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ブシロード版モンコレを振り返る~Gレギュ~

1997年9月に発売されたカードゲーム、モンスターコレクションTCG。レギュレーションや販売元の変更がありながらも、20年以上の長きにわたってファンから愛され続けている伝説のカードゲームです。その中で私が取り上げるのは、2011年8月~2014年5月まで発売されていたブシロード版モンコレについてです。なぜ取り上げるのかというと、スペックが高いカードも存在していましたが過去のレギュレーションと比べてゲームバランスが非常に優れており、再考察によって新たな発見があると思ったからです。当時の環境を振りかえることで、モンコレTCGに馴染みのない方や過去に遊んでいた方にブシロード版モンコレの魅力が少しでも伝われば幸いです。これら一連の投稿によってブシロード版モンコレが再評価されてブロック1~6の再販売、ならびに幻のブロック7、ブロック8の新発売を願っております。

それではブシロード版モンコレについて説明をしたいと思いますがその前に、まずは比較対象として1つ前のGレギュレーション(2008年7月~2011年2月)を振り返りたいと思います。この作業により、ブシロード版モンコレの優れたゲームバランスはどのようにして生まれたのかが見えてくるはずです。

Gレギュレーションの特徴として、以下の3つを挙げたいと思います。

① 強すぎる◎能力
② 強すぎるイニシアチブ対抗
③ 強すぎる死亡や破棄

順に見ていきます。①の◎能力とは「コストさえ支払えば戦闘中何度でも使用できる特殊能力」のことです。この◎能力を持つユニットがあまりにも強力だったため、Gレギュレーションの環境の硬直化を招いてしまいました。代表的なユニットを紹介します。

地獄の大公サルガタナス

Gレギュレーションはレベル7・5・3のユニットを集めた奇数デックが主流でしたので、自分の手札にある3レベルを複数回 コストにして相手の3レベルに30点ダメージ(事実上の即死)を連打するのが日常茶飯事でした。またサルガタナス vs サルガタナスの戦闘になっても、手札にサルガタナスがあれば30点ダメージを飛ばせます。最強カードその1。

聖炎の女神スケグル

相手の魔法カード(消耗品と戦闘スペル)を何度でもキャンセルできる最強カードその2。特殊能力に対しては無力ですが、それにはスケグルが魔法カードを使って無効化します。

2枚に共通しているのは、ユニットカードがコストになっていることです。モンコレTCGの戦闘は手札からアイテムや戦闘スペルを使用して戦いますが、手札にあるユニットカードは戦闘中に使用することができません。しかしサルガタナスとスケグルはそれらをコストにして強力な能力を発動することができます、コストが続く限り何度でも。モンコレTCGは山札からサーチするカードが、20年以上の歴史の中で1度も登場していません。そのため、上記のユニットを相手よりも早くドローできた人が勝ちになりやすく、まあ要するにクソゲーだったわけです。

そんな最強ユニットにも弱点がありまして、それはモンコレTCGの素晴らしい(クソ)ルールである同時攻撃です。戦闘時の先攻後攻は、モンコレの醍醐味ダイスを振って決めます。その値が同じ(お互いのダイス目が1)だと、両者のユニットが同時に攻撃して戦闘終了という処理をします。この時、お互いのユニットはアイテムや特殊能力を使うことができませんので、サルガタナスやスケグルが持つ◎能力は無意味になります。

しかしモンコレTCGにはその同時攻撃を回避する戦闘スペルや特殊能力があるんですね。これが②のイニシアチブ対抗になります。画像が見つからなかったのでテキストだけ載せます。

フェアリー・ドラゴン

種族:ドラゴン
属性:風 レベル:(1)
攻撃:1 防御:1 進軍タイプ:飛行
□鱗粉の息[イニシアチブ/対抗]
〈対象:ユニット1体〉
この効果は「イニシアチブ決定タイミング」にしか使用できない。
対象に「イニシアチブ:-1」を与える。

ゴッドウィンド

属性:風
コスト:水風or風風
[イニシアチブ/普通/対抗]
〈対象:ユニット1体〉
対象に「イニシアチブ:+6&チャージ:+4」を与える。

これらのカードによって先攻後攻を決めるダイス目の結果を操作できるので、運良く同時攻撃になってサルガタナスやスケグルを倒すということが事実上不可能です。ちなみに当時のモンコレには、

虹のつまった指輪

という最強の装備品があったので、最強カードスケグルがゴッドウィンド(確定で先攻を取れる魔法)を撃ってきます。

相手「同時攻撃になったぞ!!」
スケグル「ゴッドウィンドを使います」
相手「戦闘スペルで対抗だ!」
スケグル「◎能力で打ち消します」
スケグル「先攻もらったので攻撃します」
相手「もう一度戦闘スペル!」
スケグル「◎能力で打ち消します」
相手「ならば特殊能力でもくらえ!」
スケグル「手札からリザレクションを使用します」
相手「ふざけんな!!勝てるか!!」

と対戦相手をキレさせるチートムーヴが頻発していました。これはクソゲーと言わざるを得ない。

そして③の破棄というのは、死亡よりもワンランク上の概念です。超死亡。死亡から守るカードはありましたが、破棄を直接防ぐ手段はなかったのです。Gレギュレーションではどんなに防御力が高いユニットでも、死亡効果や破棄効果を喰らうと問答無用でトラッシュ行きです。

死の女神アスタロト

仮に防御力が100あっても死亡や破棄の前には無力です。極論を言うと、Gレギュレーションまでのモンコレはユニットの特殊能力が最重要で、攻撃力や防御力のステータスがほぼ意味を成していなかったのです。

以上、悪魔のようなGレギュレーションの特徴を見てきました。

① 強すぎる◎能力
② 強すぎるイニシアチブ対抗
③ 強すぎる死亡や破棄

これらクソゲーを助長する要素を減らすように設計されたのがブシロード版モンコレになります。次回はそのスタートを飾るブロック1環境を振り返ってみたいと思います。まあ心機一転ブロック1になっても、いくぶんマイルドにはなりましたが◎能力の強さは際立ってましたねぇ...

次回もお楽しみに!!