他の人がやっていることが自分と違って不安になる人へ。

他のクラスではこんなことを教わっているけど、私たちは教わっていないよ、大丈夫!?

あの子はあの塾に通っていて成績が伸びているらしいけど、私は塾に行かなくても大丈夫!?

私たちの見たことのない問題集がすごくいいらしいよ、私たちがやっている問題集は大丈夫!?

こんなふうに思う生徒は多いようで、多かれ少なかれ人は他人と嫌でも比較しながら生きているという側面があるので、こういうことを思うようです。

先生という仕事をしていると、正直な気持ちとして「またか」「めんどくさい」と思ってしまうのも仕方ないと自己擁護しますが、めんどくさがらずに、これについて説明したいと思います。

ちゃんと理解できれば、確かに、めんどくさいね笑、くらいに思えるのではないかと思っています。次の例を考えてみてください。


例えばバスケットボールを上手になりたい人達がいたとして、いくつかのグループに分かれて指導されるとします。

あなたのグループはシュートから練習を始めています。あなたとは別のグループにいるあなたの友達はドリブルから練習を始めたとします。

あなたはその友達を見て言うのです。

「友達はドリブルを練習している。私はしていない。大丈夫なの?不安です。」


これについてどう思いますか?というか、普通こんなこと思いませんよね。逆にこんなこと言われたらめんどくさいと思いませんか?


不安になってしまう気持ちは分からなくもないとしても、この例について何が問題なのかは明らかです。

シュートからか練習した方がよいのか、ドリブルから練習した方がよいのか、なんて優先順位はありません。どちらからやったって、いずれはどちらもやることになるんだから、最終的に行き着くところは同じなのです。だから、未熟な状態で未熟な状態の他人と比較して不安になったりする必要は全くないんです。

だから、今あなたはシュートの練習から始めるクラスにいるのだから、シュートを練習することに集中すればいいんですよ。いずれドリブルも練習するでしょう。

友達がドリブルの練習をしていることが気になって、シュートの練習に身が入らない。そんな不安を抱えたまま、練習を続けていくと、あなたの不安は的中します。周りを気にせず練習していた友達は、メキメキと力をつけていくのに対して、不安な中練習してきたあなたは、シュートも、その後に練習したドリブルも集中した練習ができずに、力をつけることができないんです。

「ほら、ドリブルから練習した友達のグループに入れなかったから私はうまくできるようにならないんだ。」

と思いそうですよね。はいはい、という感じです。本当は自分の生なのに、それを認めたくないから、原因を他に転換している。

こんな状態にはなりたくないものです。(教師としても、こんな状態にはさせたくありませんよ。)


こうならないためには、こういう現象があることを知り、客観的に捉えて考えられるようにする必要があります。逆に、そういう考え方を知っていれば自分がそうなりそうなときに気づくことができるのです。

最初に書いた3つの問題について思ったとき、このように考えを切り替えてみてはいかがでしょうか、という例を載せておきます。


他のクラスではこんなことを教わっているけど、私たちは教わっていないよ、大丈夫!? → いずれやるよ。授業時間に差がついているとか、たまたまその内容が先生の個性によるものなのかも。自分の先生は、また別の個性があるんだから、他のクラスでは教わっていないことを私は教わっていることもあるんだ。

あの子はあの塾に通っていて成績が伸びているらしいけど、私は塾に行かなくても大丈夫!? → 塾に行ったから成績が伸びたのか、努力しているから成績が伸びているのかは本人しかわからない。塾に行っていなくたって成績を伸ばしている人もいる。あなたが塾に行ったからって成績が伸びるとは限らない。あの子はあの子。私は私。

私たちの見たことのない問題集があって、それがすごくいいらしいよ、私たちがやっている問題集は大丈夫!? → その見たことのない問題集が、世の中の多くの問題集に比べて群を抜いて良い問題集なのだとしたら、その問題集が良いことは先生や生徒にも広がり、みんなそれを使うでしょう。そうでないのであれば、問題集によっての大きな差はないということです。


「隣の芝生は青い」ということわざがありますが、まさにその状態。隣の芝生が気になっているということは、自分に自信が持てないという状況を自分のせいにしたくないという言い訳を、他のものに転換しようとしている心理的作用なんです。

気持ちは分かりますが、グッとこらえて、自分の状態を受け入れましょう。その状態を乗り越えてこそ、始めて解決に向かいます。自分と向かい合っていきましょう。一生付き合っていく自分ですからね。

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