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【ルーンテラ】中間択の大切さ

どうもハリーです。今回は「中間択の大切さ」について色々と書いていきます。よかったら読んでみてください。

中間択とは?

AとBのどちらかを選ぶのではなく、第三の道であるCの択を選ぶこと。あるいはAかBかの「選択をしない」選択。これを中間択と呼ぶことにします。少々長いですが、羽生善治『直感力』から引用します。

将棋では、強さの加減を図ることが必要になる。常に一番強い手でいってはいけないということだ。その時々で加減をしながら、結果的に玉を取る、勝負に勝つことが求められる。テニスにおいても、思いきり打ってはラインから外れてしまう。加減をしてスピードのあるボールを返す感じだ。

その局面において一番強い手が最善の手ではない。それが将棋の性質だ。

とはいえ、やはり気持ちとしては一番強い手でいきたい。目の前に見える状況で、考え得る最高の手を指したい。しかし、その瞬間だけで見れば相手に大きな打撃を与えるかもしれない一手が、その先へといった際、反作用も大きくなってしまう。

それを見越した一手を選ぶには、先を見通す目とともに、そこで気持ちを抑え、自分の手を意識的に弱めることのできる理性が必要なのだ。

それには、単なる「読み」だけでは足りない。自分の読みだけで事足りてしまうと考えれば、すぐにその偏狭さを思い知らされることになる。

将棋は相手と築いていくものだからだ。

「手を渡す」という言い方がある。自分が指した瞬間に相手に手番が渡れば、その瞬間から、自分は何もできなくなるのだ。自分だけではどうにもなはない。つい先ほど指した自分の手が最善のものになるか、手痛い失策となるかは、相手の出方次第でまったく変わってしまう。

つまりは、他力。将棋は他力によるところが大きいのだ。

自分が何を選択するかも大事だが、トッププロ同士で一番のかけひきは、いかに自分が何もしないで相手に手を渡すかだ。そして相手の出方を見てから指す。その対応がいかに柔軟にできるか。自分で流れを構想したからといって、それでよし、ということはない。

それは、武術にも似ている。相手の出方、相手の力を利用するということだ。

こちらから何かしようとするよりも、相手が動く、その力を自分の力に変える。少し手を出しただけなら受ける反応も小さいが、強い力でいけばその分強い力で投げ返される。しかし、常にダメージを受けないことだけを考えて踏み出さずにいては、勝負は前に進まない。

いかに、投げ返されない程度の強い力でいくか。これが、大切になる。そうしてある意味協働して流れを築いていきながら、タイミングを見て、ここぞというときには相手が投げ返すことのできないような一手を繰り出す。それが勝負どころなのだ。

この文章を改めて読んだんですが、将棋ではなくて実はルーンテラのことを語ってるのではと思いました。もし羽生さんがルーンテラを始められたら、とんでもなく強いプレイヤーになることでしょう。

羽生さんは中間択のことを「手を渡す」と表現しています。まあピンとくる方はお気づきでしょうが、ルーンテラでいうところの「パス」がこれに該当します。専門用語でいうとオープンパスです。ただし、闇雲にパスするのを羽生さんは良しとしていません。

常にダメージを受けないことだけを考えて踏み出さずにいては、勝負は前に進まない。いかに、投げ返されない程度の強い力でいくか。これが、大切になる。

適当にパスをしたら相手もパスしてきて逆に困った。こういうケースはしばしば発生します。ルーンテラの場合、勝負は前に進みませんがラウンド数は進むので、仮に相手がエズリアルカルマやFTRのような展開が遅めのデッキだとこちらが不利になるケースもあります。

打開策は次の3つ。

・オープンアタックをして相手の動きを見る
・1コストのユニットを召喚して擬似的なパスをする
・バーストスペルを使用してパスを押す(専門用語でバーストパス)

これらは擬似的なパスで、羽生さんの言葉でいうと「投げ返されない程度の強い力」でお茶を濁すプレイです。

将棋もルーンテラも、「手を渡して相手の出方を見てから自分も動く」プレイが重要です。他のカードゲームと比べて恐らくこの辺が、ルーンテラの地味さや取っつきにくさに寄与しているのかもしれません。「パッと見では意味がわからないけど、知れば知るほど深みを感じるゲーム」「剣豪の達人同士による、先に動いた方がカウンターを喰らって負けるゲーム」といいますか。

実戦から中間択の大切さを学ぶ

話を中間択に戻して、ルーンテラにおける中間択の具体例を見ていきましょう。

● 紹介する試合は動画の53 : 45辺りから

Esports Beyond Cupで行われた「kawasaki選手 vs LS Master Mawile選手」の試合です。

ラウンド5。写真上のkawasaki選手は8/8のユニットを召喚しました。写真下のLS Master Mawile選手は場にユニットがいない(2つあるのはいわゆる置物カードなのでブロック不可)ためこのままでは、

3+3+8+4(手札にある攻撃力上昇スペルを使用)

=18点ダメージを喰らって負けてしまいます。さてここでLS Master Mawile選手はどのような選択をしたでしょう。

そう、これまで散々語ってきた「パス」です。

kawasaki選手は相手の出方を見るために攻撃力上昇スペル(兄弟の絆)を使わないでアタック。現状の打点は14点しかありません。

LS Master Mawile選手はその動きを見て何もせずそのまま解決。

そして返しにドラグローンの審問官を召喚。まさに「タイミングを見て、ここぞというときには相手が投げ返すことのできないような一手を繰り出す」プレイ。これにより次のラウンド以降で圧倒的な優位に立ちました。

この一連のプレイに対する解説者すろあさんのコメントを引用します。

ここ(アタックされる前)でドラグローンの審問官を出すと兄弟の絆で倒されちゃうので、これは上手いパスなんですよ。これリーサルがある(兄弟の絆を使う)なら氷の三姉妹(攻撃力を0にするスペル)を撃って。もしそのままパンチなら一旦解決してドラグローンを置くっていう。これメチャクチャ上手いです。これめっちゃ上手いパスです(中略)。

この人ホントこういう読み合いのかけ方がメチャクチャ上手いんで。なんかその中間択っていうんすかね、お茶を濁すような択をして先に相手に動かすような、それに対応するっていうゲームプランがすごく上手ですよね。

ルーンテラにおける中間択の大切さを学べる試合でした。ぜひみなさんも動画を再生して、実際の試合をご覧になってください。

社会に出ても役立つ中間択

最後にルーンテラからは離れて、リアルな社会でも中間択の考え方は役立つってことを書いて終わりにしたいと思います。

まずは仕事。営業職に関するビジネス書ってみなさん読んだことありますか? 何冊か読んでみるとわかるんですが、共通してる内容は「まずはお客様の話を聞く営業マンになれ」なんですよね。いきなりこちらからペラペラ喋って売り込むのではなく、まずはお客様の要望をしっかり聞く。その後で「その要望を解決するならこちらの商品はいかがですか」と提案する。これが大体のパターンです。

「まずはお客様の話を聞く」って、無理やりこじつけるとこれまで見てきた「パス」に近くないですか?   まずはパスして相手の動きを見る(話を聞く)。相手がアクションを起こした(要望を喋った)時に、営業マンは適切な対応をする(商品の提案)。

こんな感じで、ルーンテラのやり取りって実はビジネスに応用できると思います。なのでルーンテラをやれば仕事面でもプラスになりますよ!(暴論)

もう1つは育児。小さい子どもって、いろんなものに興味を示すんですよね。どんなものでもまずは触る。舐める、引っ張る、噛む。この時やってしまいがちなのが、

「コラッ!それ触っちゃだめでしょ!」
「それ汚ないだからダメ!」

と言って子どもから物を取り上げてしまう、そして子どもがギャン泣きするってパターンです。

僕はそれが命の危険に関わらない物(例えばクレヨンとかゴミ箱とか)であれば、何も言わずにじっと見守っているようにしています。まずは何もしない。パスする。そして子どもが軽く触ってる程度なら「ほらだめだよー」と軽く言うだけにして、子どもの好きなようにさせています。

それがエスカレートして壁に落書きしたりゴミ箱の中身を外に出してきたとしても強くは怒らない。「それだめだよー」と注意はしつつ、子どもが満足して飽きるのを待ちます。そして子どもが他の遊びをし出した瞬間にクレヨンやゴミ箱を片づけます。場合によっては子どもの手が届かないところに置くなどの工夫をして、こちらがイライラしないような環境づくりをします。

正直、このやり方が正解かどうかはわかりません。ただなんとなく「子どもの好奇心を奪いたくないな」っていう思いからそうやってるだけです。ちなみにウチの妻は僕と真逆で、すぐに注意して子どもから物を取り上げるタイプです。だからある意味バランスが取れているのかもしれません。

手を出すのではなく、手を渡す。そして子どもの動きを見て親は対応する。流れに身を任せ、おおらかな気持ちで子どもと接してみてはいかがですか?

ではまた!



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