Mrs.GREEN APPLEの『ケセラセラ』がとにかく好きな理由🍏

これは、Mrs.GREEN APPLEを好きになり始めた頃に書いたものだ。



私は今、Mrs .GREEN APPLEにとてつもなくハマっている。毎日曲を聴いているし、映像作品も購入して何度も観ている。先日、初のライブビューイングなるものにも行き、ファンクラブにも入会した。ここまで急速に何かにハマるのは久しぶりである。そこで、JAM’S(ミセスのファンの呼称)になりたてのホカホカの想いを何かに記しておきたいと思い、完全な自己満足であるが、とりあえずひっそりとこちらにしたためることにした。

私は『ケセラセラ』という楽曲がきっかけでミセスにハマった。この曲は『日曜の夜ぐらいは…』というドラマの主題歌であった。放送当時の私は、「Mrs .GREEN APPLE」というバンドの存在を知っている程度。ドラマ自体は家で母親が観ていたこともあって、内容を教えてもらったりしつつ(+エレキコミックが好きなので)、自分もチラチラとチェックはしていたけれど、主題歌やミセスについての知識はゼロだった。

ただ、回を重ねるうちに印象的なフレーズ、曲冒頭の「ケセラセラ~♪」だけはサブリミナル的に自分の脳みそに染み込みつつあったし、時々自分でも「ケセラセラ~♪」と口ずさんでいたと思う。そんな中で、歌番組に出演するミセスの姿を見たりしつつ、「なんだか耳に残る歌だなぁ」などと思いながら、徐々に「ミセス」と『ケセラセラ』が私の中に浸透していったと記憶している。

ある日、通勤電車の中でなんとなく思い立ち、“あの”『ケセラセラ』を一度きちんと聴いてみようとSpotifyを開いた。聴き終わると、「あれ…良い曲だな…」という思いがじわじわと私の中に立ち込めていき、気が付けば『ケセラセラ』の生み出すリズム、歌詞の全てがクセになっていた。

そこから毎日『ケセラセラ』を聴いていて、今も日々を乗り越える活力を『ケセラセラ』から貰っているし、支えられている。応援ソングなるものは他にもあるけれど、なぜ私はここまで『ケセラセラ』の虜になっているのだろうか。まずは、その理由についてつらつらと書いてみたい。

『ケセラセラ』の歌詞を見ると、不安/辛さ/苦しさ…などを抱えながらも、そこに留まざるを得ず、ギリギリの所で踏ん張っている人を描いていることがわかる。冒頭の「限界?上等 やってやろうか」「ここを乗り越えたら 楽になるしかない」から読み取れるように、“限界”と言えてしまうほどの何かを抱えていて、その中で“乗り越えよう” “やってやろう”と、どうにか生きている人の姿がある。このように、人生におけるマイナス面、絶望をしっかりと描いている点が特徴的だ。

特に「不幸の矢が抜けない日でも」という歌詞。当たり前だけれど“矢”って先が鋭いし、グサっと深く刺さるイメージがある。しかも加えて“不幸”の矢なのだから、それが抜けないって相当のダメージで、苦痛だ。

Youtubeで『ケセラセラ』のライブ映像を観ると、ボーカルの大森元貴さんは「不幸の矢が抜けない日でも」の部分で、矢に見立てた両手を交互に動かし、胸に突き刺す表現をしている(1)。不幸の矢は1本でなく、何本も刺さっているのだとわかる場面であり、そこで私はいつも胸がきゅっとなる。

「悲劇の図鑑 私ってそう」という歌詞も印象的だ。図鑑といえば様々な種類の物事や事象がまとめられた分厚い本を想起させる。つまり、“不幸の矢”が何本もあるように、“悲劇の図鑑”という言葉も“悲劇”がいくつも存在することを示していて、ここでも何層もの絶望が示される。Studio Session Liveの『ケセラセラ』における「悲劇の図鑑 私ってそう」では、大森さんがペラリとページをめくり眺める仕草が印象的だ(2)。

「ケセラセラ~♪」とテンポ良く始まるがゆえ、単に明るい曲かと思いきや、実際に聴いてみると幾重にも存在する絶望を軽やかに歌い上げていることに気付かされる。そこには、絶望的な状況を「ない」モノとするのではなく、常に付きまとうモノとして認めている現実的な目線が存在しており、ただ「頑張れ」とだけ励まされた時に感じる軽薄な印象はない。多くの人々の生活に寄り添える深みと厚みがあるのだ。

しかしながら、『ケセラセラ』は絶望を描くだけでなく、“乗り越えよう” “やってやろう”と前向きにもがく人の姿もしっかり捉えている。

特に、「何のせい?誰のせい? 勝てなくたっていい 負けない強さを持ちたい」という歌詞はまさにそう。誰かとの比較や、勝ち負けというマッチョな視点で語ろうとしておらず、「私」が揺るがないでいたいし、それだけでいいという意思が感じられ、いつもグッときてしまう歌詞である。

その前に、「負けるな 今日も踏ん張って」という歌詞があるのだが、これはもちろん“負けちゃダメだ”とか言っているわけではない(と私は思う)。「負けない強さを持ちたい」という切実な気持ちの表れなのだ。ある種、自分に言い聞かせているようでもある。誰しも良い悪いではなく、こうありたい、こうしていたいと思うことがあるのではないだろうか。

個人的な話だが、私は自分に見合わないほどの強気さを纏っちゃう姿と、そこから滲む弱さを描いたものが好きだ。『ケセラセラ』であれば、「限界?上等 やってやろうか」という強さを持ちながらも、時に「仕方ないほど 自分よがり」「また諦める理由探す」ような弱さも抱えている、など。

アニメだと、『セーラームーン』を想起とさせる(私がセーラームーンファンなので)。日常におけるセーラー戦士たちは、“一般的な”(少しへっぽこで、勉強や運動が苦手だったり、恋や将来に悩んだりする)学生として過ごしており、生まれながらに強い精神、力の持ち主ではではない。しかし、実は前世で起きた悲しい経験をそれぞれ抱えており、変身を通して悪に立ち向かい、とてつもないパワーを放っていく。

つまりセーラー戦士たちは、本質的に強い人ではないし、深い悲しみを抱えていたりするのだけれども、常に(もはや過剰に)強くあろうとする。私は、その姿に毎回グッときてしまう。こうした好みが私の中にあるがゆえに、『ケセラセラ』にもセーラー戦士的な強さを読み取ってしまうのかもしれない。

他にも、私が大好きなアイドル、でんぱ組.incにも共通点を見出してしまう。でんぱ組.incは自己のネガティブさを全面に押し出してきた側面があるアイドルだ。初期の『W.W.D』という楽曲には「いじめられ 部屋に引きこもっていた」という、メンバー・古川未鈴の実体験に基づいた歌詞が存在する。

だが、弱さやコンプレックスを語るだけなく、それ以上に強気な歌詞を歌い上げることも特徴的だ。「ギラメタスでんぱスターズ」という楽曲(3)では、「転がんのやめたら生ゴミ確定よ」「太陽フレアな炎上だって上等だ」(←「限界?上等 やってやろうか」を彷彿とさせる)などなど強気な歌詞が盛りだくさんだ。けれども同時に、コンプレックスやネガティブさもでんぱ組の中には確かに存在する。

『セーラームーン』とでんぱ組.inc語りが少々長くなってしまったものの、つまり言いたいのは、悲しみやコンプレックスを抱えながらも、主人公たるマインドで、強気な姿を描く創作物が私は好みで、『ケセラセラ』にもその要素を感じたからこそ、無条件に惹かれてしまったのかもしれない、ということだ。(自分で書いていて何が言いたいのかよくわからなくなってきたな…)

ちなみに、『ケセラセラ』のライブ映像で、大森さんがハンドマイク片手に「止まらないでいよう」と前進しながら、「だから」と胸を張り高らかに歌い上げる姿は(4)、セーラームーンやでんぱ組.incで見てきたような、悲しみを抱えつつもキラキラと強くある姿と勝手に重ねてしまい、胸が熱くなりました。つまりは最高。

(私は音楽的知識は皆無のため、詩の要素からのみ『ケセラセラ』について長々と語ってしまったものの、『ケセラセラ』の音を聴くたびに胸が湧き立つし、とにかく良い・・・と毎回思っています)


(1)「Mrs. GREEN APPLE – ケセラセラ 【LIVE “NOAH no HAKOBUNE” on WOWOWプラス】」『Mrs. GREEN APPLE 』 YouTube  2023年8月18日  https://www.youtube.com/watch?v=mnQhQfQkoXM (閲覧日 2024年2月6日)

(2)「Mrs. GREEN APPLE - 01. ケセラセラ from Studio Session Live #2」『Mrs. GREEN APPLE 』 YouTube  2023年11月25日 https://www.youtube.com/watch?v=HeXl_FqJUOk  (閲覧日 2024年2月6日)

(3)新体制になったでんぱ組.incが、様々な不安と緊張の中で披露した節目の楽曲。「でんぱ組.inc「ギラメタスでんぱスターズ」LIVE Movie(2017.12.30 at 大阪城ホール)」『でんぱ組.inc』YouTube  2018年3月18日https://www.youtube.com/watch?v=FhC5t9rh8Y0 (閲覧日 2024年2月6日)

(4)「Mrs. GREEN APPLE – ケセラセラ(第65回 輝く!日本レコード大賞受賞曲)【LIVE from “Atlantis”】」『Mrs. GREEN APPLE 』 YouTube  2023年12月27日 https://www.youtube.com/watch?v=i1wofkI11g8 (閲覧日 2024年2月6日)





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