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憧れのブランコ

幼い頃から怖がりで、乗り物に酔いやすい体質なのもあって、公園にあるブランコが苦手でした。

緊張しながら乗れば、車に乗っているように気持ち悪くなってしまい、立ったり飛んだり、ふざけて乗るほどに度胸もなく、できればブランコには乗らないように遊んでいました。

母方の祖母の家の庭には、大きな木があって、太い枝にロープをかけて、手製のブランコが設置されていました。座面が高く、少し傾いていたので、ただでさえ怖いのに足がつかないブランコなんて・・と乗れないまま、いつしかブランコが無くなってしまいました。

小学校に入り、さまざまな友だちと出会う中で、家に鉄棒があるとか、ブランコがあるという子がいました。公園にある遊具のイメージだったので、庭に設置してあるのかと思いきや、話を聞くと部屋の中にあるとのこと。

よくよく聞けば、室内用の遊具のようでした。当時は、おもちゃといえば手元で遊んだり“スーファミ”全盛の頃、大型のおもちゃに憧れました。

部屋の中のブランコなら怖くないのではないか、そんなふうに考えると、苦手なブランコも、乗ってみたい憧れのブランコに変わりました。


先日、妻がお世話になっている方から、お子さん(お孫さん?)が使っていたという、室内ジャングルジムをいただきました。樹脂製の格子が組み合わさって、そこにブランコと滑り台が付くタイプの、室内用とはいえ大きな遊具でした。

バラバラの状態から、説明書を見て組み立てるのですが、説明書も時代を感じるイラストと言葉で、わかりやすくいうと”不親切”というか・・。全体の内容物の確認もないし、組み立て図は基本的に遠景で、細かいところは「エイヤー!」(つまり勘)で作っていく感じでした。

夕食後に組み立て始めて、気がつけば1時間30分が経っていました。もう子どもは寝る時間・・なのに、ジャングルジムによじ登り、滑り台から滑り降り、絶好調で遊んでいました。寝てくれ。大人は、ジャングルジムの作成に気力と体力を奪われ、しばし呆然・・。思いがけず部屋を占領する遊具・・。

ふと見ると、嬉しそうにブランコに乗っている子どもの姿がありました。ベルトもあって、足も地面について、いざとなれば自分で止められる高さでした。

僕もあんなふうにして、ブランコに乗りたかったなぁ・・と思い出して、ちょっと寂しくなりました。僕が憧れた室内ブランコ、なんだかこんなに簡単に手に入ってしまって、信じられない気持ちもありました。

ジャングルジム、作るのはいいけれど、捨てるときにはまた色々大変そうだなぁ・・なんて思っちゃうのも、大人になった、親になったってことなのでしょうか。

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