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JKさんのパン屋さんは、たぶんお月さまでひらかれます(というおはなし)

JKさんはおんがくのおしごとをしてきます。ずーっと長いこと、おんがくのおしごとをしています。ずーっとずーっと昔は、電気ぐるーなんとかというグループにはいっていましたが、そこのメンバーはなにかとすぐにぱんつをぬいでしまうひとたちでしたので、そんなんやってられっかー!っていって、JKさんは脱退してしまいました。
それから、ずっとずっとずっと長いこと、おんがくのおしごとをしています。

JKさんは、鍵盤とたくさんの謎めいたきかいをつかっておんがくをつくっています。それはとても不思議なきかいで、きかいときかいを繋いで鍵盤を弾くと、風の音になったり、雨の音になったり、波の音になったり、犬や猫の声になったり、カミナリの音になったり、地響きのような音になったりします。鍵盤のうえにゆびをおき、しんけいを集中して、しずかに体重をかけると、どんどん音色がかわっていきます。
JKさんは、そんな不思議なきかいをつかっておんがくをつくっていますが、おんがくをつくるたびに、お金がはいってきたり、ふしぎなできごとがおこったり、たくさんのひとたちと知り合いになります。
そんなかんじでおしごとをずっとやってきて、たくさんのおんがくをつくっていくうちに、関西の五人の女の子たちと親しくなりました。

関西の五人の女の子たちは、いつもげんきいっぱいです。
みんないっしょに生活しているのですが、会うたびに、牛たん食べたいー!毎日食べたいー!牛たんー!牛たんくわせろー!といってきます。
たべざかりだからなぁとおもって、心ばかりの牛たんをおくったのですが、とどいたらすぐに、かいとうもせずにやきはじめて、それはもうおおさわぎ。
あいかわらずにぎやかだなぁと、はいしんをながめて思いつつ、でも、とてもおいしそうにたべていたので、ひとあんしんしました。
たべおえておなかがいっぱいになると五人の女の子たちは伝言げーむをはじめました。
さくらさんが「JKさんのパン屋さんは、たぶんお月さまでひらかれます」といったしゅんかん、JKさんは「あ!」とこえをあげました。

電気ぐるーなんとかのでっかい方が送ってきたゆうびんぶつ。
そこに「月」とかいてあったことをおもいだしたのでした。
どこにやったっけかな?たしかここらへんにあったはず、とおもいつつ、なんやかんやでさがしだし、ゆういんぶつのうらがわをみると、
「月のやつらからたのまれたんでおくるわ」と、へたくそな字でかいてあります。ふるとカタカタ音がします。
電気ぐるーなんとかのおっきい方は、ときどき、へんなことをいい出すし、ヤバイものならめんどくさいしと思ってほっぽり投げていたのでした。

でもまあ、ちょっと気になるし・・とおもって、おそるおそるあけててみると、虹色のちいさなきかいとメモがでてきました。
そこにはやっぱりへたくそな字で、こう書いてありました。

「これをつなげろ、そして、Fめいじゃー7をならせ、さすればとびらはひらかれん」

わー!これはやばいやつだわ。思わず口に出してしまいました。
でも今日はちょっとばかり気分が良かったので、電気ぐるーなんとかのでっかい方の話に乗ってみようと思いました。
ちいさい虹色のきかいをつなぎ、鍵盤でFメイジャー7のおとを弾いてみます。

するとどうでしょう。白いけむりがもくもくと部屋中に立ち込めてきました。
なんだこれは?と思っていると、少しづつ煙がきえていき、
おおきなパンダが、JKさんの目の前にあらわれました。

「月へようこそー!くびをながーくしてお待ちしておりましたよ、JKさん!」

りょうてを広げてパンダが言いました。

なんだこれは!電気ぐるーなんとかのでっかい方、いっぷくもりやがったな!、とJKさんは思いました。

「いやいやいや、いっぷくなんてそんなそんな!! どうかまどのそとをごらんになってください!」

JKさんが、おそるおそるまどのそとをみると、そこにあるのはみなれたまちなみではなく、しろとくろの世界。JKさんが小さい頃、あめりかのアポロ11号が月面ちゃくりくしたときに、しろくろのテレビでみたふうけいがひろがっていました。
そして、そらには大きなあおいちきゅうがうかんでいました。

JKさんがびっくりしていると、パンダはどこからか名刺をとりだしてさしだします。
「ごあいさつがおくれてもうしわけありません! わたしはこういうものでございます」

JKさんは、おそるおそる名刺をうけとると、そこにはこうかいてありました。

「ちきゅうのみなさんみまもり隊 総合えぐぜくてぃぶこーでぃねーたー パンダ」

「すこしまえに、たこやきレインなんとかさんの三にんが《手肌まもり隊》というのをやっていたではないですか! あれのちきゅう版とかんがえていただければまちがいないかとおもいます!
わたしどもは、ずーーっとずーーっとながいこと、この月で、ちきゅうのみなさんをみまもるというぎょうむをやっておりまして、ウサギたちが、そのにんむにたずさわっております」

パンダが、まどに手をやると、むすうのウサギたちがあらわれて、にこやかにJKさんに手をふったり、とびはねたりしています。

「ウサギたちは、24じかんたいせいでちきゅうをかんし、・・あ、いやいやいや、みまもっておりまして、ウサギの目があかいのは、ずっとみているからでして、ウサギの耳がながいのは、ずっときいてるからなのでございます!
そして、JKさんを月におよびたてしたのは、ほかでもない、ウサギたちがいつもどおりちきゅうをみまもっているときに、JKさんのおんがくを耳にしまして、ほら、あの、ホームさいなんとかという曲をきくとあかちゃんがなきやんでスヤスヤねむってくれたり、スーパースパーなんとかという曲をきくと眠気がとんで疲労かいふくしたり、恋のダンジョンゆーなんとかという曲をきくと、腰痛と肩こりがなおって歩くこともままならなかったウサギが、今ではげんきにとびはねることもできるようになりまして、そのお礼をさせていただきたく、月にごそくろうねがったしだいなのでございます」

窓のそとで、ひときわ元気にとびはねてるのが、腰痛と肩こりのウサギなのかな・・とJKさんは思いました。

「JKさんの願いをひとつかなえさせていただきたいと思っておりますが、もうその願いは、うちのウサギたちがすでにしらべさせていただいております! 《JKさんのパン屋さんは、たぶん月でひらかれます》ですね!
月でパン屋オープンしたいということですので、月でいちばんのパン職人を《JKさんのパン屋さん》ににんめいさせていただきましたー!」

パンダが、まどに手をやると、かかえきれないほどのパンをかかえたアマビエとくまが、まんめんの笑みをうかべてあらわれました。

「JKさんが月へおこしいただくのもたいへんかとおもいますので、月イチでAmazon定期おトク便でおくらせていただきます。Amazonプライムですのでそうりょうむりょうでございます!」

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JKさんが気がつくと、いつもの部屋に戻っていました。
窓の外をみると、見慣れた街並みが広がっています。
遠くから電車の走る音が聞こえます。
そして、車の音、子供たちの笑い声。
夢をみていたのかなと思っていると、手にもっていた名刺がポトッと落ちました。
気になってアマゾンをみてみると、Amazon定期おトク便で「JKさんのパン屋さん」の配送予定がありました。プライムなので送料無料。価格も無料。

音楽のしごとをながく続けていると、不思議なことがたまに起こるんだよなぁ・・と、JKさんは思うのでした。

おしまい

☆この物語(おはなし)はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
☆タイトルのイラストは、もすさん(@aesskmmm24)に描いていただきました。ありがとうございます。
☆「JKさんのパン屋さんは、たぶんお月さまでひらかれます」は、こちらの動画によるものです。





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