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私の先祖は30世代で20億人 

中村元と奈良康明の師弟対談。中村元はダンマパダやスッパニータを初めてわかりやすい日本語で大衆に紹介したことで、それまでの伝統的な宗派仏教に救いを求め、安寧を得ることのできない多くの日本人に、本来のブッダの教え、初期仏教を普及した役割は本当に大きい。その東大印哲の学生で、のちに駒澤大学学長となる奈良康明は、今や黄檗宗を招来した隠元禅師以来の我が国への仏教新宗派を招来したかのような隆盛を誇るテーラワーダのスマナサーラ長老の駒澤大学留学時代の指導教官であるようだ。奈良康明は曹洞宗永平寺西堂ともなるので、最近スマナサーラ長老が道元の正法眼藏の解説本を出したりするのは、同書に曹洞宗から文句もあるようだが、正嫡の宝燈なのだろう。
中村と奈良の対談で、近代以降はあらゆる領域で、独立した自己を強調しすぎであり、他人との関係、環境や自然との関係なしに自己はありえないのに、という話題の中で、奈良が、私たちは一人一人が30世代遡っていくと、ご先祖様は10数億人になると述べていた。そうなのか、と思って、ChatGPTに聞いてみたら……

「自分から数えて30代遡った祖先の人数を計算するには、各世代ごとに祖先の数が2倍になることを利用します。具体的には、n世代目の祖先の数は2のn乗で表されます。
この原理を使って、30世代目の祖先の人数を計算してみましょう。
計算手順

  1. 世代ごとの計算式:

    • 0代目(自分): 1人

    • 1代目(親): 2人

    • 2代目(祖父母): 4人

    • 3代目(曾祖父母): 8人

    • n代目(n代前の祖先): 2のn乗

  2. 30代前の祖先:

    • 2の30乗=1,073,741,824
      自分から数えて30代遡った祖先の人数は 1,073,741,824人 となります。

  3. しかしこれは30世代目のご先祖さまの人数であり、1世代目2人、2世代目4人、3世代目8人という途中のご先祖さまの人数も足さなくてはならない。これは等比数列の和の計算であり、30世代目まで遡った祖先の数の合計は 2,147,483,646人 です。
    これにより、30代までの祖先全員の合計人数を求めることができました。」

ということで30世代目は10億人だったが、それまでのご先祖さまの総合計は20億人だ。それらの誰か1人の命が子を作る前に尽きていたら、今の私はいないのである。仮に1世代30年、30才で子供ができたとすれば、およそ900年。この間、天災や戦乱、不幸や病がご先祖様を襲ったに違いないがなんとか切り抜けてきた。そこには努力もあれば、運もあろうが、多様な性格や、身体能力、免疫など生物的な生存能力が発揮され、今の私に受け継がれた。それをDNAというのか、あるいは阿頼耶識というのか。まさに縁起、因果が積み重なった結果が今の私。妻も同じく20億人の30世代分の先祖がいるから子には40億人の先祖、孫は80億人の先祖。
どう考えればよいのか、いつもは断定的な私だが、しばらくなんとも評価できないほど圧倒される多くのご先祖さまだ。

私は、つまりご先祖さまから今の私までの20億人は、ここまで何を衝動として何を求め、何を運んできたのだろう。私が運んでいるのか。運んでいるものはなんだろうか。まてまて、30世代900年というように時間の経過で考えるべきものなのだろうか。否、結局同じ場所、同じ時に留まっていながら、川の流れのように私の場所を流れていきながら、波や渦、うねりがお互いに20億回分干渉しあい、少しずつその形が変わっているだけではないのか。何も求めず、運ばず、ここを流れが過ぎていくだけ、とも考えられるのである。

追記
ただし、です。900年前の地球人口は3億人くらいのようです。20億人というのは矛盾⁉️
そうなんです。実際はある時点で共通の先祖を持つ親族間の婚姻があるため、計算値より大幅に少なくともなるようです。特に昔は地域的移動も少なく、異なる社会的階層間の結婚は少なかったと考えられるため、血縁的に近い親族間の通婚が極めて多かったということです。それだけに今の私たちは遡れば親戚がほとんどという縁の近さが実態なのでしょう。

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