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介護するからっていきなりバリアフリーにはできないよねって話

介護するならバリアフリーじゃないと!みたいな考え方があるけど、
正直、既存の自宅をバリアフリーにするのは大変ですよね。

昔、住環境コーディネーターの仕事してたときに
介護保険を使った自宅のリフォーム(住宅改修)をするための
書類を作ってたんですけど、
介護保険が使えるからって完全バリアフリー化は難しいんですよね。

その理由は3つ。

  1. 限度額が決まっている

  2. 改修内容が限られている

  3. 手続きが必要のため時間がかかる

ここで少し、介護保険を使った住宅改修について
ご説明しておきますね。

介護保険を使った住宅改修

介護保険を使った住宅改修についてまとめました。

介護保険を使った住宅改修の限度額と改修内容

介護保険を使った住宅改修は基本的に費用の1割負担で行えます。介護保険を使った住宅改修の限度額は20万円。ただし、20万円以内なら無料でできるという意味ではありません。
例えば、20万円の改修を行った場合、20万円の9割18万円が支給され、1割の20,000円が自己負担ということになります。つまり、最大支給額は18万円(20万円の9割)という意味なので間違わないようにしましょう。要支援・要介護に関わらず一律です。

また、改修内容は次の箇所のみです。
・手すりの取り付け
・段差の解消
・扉の取り替え
・床や通路の材料の変更
・便器の取り替え
・工事に付帯して必要な改修

住宅改修を依頼する流れ

住宅改修するためには、段階を踏んで手続する必要があります。
流れを確認しておきましょう。

①ケアマネに相談する
窓口になるのはケアマネージャ―さんです。顔見知りの住宅改修業者がいたとしても、まず相談するのはケアマネジャーさんなのでお間違いなく。介護される方がどんな状況でどんな改修が必要かを一緒に考えてみましょう!

②住宅改修業者と住宅改修プラン(理由書)を作成する
ケアマネジャーさんと改修業者を交えて改修プランを立てます。(私もこの理由書や申請書類を作る仕事をしていました!)最終的にどんな生活がしたいのかなども含めて、適切な改修プランを作ってもらいましょう!

③申請書類の提出する
必要書類を市・区役所の所定の窓口に提出します。自治体によって書類が異なる場合があるので、詳しくは自治体のHPやケアマネジャーさんに確認してみてください。
一般的には以下のような書類が必要です。
・住宅改修費支給申請書
・住宅改修が必要な理由書
・工事費見積書(複数の住宅改修事業者から選定した見積書)
・完成予定の状態がわかるもの

【注意点】事前申請の場合、役所からの結果通知が届くまで工事を開始してはいけません。保険対象外になってしまいます!
事後申請もできますが、今回は事前申請の流れを説明しています。

④結果通知が届く
住宅改修の支給申請書類を提出したら、審査結果の通知が届くまで待ちましょう。審査に通過してはじめて着工する準備ができたことになります。

⑤着工
結果通知が届いたら着工できます。②で作成した住宅改修プラン通りに工事が進んでいるかを確認しながら、完成を待ちましょう。

バリアフリーには程遠い・・・

ここまで見てどう思いましたか?
正直バリアフリーには程遠い内容ですよね。ありがたい制度ではありますが、住宅全面をリフォームできるわけではありませんし、限度額もある。しかも、介護保険を利用した改修は原則1人1回と決まっています。

介護度のそれほど高くない人にとっては、悩みが解消する可能性もありますが、いかんせん手続きに時間がかかります。もし早急に工事が必要な場合は、完成時期を見越して早めの申請が必要です。

自治体によっては介護リフォームに関する助成制度がある場合もありますが、こちらも上限があったり対象者が決まっていたりします。とはいえ、使えるものは使った方がいいので(笑)一度調べてみてもいいかもしれませんね。

住宅改修の意外な壁

当時、よく依頼されていた改修が
・手すりの取り付け
・トイレの改修
・段差の解消
・建具の取り換え

その中でも圧倒的に多かったのが
手すりの取り付けだったと記憶してます。

簡単な工事で行えるし、時間もそれほどかかりません。
支えがあれば日常生活が送れる人にとって、
あると便利なのが手すりです。

多少の段差があったとしても
手すりがあれば転倒リスクも下がります。

ただ、問題になるのが
家族との意見の相違です。

おばあちゃんVS家主

我が家の場合、老朽化及び同居のために古い家を建替えました。
なので、お部屋や廊下との間に段差はほぼありません。

ただ、玄関だけは段差があるんです。

おばあちゃん的には、
玄関に手すりを1つつけてくれたら
容易に段差が下りられるのに・・・
と言いますが、
家主の義父は譲りません。

玄関はいわば家の顔です。
定期的に来客を招く我が家にとって
玄関から客間への導線は非常に重要で、
リビングまではお客様仕様で設計されています。

こだわって作った家ですから
双方の言い分は
真っ向から対立。

「手すりくらいつけてくれてもよかろう」
「そんなことできん。邪魔になる」

おばあちゃんは壁にもたれつつ
そろりそろりと上がったり下りたりしていたんですけど
踏み外しそうになったり
足が上がらなかったり
だんだんと不具合が出てきました。

住宅改修せずとも介護の悩みを解決する方法

我が家のように、
介護が必要な高齢者が夫婦で住んでいるわけではなく、
子世帯に引き取られて生活していることも多いです。

いくら介護が必要な家族がいたとしても
自分たちの家を介護のしやすい家にリフォームできるかっていうと
皆が皆できるわけではありません。

一生のうちで家って大きな買い物です。
少なからず夢と希望、そして理想が詰まっていると思うんですよ。

譲れない部分もきっとあります。

それは別に
「なんてひどい家族なんだ!」
ってことではないと思うんです。

言ってみれば、
譲れない部分があって当然
だって頑張って建てた家なんだもん。

と言いつつ、
介護の悩みを放置するわけにはいきません。

だったらいっそのこと
改修ではない方法を考えてみましょう!

福祉用具で介護の悩みを解決

今回、我が家の事例は、
『玄関の上がり框による段差が不便』
『転倒の危険性が高い』
という悩みです。

福祉用具で解決できるとしたら
・置き型の手すりを使う
・スロープで段差をなくす
どちらかになると考えました。

ただ、おばあちゃんは普段から足が上がりにくく
室内はシルバーカーにすがって移動。
長時間の歩行は難しく、外出は車いすです。

以上の状態を考えると、
置き型の手すりは体重をかけすぎてしまうので
不安があります。
それに、手すりを使用したとしても
おばあちゃんに上り下りさせるのは
ちょっと怖いなと思ったんですよね。

結論、段差自体を解消できるスロープがいいのでは?
と考え、スロープを採用。

玄関の段差の上で車いすに乗り、
そのままスロープを下って玄関の外に出られるのは
おばあちゃんも楽でしょうし、
私たちにとっても安心です。

デイサービスはスタッフさんが送迎してくれますが、
病院には家族が連れていきます。

スロープを導入して
デイサービスのスタッフさんも私たちも
おばあちゃんを連れ出すのが
とても楽になりましたよ!

段差の高さによってスロープの長さは異なります。
スロープを検討される場合は、段差の高さを測ったうえで相談すると
スムーズですよ!

それぞれの家に合った最適解を選ぼう

結果的に、我が家は住宅改修ではなく福祉用具貸与で悩みを解決しました。
(使わないときはたたんでおけるスロープなら義父も納得でした)

完全バリアフリーを目指すのって並大抵のことではありません。
お金も時間もかかります。

建替えに伴ってバリアフリーを目指すのもいいかもしれませんが、
介護される側とその家族との意見が
必ずしも一致するわけではありませんよね。

住んでいくうちに
悩みが出てくる場合もあります。

必要な介護って
常に同じじゃありません。日々悩みは変わります。

我が家も今はスロープで落ち着いていますが、
そのうち別の問題が出てくるかもしれません。

そんなときは、
その都度都度で最適解を見つけていけばいいのかな
と思っています。

介護保険を使って福祉用具を借りるか
住宅改修してみるか
できるだけ介護される人とその家族が
納得のいく選択ができるといいですよね。

▼この記事を書いた人▼

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