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十四日目

 今日で二週間の禁酒に成功したことになる。

 日記を始めた当初の予想では、私はもっと苦しんでいるはずだった。

 酒が欲しい。だが、呑んでしまっては元も子もない。けれども我慢できない。

 誰か、酒をくれ、誰か! 

 みたいな葛藤が日毎夜毎に襲ってきて、七転八倒するはずだった。

 あわよくばそんな様子を文学的に表現しちゃったりしたらいい読み物になるんじゃとか欲をかいていたわけだが、蓋を開けてみるとあらビックリ。 葛藤なんて欠片もない。欠片もないから文学もへったくれもない。単なる身辺雑記にしかなっていない。ないないない、愛じゃない。

 なんなの、これ。

 でも、私の人生って、いつもこれだよね。こうと期待をした時は決して思うようにはならず、どうでもいい小さな不幸や葛藤ばかりが次々やってくる。そんなだから、いい年しても人間的な深みが生まれないのだ。

 そもそも止めてもこんなに平気な酒って、私の人生にとって一体なんだったんだろう。一時は酒こそ人生、ぐらいに思っていたのに。

 酒とともに歩んだ我が人生にはたして価値はあったんだろうか。

 悪天候続きのせいもあるのか、どうも気分が落ち込む。

 文学の代わりに、哲学でもするかねえ?

 

 


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