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王様戦隊キングオージャー 第2話の感想

王様戦隊キングオージャー 第2話 誰がための王

……の感想です。

 第1話ラストでラクレスの手の者に囲まれ、任意同行に応じようとしていたギラが、ンコソパ国王のヤンマに連れられ、かの国を訪れる……という回ですね。
 順当に1話毎に舞台を変えて、五人の王とその国や民たちを描きながら物語が進んでいくという構成のようです。
 第1話では単独行動を取っていて王鎧武装を披露することがなかったヤンマを中心にしたエピソードということで予告の時点から楽しみな回でした。
 王のヴィジュアルはそれぞれ個性があって魅力的ですが、ヤンマは衣装の小物使いがおしゃれでとってもかっこいいんですよね……とりあえず、あのヘッドホンは地球でも販売してほしいんですが……。
 
 2話も1話に引き続きOPはなし、前回のあらすじで「国王の欺瞞」という言葉が出てきたのが印象的でした。
 ギラは、ラクレスが民を蔑ろにして野望の道を進もうとしていることに対して怒っているだけではなく、民を思う名君であるかのように世を欺いていることへも憤っているわけですよね。
 もう一歩踏み込むなら自分がラクレスへ向けていた信頼や尊敬を裏切られたことへの怒りも含まれているのかな、と思いました。
 
 てっきりシュゴッダムに置き去りにして来たのかと思っていたシオカラが先に城へ戻っていてほっとしました。
 前回の口ぶりからすると外交の場には基本シオカラが同行していそうなので、ラクレスもシオカラのことは把握しているでしょうし、最悪人質になる可能性もありますから。
 出迎え方が大型犬のそれだな、と思っていたらヤンマに怒られてしょげる様子がますますわんこだったので、いや、この二人可愛すぎるだろ──と一気に大好きになってしまいましたね。

 もっともギラはこのやりとりを「身勝手な王様に振り回される可哀想な従者」と見たようで、表情を曇らせていましたね。
 ギラの中にははっきり理想の王のヴィジョンがあるので、それとは違う種類の王を目の当たりにした時に、これは王として正しい振る舞いなのか、という疑問が浮かんでしまうのだと思います。
 同時に視聴者もギラと一緒に王と国の在り方を見つめていく──という構図になっていて、気づけば自然に王たちのことを大好きになってしまう導線が引かれているのがとても気持ちいいです。

 さて2話の舞台になるンコソパ国ですが、他国が比較的ファンタジー寄りなのに対し、完全にサイバーパンクな世界になっています。
 ンコソパの技術は世界で利用されているということではありますが、素朴なシュゴッダムの民の暮らしぶりと、電子機器を使いこなして近未来的な生活をしているンコソパの民とのギャップが凄いです。小さな子どもでさえ自分用の端末を持ち歩いてましたからね。
 こんなに技術格差があって諸国とのパワーバランスが崩壊するのでは? と思いましたが、チキュー地図によればンコソパは圧倒的に国土が狭小。恐らく人口も一番少ないのではないかと思います。そして一次産業が盛んな感じは全くしないので、自給力に難がありそうですね。
 ヤンマが王になってやっと他の国と肩を並べられるだけの立場を手に入れたばかり、という状況なわけで、技術格差がそのまま国力の差というわけではないんですよね。

 それにしても2000年前の英雄たちはどういう話し合いで領土を分けたんでしょうか、あまりにも国土の大きさか違い過ぎるんですが……それとも最初は当分くらいだったものが年月を経て今のような割合になったのでしょうか。
 そうだとしてもゴッカンなどは明らかに人が住み辛そうな気候なので、傍目には結構貧乏くじを引いたように見えてしまうのですが……。
 単に初代の紫王がものすごく暑がりで寒冷地に住みたい人だったのかもしれないし、ゴッドパピヨンの加護を受けていたから彼あるいは彼女の意向に従ったという可能性もあるし……と、色々想像を巡らせてしまいます。
 いつか建国の時代について掘り下げられることがあればいいな、と思いますね。

 大分それたので、話を本編に戻します。
 ヤンマがギラを連れてきたのはラクレスへの嫌がらせ+キングオージャーを動かすことが出来たギラへの興味、というのが動機のようで。
 思えば第一話で先にラクレスに背いたのはヤンマでしたね。とりあえず打倒ラクレスで協調出来そうな二人ではありますが、ギラは邪悪の王キャラを頑張って続けようとするし、依然として出頭する気満々なので話にならないという。
 反逆者・邪悪の王ギラに素直にビビってくれるシオカラと、一発でワルではないことを看破してくるヤンマの対比も面白いです。

 そして落ち着く間もなくンコソパ国にもバグナラクが攻め込んで来て、いよいよトンボオージャーの王鎧武装もお披露目──いやもう、あのポーズが格好良すぎやしませんか? オージャーカリバーを抜かずに操作するところもいいし、「王鎧武装」の挑発するような左手が堪らないです。
 剣を使ったアクションも、ガンアクションもどちらもカッコイイ。やはりマントですね……あのヒラヒラが全てをかっこよくする……。

 そしてデズナラク8世とカメジムが登場──デズナラク8世、一応目下のボスキャラなのに一々自分の足でわざわざ会いに来るの珍しいですよね。カメジムの他に幹部クラスはいないのでしょうか。
 もしかするとこの人はラスボスではなくて、序盤のボスくらいの扱いなのかもしれません……ミミズがラスボスって申し訳ないけれどなんかピンとこないし……。
 そしてカメジムですが、三木眞一郎さんの声がすごくイイですよね……ちょうど私の中でねっちりしたみきしんボイスが不足していたところだったので命が助かりました。
 私は雪国の田舎育ちなので結構カメムシは身近な虫で、なんとなく謎の親しみを感じます……いや、まあカメムシのことはべつに全然好きではないんですけど……昔、口に飛び込んで来て泣いたことあるし……ちなみに味は辛いです(日本一いらない情報)。

 そういえば前回バグナラクがシュゴッダムに攻め込んで来た時に、頭の片隅でちらっと「今、シュゴッダムに王が集まってるんだから、手薄な他国に攻め込んだほうがよかったんじゃない?」と思ったのですが、どうやらお目当ては秘宝というのとなので納得しました。
 有無を言わさずに攻撃して力尽くで秘宝を奪うわけではなく、交渉するところが面白いですよね。秘宝がないとまだまだバグナラク側の分が悪いということなのだしたら、思ったほど脅威ではないのでは……? 少なくとも現状、視聴者サイドからはバグナラクよりラクレスのほうが怖いです。
 そもそもラクレスはバグナラクの復活を他国への侵攻の大義を得る足がかり程度に考えている節がありますからね……。

 そしてそのラクレスからは、ギラを引き渡さなければンコソパを同盟からハブって援軍を寄越さないというメッセージが直々に届くわけですが……ここでさらっと前回の戦いで死人が出ていることを明言するのでドキッとしました。
 それはあれだけの戦いがあれば犠牲者が出ていないわけはないと思いますが、通常、ヒーロー特撮の巨大ロボ戦で市街地が破壊されても、それで人が死んだ、みたいな言及ってほぼしないですよね。子どもにショックを与える可能性がありますから……。
 やっぱりキングオージャーは、戦いによって蹂躙される人々のことをしっかりシビアに描こうとしているな、と改めて感じました。
 こんなにシビアなキングオージャーがアマプラでは全年齢、ロボ戦で犠牲は出したことがないドンブラザーズにはカテゴリ暴力で年齢制限が課されているのも趣き深いですが……。

 そのメッセージ中継に割り込んでくるコガネたちにもびっくりしましたね。人質に取られて「ギラ、帰ってきて」って言わされるのかと思ったら逆だったので、あれは電波ジャックということだったんでしょうか。それにまったく動じてないラクレスにも驚きます。
 そして公式サイトに項目を作られる程度には重要トピックスである「レインボージュルリラ」にも注目ですね。私はなんとなく虹色のタピオカみたいなイメージを持ってましたが……。

 そこから、糾弾するンコソパの国民たちとヤンマのハッキングタイマンバトル(タイマンとは)が描かれるのですが、とりあえずエキストラ含めて国民のキャラが濃いですよね。
 シュゴッダムの国民が本当に色々な意味で薄かったこともあって、インパクトが凄いです。
 注目すべきはどさくさで子どもと仲良くなっているギラですね。ギラは子ども好きであることが強調されているし、他国であろうともすぐに現地の子どもと打ち解けてしまえるほど子どもウケがいいのが癒やしポイントです。

 そんなギラとヤンマが、お互いの主張をついにぶつけ合うシーンか次に描かれるわけなのですが、このシーンはデスク周りのヤンマの私物で、素の部分が垣間見えるところもよかったです。
 手に取っていたケースの割れたCDは何か思い入れのある品なんですかね? いつか語られることがあったらいいな、と思うし、語られなかったとしても想像を掻き立てられるのが素晴らしいですよね。
 ヤンマが生まれ育った貧民街って、まだ存在しているんでしょうか。テッペンを取った後に貧民政策に一番に着手しそうな気もするのでもうないかもしれないな……。

 ここで自国とシュゴッダムとのかつての関係を「下請け」と表現したのが技術屋さんらしくて凄くいいな、と思ったのですが、前回の役人の態度を見るに下に見た相手には傲慢な手合が多そうなシュゴッダム相手に「下請け」仕事って……嫌な想像しか出来ないですよね。
 この関係性から、外面の完璧なラクレスの裏をヤンマは結構前からある程度把握していた──また、ラクレスにとって最初に潰したい相手として目をつけられるに至ったと見受けられます。

 ギラとヤンマは真剣にレスバしているのですが、ヤンキー特有の異常に近い距離でメンチ切るやつは、やっぱりちょっと客観的に見ると面白くなってしまう……。
 公式で「喧嘩慣れしていない」と明言され、シオカラとじゃれている時もいつも若干機動力で遅れを取っているように見えるヤンマなので、万が一ギラがマジギレして殴りかかってきたら多分勝てない気がするのですが、ギラはギラで無闇に人に暴力を振るうタイプではなかったのでよかったですね……いや、眼力&レスバタイマンバトルでも(バトル2回言ってるが??)結局ギラが押し切った感じにはなっていますが。

 ギラの「王は民を守るもの(=ヒーロー)」という主張は、しっかりヤンマを葛藤させるに至っていた──つまり、多少痛いところを突かれはしたのだと思います。
 ヤンマはそれこそ誰にも守ってもらえない子ども時代を送ってそうだし、国のトップとして下の奴らの面倒を見てやらなきゃ、っていう兄貴心も当然あるわけで。
 最終的にはラクレスへの謝罪もギラの引き渡しも拒否するわけですが、ギリギリまで悩んでいたというよりは、ギリギリになって撤回した、というふうに見えましたね。
 ただ謎に発光しているギラのロープ(?)は、なんか巻き方が雑だしあっさりほどけていたので、もしギラが心変わりして逃げたくなってもすぐにほどけるようにしてくれていた可能性はあるかもしれない。

 ここでヤンマが謝罪を受け入れていたら、ンコソパは「下請け」に逆戻りしてしまうし、たぶん何か適当な理由をつけて結局侵攻されるのは目に見えているので、たとえ国民感情を逆撫でしたとしても突っぱねるのが正解だったと個人的には思います。
 そうは思わなかったギラは怒っていましたが、ヤンマとンコソパの民の絆を目の当たりにして視野が広がったので、彼にとってもとても良い結果になりましたね。
 ギラ自身の理想の王道は変わらないかもしれないけど、王の道は一つではないということがわかったし、異なる思想を持つ人と関わることで得られる学びは多いですからね。

 ここで「全力キング」が流れるのも最高でした。普通なら戦闘シーンで流れそうなところを、戦闘ではないパートのドラマが最高に盛り上がるところで、ヤンマの決断と新たな希望を後押しするような「全力キング」ですよ。もう、素晴らしいとしか言いようがないですよね。

 そこから「ウンコソパ」とかいう、邪悪の王史上もっとも邪悪なワードが飛び出したところで、すっかり存在を忘れかけていたバグナラクさんがご入場、と……やっぱり、ラクレスのほうが悪役として格が明らかに上です。がんばれバグナラク。

 それはそれとしてヤンマ親衛隊みたいな、特攻服っぽい格好の黒マスクさんたちの中にさらし巻いてる気合入った女性がいるのすごく格好いいですよね。背景とか引きの画面でしかほぼ映らないのがもったいない!
 あの人たちも対人で戦うとなったらハッキングなのか、あるいは喧嘩慣れしていないヤンマの代わりに荒事に専門で対応してる普通の親衛隊なのかも気になるところです。
 昼間の戦闘のときにヤンマにキャッチされて、シオカラにリリースされてた人羨まし過ぎました……いいなあ。

 そして今の所全キャラクターで一番表情豊かなのではないかと私の中で話題のシオカラが、一連のシーンの間ずっと可愛いですよねー。
 来週からこの主従しばらく見られないのかと思うとロスになるレベルで愛しいです。

 第2話のクライマックスは、サイバーパンクな世界観、そしてトンボモチーフであるゴッドトンボの活躍をもっとも引き立てるであろう夜の市街地での空中戦です。
 こうやって、王たちやシュゴッドがどう魅せれば一番かっこよく見えるかというのを計算し尽した上で神がかったCG技術でそれを見せてくれるのが痺れます。2週連続「予算大丈夫」トレンド入りは伊達ではないです。
 ンコソパの仲間たちの強力なサポートによって全員で戦う、というのも胸熱としか言いようがないですよね……こんなに頼もしい仲間が沢山いるのに、側近はシオカラだけなんだ……というところにも感じ入るものがあります。
 ヤンマとシオカラの出会いのエピソードも是非、いつか語って欲しいところです。

 最後は、ギラとヤンマが仲間になるかと思いきや……というところでゴッドカマキリに揃って拉致されて次回へ続く──と。
 他国の王+国際指名手配犯を了承も得ずにホイッと連れて行くって、これはシオカラが言うところの国際問題にならないのか? という疑問は「ヒメノ様がお望みだから」で片付いてしまいそうなのが心強いですね。

 今回も長くなってしまいました。
 3話からはもう少しコンパクトに出来るように頑張ります。


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