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夏の暑い日、木陰で涼風に吹かれているような心地よさが感じられる『英語参考書』


この本は、この投稿のタイトルにあるように「夏の暑い日、木陰で涼風に吹かれているような心地よさを感じられる」英語参考書です。

何が、どのように、そう感じさせるのか、という具体的なことに関しては、この本の読者がレビューでわかりやすく述べていますのでそれをご覧ください。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

Amazon カスタマー

『英語の基礎』ではなく『英語の基礎から応用まで』

2021年2月2日に日本でレビュー済み

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本書は『英語の基礎』というタイトルであり、他の多くの参考書同様、冒頭の2章では、5文型や文の種類を扱っている。だが、本書は中1レベルの英語ばかりを扱っているのかと言えば、決してそうではない。大学受験、あるいは、実生活でも役立つような英語に関する知識がコンパクトに凝縮されている。コンパクトにまとめられているので、英語の全体像をつかむのに適した参考書だと言える。

一例を挙げよう。例えば、以下の2文は、どう使い分けるのだろうか?(本書p.88)
①This is the same watch as I have lost.
②This is the same watch that I have lost.
答えは、①が同種のもの、②が同一のものである。こうした細かな点にまで触れている参考書はなかなかない。


もう一つ、前置詞の説明を例に挙げよう。学校ではふつう「前置詞の後ろに来るのは名詞・代名詞・動名詞」と教わるし、我々もそれが規則だと思い込んでいる。だが、本書は、そうした規則に言及しつつも、この規則の例外も同時に漏らすことなく収録している(本書p.126)。例えば、Things went from bad to worse.というおなじみの文では、前置詞from、toの後に「形容詞」が来ているし、I can see it from where I stand.という文では、fromの後に「節」が来ている。こうした事例は、基礎レベルというよりは応用レベルの内容であろう。

ちなみに、同じ前置詞で言えば、What time will you start?という文が、At what time will you start?という文の文頭のatが省略されてできたものだ、という説明を読んで目から鱗が落ちた。「前置詞が意味上あまり重要でないときには、省略されることがある」(本書p.127)・・・なるほど、同じ理屈でWe walked for five miles.がWe walked five miles.となるわけですね。長年の疑問が氷解した。

巻末付録も素晴らしい。①おもな反意語②おもな接頭辞③おもな接尾辞④おもな熟語・成句⑤英米語対照表⑥主なことわざ・・・と内容も充実しており、至れり尽くせりだ。この巻末付録を一読するだけでも、受験勉強に十分役立つことと思う。

本書が他の参考書と決定的に違うのは、簡潔ではあるけれども「発音と会話表現」にも触れられている点だろう(第26章~第27章)。「母音」と「子音」はもちろん、「音節」「アクセント」「発音と綴り字」「黙字」「同音異義語」「英米の相違」「ブレスグループ(息の段落)」「文強勢」「強形と弱形」「イントネーション」「上昇調と下降調」・・・昨今の文法中心の参考書では、こうした項目にまで触れることはないだろう。『英語の基礎』でこれらの章が設けられているのは、単なる学校英語や受験英語にとどまらず「本物の英語」を学んでほしいからであるに違いない。

梶木先生の本は、出版から長い時間が経過していることもあり、その多くが絶版になっている。中にはプレミアが付いていて入手困難なものもある。これは非常に残念なことだと思う。このような名著こそ、いつまでも多くの人に読み継がれるべきではないだろうか?本書も含めて梶木先生の著書の復刊を切望する。


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