卒業間際の遠足においてグロい画像が付いたシャツを着てくるということが挙げられます。

6.現実に直面し完治する?
 他者から迷惑だと言われることがほとんどだと思います。社交辞令を信じて男の子にアタックした結果キレられる、ディズニーランドのトイレで6時間過ごすという現実に直面し、中二病を自覚することを言います。
 このフェーズは次章で述べる「大人の中二病」においても重要な役割を果たします。

7.思い出すと悶える
 ここは言語化して説明する必要はないと思います。

 代表的な症例(コピペ)を通して中二病エピソードのパターンを当てはめていきたいと思います。以下に代表的な症例として「邪気眼」「架空の高校のバスケ部」の2つを診ていきます。(各症例のタイトルは勝手に命名しています。)

「邪気眼」:

中学の頃カッコいいと思って
怪我もして無いのに腕に包帯巻いて、突然腕を押さえて
「っぐわ!・・・くそ!・・・また暴れだしやがった・・・」とか言いながら息をを荒げて
「奴等がまた近づいて来たみたいだな・・・」なんて言ってた
クラスメイトに「何してんの?」と聞かれると
「っふ・・・・邪気眼(自分で作った設定で俺の持ってる第三の目)を持たぬ物にはわからんだろう・・・」
と言いながら人気の無いところに消えていく
テスト中、静まり返った教室の中で「うっ・・・こんな時にまで・・・しつこい奴等だ」
と言って教室飛び出した時のこと思い返すと死にたくなる
柔道の授業で試合してて腕を痛そうに押さえ相手に
「が・・・あ・・・離れろ・・・死にたくなかったら早く俺から離れろ!!」
とかもやった体育の先生も俺がどういう生徒が知ってたらしくその試合はノーコンテストで終了
毎日こんな感じだった
でもやっぱりそんな痛いキャラだとヤンキーグループに
「邪気眼見せろよ!邪気眼!」とか言われても
「・・・ふん・・・小うるさい奴等だ・・・失せな」とか言ってヤンキー逆上させて
スリーパーホールドくらったりしてた、そういう時は何時も腕を痛がる動作で
「貴様ら・・・許さん・・・」って一瞬何かが取り付いたふりして
「っは・・・し、静まれ・・・俺の腕よ・・・怒りを静めろ!!」と言って腕を思いっきり押さえてた
そうやって時間稼ぎして休み時間が終わるのを待った
授業と授業の間の短い休み時間ならともかく、昼休みに絡まれると悪夢だった

邪気眼まとめ避難所より引用

 パターンを当てはめていきましょう。

中学の頃カッコいいと思って
怪我もして無いのに腕に包帯巻いて、突然腕を押さえて
「っぐわ!・・・くそ!・・・また暴れだしやがった・・・」とか言いながら息をを荒げて
「奴等がまた近づいて来たみたいだな・・・」なんて言ってた

「邪気眼」

 この部分は第1のパターン「ある行為・設定をカッコイイ・カワイイと思う」、第2のパターン「謎の組織・集団・人物・物の設定を作る」および第3のパターン「思い込みに基づいて言動する」に該当するものと思われます。包帯を巻くという行為、包帯を巻いている自分というものがカッコイイと思い、「奴等」と呼ばれる集団および後述する「邪気眼」という謎の設定を自作し、その思い込みに基づいて実際に包帯を巻き言動をしています。

クラスメイトに「何してんの?」と聞かれると
「っふ・・・・邪気眼(自分で作った設定で俺の持ってる第三の目)を持たぬ物にはわからんだろう・・・」
と言いながら人気の無いところに消えていく

「邪気眼」

 この部分は第4のパターン「他者からの視線・指摘を理解しない」に該当すると思われます。クラスメイトの視線があったにも関わらず理解していない様子がうかがえます。

テスト中、静まり返った教室の中で「うっ・・・こんな時にまで・・・しつこい奴等だ」
と言って教室飛び出した時のこと思い返すと死にたくなる
柔道の授業で試合してて腕を痛そうに押さえ相手に
「が・・・あ・・・離れろ・・・死にたくなかったら早く俺から離れろ!!」
とかもやった体育の先生も俺がどういう生徒が知ってたらしくその試合はノーコンテストで終了
毎日こんな感じだった
でもやっぱりそんな痛いキャラだとヤンキーグループに
「邪気眼見せろよ!邪気眼!」とか言われても
「・・・ふん・・・小うるさい奴等だ・・・失せな」とか言ってヤンキー逆上させて
スリーパーホールドくらったりしてた、そういう時は何時も腕を痛がる動作で
「貴様ら・・・許さん・・・」って一瞬何かが取り付いたふりして
「っは・・・し、静まれ・・・俺の腕よ・・・怒りを静めろ!!」と言って腕を思いっきり押さえてた
そうやって時間稼ぎして休み時間が終わるのを待った
授業と授業の間の短い休み時間ならともかく、昼休みに絡まれると悪夢だった

「邪気眼」

 これは第5のパターン「思い込みによる言動が激しくなる」に該当すると思われます。テスト中や体育の試合、そしてヤンキーという他者のいる状況、他者と対峙する状況においても症状による言動を実行しているため、思い込みによる言動が激しくなっていることがうかがえます。

 次の症例を見ていきましょう。

「架空の高校のバスケ部」

帰宅部だったんだが、なんとなくバスケやってる奴がかっこいいと思って
喪友達と二人で某スポーツ店にオリジナルのジャージを特注した。
背中には架空の高校の名前、腕には自分の名前がはいってるやつ。
それを着て県予選の会場に乗り込み、わざと目立つ通路で観戦してた。
(すでに全国出場を決めて、他県の代表を視察に来たという設定)
壁によりかかりながら、人が近くを通る時を見計らって
俺「なかなか面白いチームだな・・・」
友「ああ・・特にあの7番」
俺「お前と同じポジションだな。どうだ?止められそうか?」
友「さあな・・・・」
俺「おいおい・・・エースがそんな弱気でどうすんだよ」
こんな感じのやりとりを繰り返した。
たぶんカッコよかったと思う。

「【コピペ】完全に黒歴史なコピペを貼っていく」サンブログ

 パターンを当てはめていきましょう。

帰宅部だったんだが、なんとなくバスケやってる奴がかっこいいと思って
喪友達と二人で某スポーツ店にオリジナルのジャージを特注した。
背中には架空の高校の名前、腕には自分の名前がはいってるやつ。
それを着て県予選の会場に乗り込み、わざと目立つ通路で観戦してた。
(すでに全国出場を決めて、他県の代表を視察に来たという設定)

「架空の高校のバスケ部」

 この部分は第1のパターン「ある行為・設定をカッコイイ・カワイイと思う」、第2のパターン「謎の組織・集団・人物・物の設定を作る」そして第3のパターン「思い込みに基づいて言動する」に該当します。バスケをやっている奴をカッコイイと思い架空の高校を作りオリジナルのジャージを作るまでしてなりきり実際に県予選の会場に乗り込んでいます。

壁によりかかりながら、人が近くを通る時を見計らって
俺「なかなか面白いチームだな・・・」
友「ああ・・特にあの7番」
俺「お前と同じポジションだな。どうだ?止められそうか?」
友「さあな・・・・」
俺「おいおい・・・エースがそんな弱気でどうすんだよ」
こんな感じのやりとりを繰り返した。
たぶんカッコよかったと思う。

「架空の高校のバスケ部」

 ここは第4のパターン「他者からの視線・指摘を理解しない」、第5のパターン「思い込みによる言動が激しくなる」が該当します。近くを通る人の視線を気にせず、むしろその視線を通して自分自身がカッコイイと思い、その思い込みで言動が激しくなっていることがうかがえます。

 ここまでで判明していることとして、第1のパターン「ある行為・設定をカッコイイ・カワイイと思う」、第2のパターン「謎の組織・集団・人物・物の設定を作る」、第3のパターン「思い込みに基づいて言動する」、第4のパターン「他者からの視線・指摘を理解しない」、第5のパターン「思い込みによる言動が激しくなる」は2つの症例に現れ、エピソードの各部分がパターンのどれかに該当していることが分かります。しかし、第6のパターン「現実に直面し完治する?」および第7のパターン「思い出すと悶える」は2つの症例において該当する箇所が見当たりません。次の節でみるように、この2つのパターンを持っているエピソードは、第2のパターンを除いて、比較的少ないことが分かりました。しかしながら、この最後の2つのパターンに関しては次のように考えることができると思っています。つまり、エピソードに明示していなくてもエピソードを言語化している時点で、ある程度はこれらの項目を暗黙裡に満たしているとうことです。体験が中二病の症状であることを現実との対比を通して自覚しているからこそ言語化し書き込んでいる、そして言語化の際に思い出すという行為を通して気持ちが悶えているだろうということは人の気持ちとして自明であると思います。

様々な症例のパターン表

 以下に26の様々な症例を読んで各パターンに該当しているか・していないかを表でまとめました。

パターン表

 この表の最後の行を見て分かるようにパターン1とパターン3はすべてのエピソードに見られるパターンです。むしろ、この2つのパターンが無いエピソードは中二病エピソードとして成り立たないと思われます。
 パターン4とパターン5は同数現れており、「影羅」「親の金を盗むシーフ」を除いて各エピソードにそれぞれ現れています。思い込みによる言動が激しくなることは他者の視線・指摘への反動と考えるとパターン4とパターン5はセットとして現れるのではと思います。
 意外に少ない項目はパターン2です。パターン1とパターン2の区別の問題もありますが、謎の組織や集団などの自作の設定は中二病エピソードとしては特徴的と考えていましたが少ないことが分かりました。自作の部分というのは高い妄想力が必要だからではないかと考えています。
 パターン6、パターン7に関しては、ここはエピソードに明示されているものを数えました。前述したように、この2つのパターンは暗黙裡に満足していると思われます。
 表の最後の列を見ていきましょう。意外にも「邪気眼」や「架空の高校のバスケ部」「エンッ!!!」といった有名なエピソードの点数が低いように見えます。これはパターン6,パターン7が明示されていないことによるもので、これらのパターンを除外すると「邪気眼」「架空の高校のバスケ部」「エンッ!!!」は最高点の5点を獲得しています。

パターンから見た中二病エピソードの定義

 以上の考察より、中二病エピソードの要件として第1のパターン「ある行為・設定をカッコイイ・カワイイと思う」、第3のパターン「思い込みに基づいて言動する」は必須であると考えられます。第4のパターン「他者からの視線・指摘を理解しない」、第5のパターン「思い込みによる言動が激しくなる」は推奨項目で記述としてはペアとして現れるべきだと考えます。第2のパターン「謎の組織・集団・人物・物の設定を作る」はあればさらに良いという項目であると思います。残りの第6のパターン、第7のパターンは補足的な項目と思います。

2.大人の中二病

代表的な特徴

 本題となる大人の中二病について考えていきます。当初は大人の中二病についてもエピソードを読んでいこうと思っていましたが、ネット上には大人の中二病に関するエピソードが中二病エピソードに比べて極端に少ないことが分かりました。ですのでネット上の大人の中二病に関する記事を引用したいと思います。

大人の中二病としてよく指摘される言動は次のようなものです。

①自己中心的
自己愛が強く、自分が一番でありたいとの思いが強い。

②強い自己主張
自分が一番であることを示したいため、主張が強く、他人の意見を認めようとしない。相手の意見を打ち負かすため、攻撃的な言動になる。

③かまってもらいたい
人にかまってもらいたい欲求が強く、さまざまなアピールをする。

④プライドが高い
自分は特別だという気持ちがあり、そのためミスをおかしても自分のミスを認めようとせず、さまざまな言い訳に終始する。

⑤自分を大きく見せたがる
例えば、著名人との接点などを周囲にことさらアピールし、自分が大きな存在であると思わせたがる。

「大人の「中二病」に要注意。診断や治し方、こじらせた人の特徴など」マイベストプロ

中二病エピソードのパターンとの対応

 中二病エピソードのパターンと大人の中二病に関する言動を比べると次のような対応があることが分かりました。

パターン1「ある行為・設定をカッコイイ・カワイイと思う」
→ ①自己中心的

パターン2「謎の組織・集団・人物・物の設定を作る」
パターン3「思い込みに基づいて言動する」
→ ②強い自己主張

パターン4「他者からの視線・指摘を理解しない」
パターン5「思い込みによる言動が激しくなる」
→ ③かまってもらいたい ⑤自分を大きく見せたがる

パターン6「現実に直面し完治する?」
→ ④プライドが高い

 以下、説明していきます。
 パターン1において「国際情勢のニュースを見るたびに携帯で電話」したり「ワイルドな男」を演じたりすることは、自分が何かとてもカッコイイものである、一番カッコイイものであるという現れと思います。この引用でいう自己中心的であると思います。
 パターン2において「奴等」や「伝説のギタリスト」といった何か日常とは違う限られた人しか接する機会が無いような設定を自作し、そしてパターン3において自分は特別であると思い込み言動することは強い自己主張の現れであると思います。
 パターン4において他者からの視線や指摘を理解せず思い込みによる言動が激しくなることは自分が大きな存在であることをアピールしたいがためであり、またかまってほしいからであると思います。

 問題はパターン6「現実に直面し完治する?」と④「プライドが高い」との関係です。
 結論から言うと、「ミスをおかしても自分のミスを認めようとせず、様々な言い訳に終始する」といった様な高いプライドが大人の中二病の治療を難しくしていると思います。
 対応付けている理由は、パターン6において子供の時の中二病であれば現実に直面すると大抵の場合、完治すると思いますが、大人になってくると現実に直面してもプライドが邪魔して現実を認めようとせず回復する方向に行かなくなっているのではないかと考えているからです。

原因と治療法

 中二病エピソードのパターンと大人の中二病の特徴の対応により考えられることとして、プライドの高さが大人の中二病の治療を困難にさせているものの一つではないかと思います。
 では、どう治療していくかというと、やはり子供の中二病のパターンと同じように現実にぶつかることが一つの治療法として挙げられると思います。具体的には人とのコミュニケーションをとることが挙げられます。ただ大人になると中々変化することに気持ちが乗らないことがありますので、徐々に人とのコミュニケーションをとり多様な考え方を身につけていくことが重要であると思います。

3.付録:パターンから中二病エピソードを作成してみる

(後で更新します)

4.感想

(後で更新します)

5.関連動画

 本記事に関連してYoutubeにて動画を公開しております。

6.参考文献

邪気眼まとめ避難所:

「【コピペ】完全に黒歴史なコピペを貼っていく」サンブログ:

「笑えるコピペをまとめ中二病編:痛いコピペが変えた厨二病の世界」ゲーマー逃避行ブログ

「大人の「中二病」に要注意。診断や治し方、こじらせた人の特徴など」マイベストプロ

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