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四十四日目

 禁酒も残すところあと三日。

 名残惜しい気はまったくなく、とっとと終わってほしい。なんなら今からでも呑みたいのだが、せっかくここまで来たならやり通したいという私内勢力の声が大きく、意外に感じている。その手のストイックさとは無縁の人間だと自認していたのだが。

 だが、この「自認」というやつは案外単なる思い込みに過ぎないのかもしれない。その証拠がまさに禁酒があっさりと続いてしまったという事実である。正直、できるとはまったく思っていなかったのだ。

 これを期に、一度「自認」の総点検をしてみるのもいいかもしれない。

 私は~が嫌い。

 私は~が苦手。

 決めつけていることは数多ある。けれど、やってみたら、今回のように案外嫌いでも苦手でもなかったことを発見するかもしれない。発見できれば、人生の裾がまたちょっと広がる。それは楽しいことだ。

 まあ数字が苦手なことだけはどうやっても動かないんですけどね。

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