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小さなタイムカプセル

年初めに「今年は箪笥の肥やしを二部式着物にして活用するぞっ!」と

意気込んでみたものの・・・

祖母や母が誂えてくれたものは縮緬や綸子等柔らかい着物が殆どです。

粗忽物の私が普段着るには少々はんなりし過ぎな気がしてきました。

それにほぼ未使用状態の着物にハサミを入れる勇気が出ません。


散々迷った挙句、まずは安価な古着を購入し

二部式着物を作る練習をしてみようと思い立ちました。

これでまた箪笥の中身が増えてしまうのは本末転倒ですが、

練習の為と自分に言い訳をして中古着物を探しました。


タイミングよくネットの中古着物のお店が70%オフセールをしていたので

普段着に良さそうな紬の着物を何枚か購入しました。

そこで思いがけず目に留まったのが古い道行コート。

深緑の地色に線描きで紅白の椿が描かれている渋カワなデザインと

華やかレトロな裏地が魅力的な一枚です。


京城の道行コート1 (1)

       リメイク材料・セール価格で550円也。


殆ど外出しないので道行コートは着ないし、

古い物故に身幅も丈も全く足らずそのまま着用するのは不可能です。

でもジャンパースカートにリメイクしたら素敵かもと閃き購入する事に。


届いてみてその状態の良さに驚きました。

シミや傷が殆どなく、裏地も写真通りの美しさです。

道行のタグ

襟元に「京城 菊屋調製」と織り込まれたタグが縫い付けられています。

京城ってもしかして日本統治時代の韓国の街の事???

ググると日本統治時代が1910年~1945年という事なので

今から112年~77年前の物なんですね。


どんな女性が誂えたのでしょう?

どういう経緯で海を渡ってきたの?

時代の荒波を何度も乗り越えてきたの?

「よくぞ我が家までお越しくださいました。」とお礼を言いたい気分です。

早速洗濯すると強烈な樟脳の匂いが復活し

長年大切に保管されてきたのだと分かりました。

心配していた洗濯による縮みや破れも無く

安心してリメイクできそうです。


たった一枚の小さなタグから瞬時にタイムスリップ体験できたのは

古い物ならではの魅力だと改めて感じました。




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