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トーイ夫婦は、考古学者だった。 彼らはある日、途轍もない物を発掘する。 とても抱え切れない、秘密。 夫婦は親友である、生物学者のコスタ夫婦に相談する事にした。 そして4人は、この遺跡の研究を秘密裏に進めて行く事を決めた。 調査を進めて、5年。 トーイ夫婦は、10歳の息子を初めて遺跡へ連れて行った。 その時の光景、コスタ夫婦と共に守り抜いた途轍もない物。 ザナウェイ=トーイは、一生忘れないだろう。 その後、4人は姿を消した。 ザナウェイ
† 1月4日、木曜日。 まだまだ寒く雪降り積もる中、無情にもサラリーマンやOLは今日から仕事である。 しかし、自営業の真城姫羽と、音楽教室でドラムを教えている月川史也は、至って暇であった。 そんな2人が暇だと言う事は、無職生活を謳歌している龍堂永志が大変忙しく、非常に迷惑していると言う事である。 「じゃあ、早速やりますか?毎年恒例の、年末年始報告会。そう言えば今年は、記念すべき5周年だね!」 姫羽はそう言って、器の中の餅に黄粉をかけた。
4月30日 木曜日 ―現実― ○ キーンコーンカーンコーン。 鐘の音。 授業が終わり、生徒は放課となった。 校庭に立つ桜並木の花は全て散ってしまい、今は緑の葉が青々と茂っている。 「帰ろ…あれ、ど、どうしたのっ?もしかして、また具合悪くなっちゃった?」 思絵は、いつも一緒に帰っている礼名に声を掛けた。 しかし、礼名は机に伏せたまま動こうとしない。 「ごめん、思絵。すぐ治るから、もうちょっと待ってて…」 礼名はそう言
☯ 此処、第1都市エイン・タックスはこの国で1番大きな都市だ。 この街には、何でも揃っている。 食料品や日用品、家電製品や娯楽用品などの物質的な事は勿論、良い事も悪い事も、良い人間も悪い人間も全て揃っていた。 そう、この街にないものはない。 今日の空は昨日と同じ、真っ青に晴れ渡っている。 今日の街も昨日と同じ、大勢の人々で賑わっている。 世の中はこんなにも平和だと言うのに、ヴィエスタ=コスタの心中は穏やかでなかった。